相殺するときのインボイスと領収書の書き方
- 売上と仕入を相殺したんだけど、インボイスはどう書くの?
- ○○と△△を相殺したんだけど、差額だけで請求書作ってもよい?
インボイスには、相殺後の金額を書いてもよいのですが、かならず相殺前の金額も必要になります。
というのも、消費税の納税義務(2年前の売上が1,000万円を超えたら……)や簡易課税の判断にも関わってくるからです。
そこで、インボイスの正しい書き方と、あわせて領収書についての留意点を解説します。
相殺するってどんな状況か?
ある相手に商品などを売り上げ、同じ相手から何かを仕入れる、ということがあります。
このようなとき、代金の決済をどうするか?という問題があります。
と言うのも、多くの場合、代金の決済は後日になるため、次の2通りの方法が考えられるからです。
- 売上の分を受け取り、仕入の分を支払う
- 売上と仕入の代金を相殺し、その差額を決済する
振込手数料や手間なども省けるため、相殺してしまった方が楽ですよね。
さて、相殺した場合は、請求書などインボイスはどう書けばよいのでしょうか?
間違ったインボイス
サンプルとして、次の数字を使って解説します。
- 売上……88,000円(税込み:10%)
- 仕入……33,000円(税込み:10%)
- 相殺後の金額……55,000円
この相殺後の金額を入金して欲しいということで、次のようなインボイスを作ったとします。
※ インボイスに必要な情報を、赤字にしてあります。
このインボイスの問題は、「売上が正しく表示されていない」という点です。
本来の売上は、88,000円(税込み)です。
そして、この売上をもとに、納税義務や簡易課税の判断をします。
そのため、どこかに正しい売上が記載されていないと、これらの判断が違ってくる可能性があるので、マズいのです。
うっかりすると、消費税の計算を間違ってしまいます。
また、経理の面からも、売上と仕入を相殺した純額だけを記載するのは問題があります。
このインボイスは、言ってみれば利益だけが書いてあるようなものです。
経理には、売上も仕入も、相殺する前の金額が必要なのです。
もし、相殺してもよいのなら、損益計算書は利益だけの1行になってしまいます。。。
正しいインボイス
上記の問題を回避した正しいインボイスは、たとえば、次のようになります。
※ 必要な情報さえあればよいので、様式などは自由です。
気をつけて欲しいのは、相手から仕入れについてのインボイスをもらう必要がある、ということです。
1枚のインボイスに、売上と仕入、両方の情報を詰め込む必要は、基本的にはないのです。
(情報量によってはできないことではありませんが、ケースバイケースでしょうね)
もし、仕入についての明細を、仕入れた側が作っている場合は、相手の確認を受ける必要があります。
そうすれば、仕入についてのインボイスとして認められます。
もちろん、インボイスの要件とされる情報は必要ですが、必ずしも仕入の明細に盛り込む必要はなく、別口で相手からもらっても構いません。
とにかく、相手の確認があればよいのです。
自分で作った仕入の明細をメール添付などで送り、相手から「OK」のメールでもあればよいのです。
相手が書類を作って送ってくれるのを待っているのも、ジリジリするときってありますし。
領収書についての留意点
領収書には金額に応じて印紙が必要ですが、相殺したときのようにお金を受け取っていない部分には、印紙税がかかりません。
今回の例でいえば、売上の88,000円ではなく、請求額の55,000円をもとに印紙を考えればよいのです。
なお、領収書の発行には、次の2つの方法があります。
- お金をもらった分、相殺した分の2枚の領収書
- トータルで1枚の領収書
どちらの場合でも、お金をもらった分には「〇月売上の入金○○円」、相殺した分には「△△と相殺□□円」というような但し書きを書いておきましょう。
お金をもらったときの領収書は義務ですが、相殺したときの領収書は義務ではありません。
そこで、領収書を省略するケースもあるのですが、後でお金のやり取りが分からなくなることもあるのです。
その結果、二重払いだったり、支払いが足りなかったりして、後日の精算がややこしくなることもあります。
これを避けるためにも、領収書は、その都度作っておきましょう。
まとめ
売上と仕入のように、何かと何かを相殺した場合のインボイスの書き方と、その際の領収書について解説しました。
かならず相殺前の金額が必要になる、というのがポイントです。
インボイスは消費税に関する書類ですが、経理全般においても「相殺前の金額が必要」というのは基本的なルールです。
一部、事業のメインの取引ではない場合に、相殺処理も認められますが。
また、相殺する場合には、銀行口座の履歴をみても、売上や仕入などとパッと紐づかないものです。
二重払いや支払い不足を避けるためにも、補足の資料を残しておきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。
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