決算書では見えない数字

決算書には、事業にとって大事なものがすべて表れるわけではありません。

その大事なものには、どんなものがあるかをみていきましょう。

 

決算書からは見えないもの

事業には、たくさんの要素がかかわります。

もちろん数字も大事ですが、それ以外でも、事業に欠かせないものがあります。

 

たとえば、やる気や興味・好奇心。

これらは、行動するときのエンジンです。

何かを上手くやり遂げるためには、行動する前に考えることが必要な場面もあります。

でも、結局は行動しなければ、なんの成果も得られません。

 

その行動を生みだす基になるもの。

やる気などは、必須のものといえます。

もちろん、波はあっていいと思いますけれどね。

 

それから、人に関することも決算書からは見えません。

事業は、人がいるから成り立つもの。

最低でも買う人がいなければ、売れませんから。

 

仲が良い人が多いから、上手くいくこともあります。

でも、それよりも前に、人を見る目が必要だったりします。

とくに事業では、どんな人が・どんなタイミングで・どんな理由で・どんなものを欲しがるか。

こうしたことを想像できるかどうかが、事業の行く末を左右することもあります。

 

そうしたことの積み重ねによる、人にたいするスタンスが、どんな経営者にもあるはずです。

このことは、決算書にはあらわれません。

ただ、商品やサービスの魅力となっていることはあります。

 

商品やサービスは、良いから売れるとは限りません。

欲しがる人がいるから、売れるわけです。

でも、売れる前に、知られているかどうかもカギだったりします。

 

知ってもらうためには、伝えなければなりません。

この「伝える」ということは、とても難しいこと。

ただ、売るためには、商品やサービスを「創り」、その内容を「伝える」という、すくなくとも2つの要素が必要なわけです。

 

売れたことは、決算書で「売上高」と表示されます。

その売上高は、商品やサービスに魅力があるからなのか、伝え方がよかったからなのか…

簡単には判別できないこともあるのです。

 

ここまでは、決算書からは見えない、数字以外のものについてみてきました。

いっぽう、決算書では見えない数字があることも、知っておきましょう。

 

決算書では見えない数字

つぎの数字は、決算書では見えません。

  • お金の出入り
  • それぞれの科目の内訳
  • 将来どうなるか

 

お金の出入り

黒字なのに、みあったお金はない…

赤字なのに、なぜかお金はある。

こうしたことは、つねに起こり得ることです。

 

というのも、利益の計算は、お金の出入りではなく、モノやサービスの移動にもとづいて行われるからです。

お金を受け取ってなくても、仕事を完了すれば、売上は利益の計算に組みこまれます。

その代わり、お金を受けとったときには、利益の計算には組みこまれません。

 

ひとつ大事なのは、事業は支払いができないときに終わってしまうということ。

仕事をしてからお金を受けとるまでの間に、もし支払いができなければ…?

 

この間、もしかしたら利益は黒字かもしれません。

仕事をしたので、売上はありますからね。

でも、お金は足りないかもしれない。

 

こうしたことを避けるためには、会計データから現金や預金だけを抽出して、お金がいつ入ってきて・いつ出ていくか…という流れを知っておく必要があります。

 

決算書にあらわれるのは、ある時点の残高だけです。

ふだんのお金の出入りは、資金繰り表をつくって把握するより他ないのです。

 

それぞれの科目の内訳

決算書にあらわれるのは、その年度の合計値のみです。

それぞれの科目にどんなものがあるかは、会計データを詳しく見ないと分かりません。

 

商品やサービスをつくるときには、どんな人に・何を売るか…など考えると思います。

もしそうなら、結果が気になるはずです。

でも、決算書の売上高では、すべてのものが一緒くたにされている状態です。

 

自分が考えてきたことが良かったのか・そうでもなかったのか。

このことが分からなければ、次はどうすればよいか…が分かりません。

 

また、経費というのは、いつ・どうやって売るか…を考えた末の行動をあらわすものといえます。

たとえば仕入れをするなら、いつまでに売りたい…ということは頭の中にあるはずです。

そのほかの経費も、どうやって売るか…には密接に関係しているはずです。

こうした行動が、良かったのかどうなのか。

 

もし上手くいかなかったのなら、何をどう改善するかを考えると思います。

いっぽう、上手くいったからヨシ…とは限りません。

周りが変わる可能性があるので、つぎの保証はないわけです。

 

自分の行動を変える必要があるのかないのか。

これは決算書ではなく、会計データを詳しく見なければ分からないのです。

 

将来どうなるか

決算書にあらわれるのは、過去だけです。

その過去は変えられないもの。

生きていれば、気になるのは将来ではないでしょうか。

自分が望むように変えられる可能性があるので。

 

その将来がどうなるかは、だれにも分かりません。

ただ、「こうしたい」はあると思います。

それも、全部ではないかもしれませんが、数字であらわすことはできます。

 

もし数字であらわすことができれば、具体的になり、行動しやすくなります。

たとえば、来月に税金の支払いがあることを知っているのなら、その分のお金は残しておくはずです。

これはあまり良くない例えですが。。。

 

あるいは、希望の利益や売上高があるのなら、実現できたときにどんな決算書になりそうか。

こうしたことを考えると、今とのギャップに気づくことができます。

すると、今の行動を変えるきっかけになる。

希望や想いは、数字にすると「できるかも」がより身近になるのです。

 

決算書も大事ですが、決算書では見えない数字は、もっと大事。

こんな風に思っています。

 

まとめ

決算書では見えないものや数字についてみてきました。

経営や人生において、数字の要素はどれくらいを占めるものでしょうか。

10%、20%…正直わかりませんが、100%でないことは確かです。

 

でも、事業が上手くいくきっかけには、数字もあります。

それが、嬉しいとか「やった!」につながる。

決算書にはあらわれないものも大事にしていきましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。