数字を経営に活かすために必要なのは社長自身の感覚

経営者が数字の感覚を持っているかどうかで、経営の結果は大きく変わります。

その感覚を手にいれるには経理に触れる必要がありますが、かならずしもご自身が経理をするのではなく、質問を繰り返すことで代用もできます。

お金で買えるものではないので、経理に触れる頻度や手間を惜しまないようにしましょう。

 

数字は将来を変えるための材料

決算書や試算表をみたときに、どんな感想をもつでしょうか。

「じぶんが思っているのとは、なにか違う」

もしこう思えるのであれば、数字にたいする意識があるということなので税理士としては嬉しいかぎりです。

 

いっぽう、自分で会計ソフト入力などの経理をしたことがなければ、次のような感想を持つかもしれません。

「経理担当や専門家が作ったんだから、きっと合っているんだろうな」

「スッキリ分からない感じがあるけど、正しいものなんだろうな」

 

自分で経理をしないと、過去の行動と数字がむすびつきにくいというデメリットがあります。

いっぽうで「時間が浮く」というメリットもありますが。

 

決算書や試算表にのっている数字というのは、そこまでおこなった経営の結果です。

売掛金や未払金など、たしょうは将来のお金の出入りに関係するものが載っているとはいえ、過去のできごとによるものです。

 

そして、過去は変えられない。

だから「しょうがない」と数字にたいする意識を持たないままスルーしてしまうこともあるでしょう。

でも、「将来を変えたい」と思うなら、それはもったいないことです。

 

将来は自分の力だけで変えることもできますが、誰かや何かの助けを借りることでも変えられます。

その何かの一つに数字があります。

 

たしかに数字は過去の結果をあらわしたものにすぎませんし、その結果になった原因は数字には出てこないかもしれません。

また、どんなに数字が読めたとしても、読めるだけでは何も変わりません。

「○○したい」という思いがあって、行動をするから変わるわけなので。

 

でも「○○したい」と思うからには、原因となる「いま○○だから」があるはずです。

その原因を数字であらわしたものが、将来を変えるための材料なのです。

そして、この材料を活かすために必要なのが社長自身の感覚です。

 

数字を経営に活かすために必要なのは社長自身の感覚

数字は、単独で存在しません。

なにかとくらべるから意味をもってくるものです。

 

とくに経営数字は、社長自身の感覚とくらべなければ、経営の役には立ちません。

数字を経営の役に立てるということは、数字も根拠にくわえて判断をしていくことです。

そして、その判断は社長自身がおこないます。

 

「○○だから、○○をする」

これが判断です。

数字にたいする感覚がないということは「○○だから」が抜け落ちているのと一緒です。

これでは判断のしようがありません。

 

「自分の思っている数字と、決算書などの数字がちがう」

もし、このようなことになっているなら、ズレを合わせるところから始めましょう。

ズレたまま判断をしたら、結果だってズレることになってしまいます。

 

おそらく、ズレを合わせるための一番の近道は「自分で経理をすること」です。

でも、そのためには簿記の勉強が必要かもしれないし、時間だって必要です。

 

ほかの方法には、「質問をすること」があります。

たとえば、「売上は○○円だと思っていたけど、なぜ△△円なのか」

こんなときは、売上の明細を出してもらいましょう。

最初は時間がかかりますが、一つ一つ確認していけば、最後にはかならずピッタリ合います。

 

何かが分からないまま放置していれば状況は変わりませんが、こまめに疑問を解消していけば、かならず前へ進みます。

質問をするということは、「相手にたいして自分が欲しいものを明示する」ことと同じです。

これって経営者の仕事そのものではないでしょうか。

そのように考えて、質問をすることに慣れていきましょう。

 

数字の感覚をもつために必要なこと

経営における数字の感覚とは、「これくらい売り上げたはず」とか「これくらいの人件費がかかる」が「○○円」となんとなく分かることです。

この数字の感覚をもつためには、やっぱり興味が欠かせません。

 

お金がないときはどうしても興味を持たざるを得ませんが、事業が安定してくると「いつもの感じでOK」と失うこともあるかもしれません。

そんなときは「5年後、10年後」などすこし遠い将来のことを考えてみましょう。

そのときに欲しいものや状況があるかどうか。

 

なお、数字の感覚は、慣れていないと大きくズレることもあります。

でも、これは恥ずかしいことではないので、自分が知らないことは「知らない」とハッキリ言いましょう。

言えば言うほど、数字に強くなると思って。

 

また、数字の感覚はこまめに試算表などを見ることによっても身につきます。

資料をそろえるなど手間がかかることもありますが、感覚はお金で買えるものではありません。

自分自身が動かなければ、手に入らないものです。

この感覚のあり・なしで結果は大きく変わってくるので、手間は惜しまないようにしましょう。

 

まとめ

経営者が数字の感覚を持っているかどうかで、経営の結果は大きく変わります。

この感覚は、残念ながらお金で買えるものではなく、自分自身が経理に触れなければ手に入らないものです。

だれでもゼロから身につけていくものなので、手間は惜しまないようにしましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。