税理士からの質問は疑いではなく確認
質問もくり返されると、疑いや追求と感じてしまいます。
でも、決してそんなことはなく、理由があるのです。
自分の過去を説明するのは意外に難しい
税金は、決算書をもとに計算されます。
その決算書には、売上や経費などがのっていますが、これらはいわば「過去の経験や行動」です。
その過去がただしく経理されていないと、税金もただしくならない。
なので、税金は過去をただしく把握するところから、計算がはじまるのです。
その過去は、自分がやってきたこと。
とうぜん、内容や理由などもわかっています。
(あまりにも過去のことだと、忘れることもあるでしょうが…)
でも、自分以外にはわからないこともある。
もし、内容などを取り違えてしまえば、税金だって変わってきます。
なので、税理士からは「これって何ですか?」といった質問がくるのです。
この質問に答えるのは、意外にむずかしいものです。
どんなかたにも、そのかたなりの「普通」や「当たり前」があるので。
もちろん、税理士にも。
つまり、普通や当たり前を説明するのが、むずかしいのです。
というのも、普通や当たり前は、もっている経験や情報によって変わるからです。
また、業種ごとの慣習、時期や環境などによっても、変わります。
普通や当たり前がわからないということは、前提がわからない話をしているようなもの。
たとえば食べ物や飲食代。
ほとんどの場合は、会議費か交際費の2択です。ときに福利厚生費も。
でも飲食業なら、仕入れ・ライバル視察・研究・試作・会議費・交際費・社内の新年会などと選択肢はひろがっていきます。
ある一つの領収書をみても、それが何になるのかは、簡単に判断できないこともあるのです。
税理士からの質問は疑いではなく確認
となると、税理士からの「これって何ですか?」の質問も、すんなり終わらないことがあります。
ある領収書の内容だけではなく、それがどういう前提にもとづいているかを知るためです。
つまり、経営者にとって「それがなぜ普通や当り前なのか」というところまで押さえる必要があるのです。
というのも、税理士の仕事には、経営サポートもふくまれるからです。
そのサポートには、経営者にはみえない落とし穴や盲点の発見もあります。
これらは、将来のトラブルのタネですから。
落とし穴や盲点は、おおくの場合、普通や当たり前の真逆にあるものです。
そして、それらは会計データのなかに、異常値となってあらわれることもあります。
なので、経営者がどんなことを普通や当たり前に感じているかを知る必要があるのです。
でも、自分にとって普通や当たり前のことをあまりにも聞かれると、「なんでそこまで聞く…?」と感じるものです。
「ひょっとして、なにかヤバい…?」とも。
すると、なにか疑いでもかけられているかのように、感じてしまうこともあるかもしれません。
それが悪化すると、税理士がまるで敵でもあるかのように…
でも、決してそんなことはありません。
税理士は、経営者の味方です。
脱税のてつだいはできませんが、経営者をたすける存在です。
…ということを、知っておきましょう。
聞くのも仕事
税理士は、基本的には、税金の計算をするひとです。
でも、ここまで書いてきたように、計算の前提になることも知らなければなりません。
そのためには、経営者の話が必要です。
つまり、税理士は聞くのも仕事なのです。
いっぽう、わたしもふくめ、税理士は話すのがうまい・話がおおいひとは少ない印象です。
税金の計算は、ひとりで黙々とやることも関係しているかもしれません。
基本、ひとりで静かに仕事をすることに、慣れているのです。
ただ、聞くことにも慣れています。
もし、資料をまとめておくり、計算結果がくるのを待っているだけなら、もったいない…
税理士と話す機会があれば、自分の知らないこと・見えていないことに気づけるかもしれないので。
税理士はお固くみえるので、場面によっては怖そう…と感じるかもしれないですね。
質問を、疑いや追求ととらえてしまうように。
でも、決してそんなことはないのです。
むしろ、うまく活用する方法もかんがえてみましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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