数字を見る目は劣化しない財産
能力には、劣化するものとしないものがあります。
数字を見る目は、劣化しないほうのもの。
経営者にとって、きっと大きな財産ですよ。
能力には2種類ある
能力には、つぎの2種類がありますよね。
- 一度はできるようになった後で、できなくなるもの
- いったん身につくと、忘れないもの
たとえば、スポーツです。
どんなスポーツにも、方法論のまえに、筋力や走力・反射神経など、からだ全般における能力が欠かせません。
ただそれは、年とともに衰えていくもの。
だから、いずれは引退の時期もくる。
ほかにも「昔はできていたけど、今は…」というものがあるかもしれませんね。
こうした能力は、一度はできるようになった後で、できなくなるもの。
いっぽう、いったん身につくと忘れない能力もあります。
- 自転車に乗れるようになったときのバランス感覚
- 自分ができたことについて、できる人・できない人を見分ける目
- 過去の体験をベースに、良いもの・そうでもないものを見分ける目
数字を見る目、あるいは活用する方法も、これに属するようにおもうのです。
数字を見る目は劣化しない
数字を見る目は、経営の場面において次のような効果をもたらすものです。
- 数字の関係がわかる
- 行動と数字がむすびつく
- 何かをするとどうなりそうか、が数字で予想できる
数字の関係というのは、たとえば売上と仕入れ。
「80」で仕入れたものを「100」で売れれば儲かるし、かりに「50」で売れば損してしまう。
これだけなら簡単ですが、「売る」ということには他にも経費がかかります。
準備期間にかかったもの、広告宣伝費、人件費、交通費、交際費、事務所の家賃……など。
こうしたものを全部ひっくるなければ、儲かったのか・損したのか…の判断はできません。
そのためには、いちどは損益計算書をくわしく見る必要があります。
ただ、それをいちど経験し、何回か繰り返すと…
儲かったのか・損したのかを判断するには、どんな数字を見ればよいかが分かるようになる。
その分かっていることが、見る目でもあるわけです。
そして、経費というのは、過去の自分の行動でもあります。
お金をはらってモノを手に入れたり、サービスを受けたりして、何かをした。
その何かをしたことが○○円として、損益計算書にのっているわけです。
もちろん、すべてが数字にあらわれるわけでもありません。
たとえば役員報酬は、はたらいた時間や難易度に見合っていないこともあるでしょうから。
ただ、そういう行動をしたから、この数字になっている。
(その実感を得るには、記憶がうすれないうちに数字を振り返る必要もあるのですが)
それが分かれば、応用もききます。
もし何かをするなら、どんな数字になりそうか…と。
売上はともかく、経費については。
こうした数字を見る目は、いまの会計のルールである発生主義がかわらないかぎり、ずっとつかえるものです。
税制改正などで多少の影響はあるかもしれませんが、大筋ではつかえるもの。
どう手に入れるか
数字を見る目を手に入れるには、やっぱり多少の努力も必要です。
記憶があるうちに数字を見るために、いくらか時間をつくらなければなりません。
くわえて、自分自身があるていど納得できるために、複式簿記の知識も知らなければならない。
面倒くさいや分からないを、いくつか乗り越える必要があるのです。
もし、数字に不安をかんじるなら、数字を見る目を手に入れるために努力してみませんか…?
いちど手に入ったらずっとつかえるものですし、きっと成長もかんじられるはずですから。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。