決算書などで数字を見るときのちょっとしたコツ

決算書など会計の書類をみるときは、「カンマを打つ」「数字を略す」「図にする」ことを意識しましょう。

こうすることで全体像がつかみやすくなり、数字の関連にも意識をむける余裕がでてきます。

こまかいことにはキリがないので、そこに意識も時間も持っていかれないようにしましょう。

 

決算書などで数字を見るときのちょっとしたコツ

決算書には、こまかい数字がたくさん並んでいます。

たとえば次のように。

 

 

こうした数字の並びを、パッとみてすぐに理解するのは難しいものです。

でも大事なのは、まず全体をおさえ、それから細かいところ・気になるところを掘り下げていくことです。

 

その全体をおさえるために、次のことを意識しましょう。

  • 数字はカンマで区切る
  • 数字は略す
  • いちばん大きな数字を軸に、図にする

 

数字はカンマで区切る

1234567890

こんな数字をみて、パッといくらか答えるのは難しいです。

 

そこで、決算書など会計の書類では、次のようにカンマを打つようになっています。

一の位から数字3つごとに。

1,234,567,890

 

このカンマがあることにより、次のように数字の単位が分かりやすくなります。

  • 1,000……千( thousand )
  • 1,000,000……百万( million )
  • 1,000,000,000……10億( billion )

 

このように、数字にカンマを打つことには、自分が手書きするときも含め、ふだんから慣れておきましょう。

というのも、決算書は「円」または「千円」あるいは「百万円」単位で作るようになっているからです。

 

たとえば「10千円」という表現があります。

これを素直に「1万円」といわず、「なぜ千円単位……?」というのはカンマに由来するのです。

 

慣れないうちは、「百万円」を軸に、次の3つがサッと出るようになるとよいでしょう。

  • 10万円……100,000円
  • 100万円……1,000,000円
  • 1,000万円……10,000,000円

この3種類は、ふだんの入金・出金でつかうことが多いので。

 

数字は略す

カンマの話とは逆のことを言うようですが、ふだんビジネスの場面では「万円単位」で話をすることも多いです。

いちばん高い紙幣が「10,000円」であることにより、「万円」になじみが深いこともあります。

 

そこで、決算書などの数字を「万円」単位に略すこともよいです。

たとえば「1,234,567」という数字を、ざっくり「120万円」とおさえるような感じです。

自分の頭にスッと入ってくること、イメージしやすさも大事ですから。

 

数字というのは、正確にしようとするとキリがありません。

割り切れない数字だってあるので。

 

でも、まず大事なのは「全体像」です。

 

たとえば「木」。

全体的に「緑」だとしても、葉っぱのなかには、よくよくみると「黄」や「赤」「黒」などの色だってあります。

全体が「緑」だということを知らずに、「緑じゃない色」を気にするのか……

もしかしたら、季節は「秋」で、全体が「黄」かもしれません。

まず「全体像が大事」というのは、このようなことでもあるのです。

 

この全体像をつかみやすくするには、略すことの他にも、次のように「図にする」ことも有用です。

 

いちばん大きな数字を軸に、図にする

決算書(貸借対照表・損益計算書)は、手書きでよいので、まずは次のようにざっくりとした図にしましょう。

(スペースの都合でおなじ高さにしていますが、実際は異なるはずです)

 

おそらく、この図を書こうとするとき、まずはいちばん大きな数字を押さえると思うのです。

たとえば、貸借対照表の「資産」の合計。

あるいは、損益計算書の「収入」の合計。

 

いちばん大きな数字が「枠」になるわけなので、それが分からなければ図にしようがない……はずです。

そして、この「枠」が全体像です。

なので、図にした段階で、知らず知らずのうちに全体像をおさえていることになるのです。

 

それから、自分の気になるところが、この図で「どれくらいを占めるか」と書き加えていきましょう。

それを単独でみるときと、全体の一部としてみるときで、判断が異なったりしないでしょうか。

 

こうして図にすることで良いのは、数字の関連が目に見えることです。

数字は、単独では存在しません。

それが顕著にあらわれるのが、利益です。

そもそも利益は、収入と経費の差額ですし。

 

複式簿記のつごうもありますが、ある数字が変わると、ほかの数字もどこかで変わります。

経費がふえれば、お金もへるといった風に。

また、それとは別に、収入がふえれば、仕入れなどの経費がふえる、というような関連もあります。

ややこしいですよね……

 

でも、経営判断は、こうしたことを踏まえておこなうものです。

その変化が目に見えやすいのが、図にすることです。

 

「○○すると、なにがどう変わるのか」

この答えは、図にするとより分かりやすくなります。

これを繰り返すことで、決算書も読めるようになっていきますから。

 

まとめ

決算書など会計の書類をみるときは、次のことを意識しましょう。

  • カンマを打つ
  • 数字は略す
  • 図にする

まずは全体像をおさえることが、はじめの一歩です。

そこがズレると、そこから先もズレたままだということを理解しましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。