令和6年度:個人の税務調査実績から分かること

国税庁は、例年、税務調査の実績を公表しています。

令和6事務年度のものから分かることを確認しておきましょう。

なお数字は、万単位にしています。

 

税務調査の確率

税務調査というのは、できれば来てほしくないものですよね。

時間もかかるし、やっぱり不安になりますから。

 

そこで気になるのは、どれくらいの確率でおこなわれるのか…ということ。

数うちゃ当たるということもありますし。

 

令和6年(2024年)に確定申告をしたかたの総数は、2,339万人。

いっぽう、令和6年における調査の総数は、74万件。

ただし、これらは総数です。

事業をしているかたにとってはどうなのか…を掘り下げるなら。

 

まず確定申告したかたのうち、事業所得者はつぎのとおり「380万人」。

 

(国税庁 令和6年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について より)

 

いっぽう税務調査にも、種類があります。

税務調査というと、店舗や自宅にくるもの…というイメージがありますよね。

ただ、税務署からたんに手紙や電話だけがくることもある。

後日、修正申告につながることもあるんですが…

そうしたものは「簡易な接触」として、総数の「74万件」にふくまれています。

それを除けば、税務調査はつぎのとおり「5万件」

 

(国税庁 令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況より)

 

ただし、この「5万件」のなかには、不動産や副業(雑所得)・金融資産など、それに無申告のかたに対するものも含まれています。

事業所得にたいするものは、もっと減るはず。

そして、ふつうの税務調査(1~2週間ほど前に連絡がきて長くても3日程度で終わるようなもの)は、うえの資料では「着眼」にふくまれています。

「特別・一般」は、事前の調べなどで悪質かつ多額の不正がみこまれるもの。

これ以上は資料から分からないのですが、ふつうの税務調査ならせいぜい「1万件」とみておいて良さそうです。

 

つまり、「1万件/380万人」ですから、「0.3%」。

あくまでわたしの勝手な計算ですが、1,000人に3人くらいですから、300人に1人くらい。

まあ、調査がきても問題ないようにしておけば良かったりするんですけれどね。。。

 

調査実績で目につくこと

国税庁の資料からは、つぎのことも読み取れます。

  • 簡易な接触がふえた
  • 調査で力をいれていること
  • 1件あたりの申告漏れが多い業種

 

簡易な接触がふえた

簡易な接触とは、税務署から手紙や電話などで「申告内容が正しくないのでは…?」と連絡がくること。

その結果、自分ひとりで、あるいは税務署まで出向いて修正申告などをすることになる。

たとえば申告に明らかな間違いがあるときは、こうなることも多い印象です。

 

税務署いわく「AIを活用している」とのこと。

これが、簡易な接触が増えた原因では…と。

 

税務署には、すべてのかたの税務データがそろっています。

そこから業種ごと、お一人について過去からの数字の推移。

あるいは源泉徴収票や支払調書などのデータ。

これらをAIに読み込ませれば、それまで人力でやっていたことが、すくない時間ですむ。

 

すくなくとも申告をする前に、過去の数字とくらべてどうか。

おおきな動きがあるなら、その理由はなにか。

こうした確認をしておきましょう。

 

調査で力をいれていること

税務署では、個人への調査ではつぎのことに力をいれているそうで。

  • 富裕層
  • 海外投資
  • インターネット取引
  • 無申告のかた
  • 所得税、消費税の還付

 

インターネットの発達により、以前に比べて海外での資産運用もふえています。

ただ海外までは、調査の手も及びにくかった。

そこで負けじと、ネットおよびAIも活用して捕捉しますよ…と税務署は言っています。

もともと、海外とは情報交換の制度もあったんですけれど、AIでその精度・確度があがったんでしょうね。

 

無申告のかたも、インターネットにあふれている情報などから捕捉がしやすくなった。

じぶんでつかえば便利なものも、相手につかわれるとやっかい…

とは言わないようにしておきましょう。

 

また、還付にたいする調査は、以前からおこなわれていたもの。

ご自身が還付になる申告のときは、間違いがないかチェックをするようにしておきましょう。

 

1件あたりの申告漏れが多い業種

税務調査は、つまり追加で税金を取るためのもの…と言ってもよいです。

そして、そのときには1回あたりの収穫が多いほうがよいはず。

だから、つぎの業種をしているなら、申告内容が合っているかは用心しておきましょう。

 

(国税庁 令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況より)

 

まとめ

国税庁が公表しているつぎの資料により、税務調査の全体像をしることができます。

  • 令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況
  • 令和6年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について

 

税務調査は、来る・来ないをこちらで選べないもの。

であれば、来ても大丈夫なようにしておくしかありません。

ただ、税金や会計は、結構ややこしいもの。

少しずつでよいですから、知識も増やしてみましょう。

 

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。