「数字に弱い」を何とかするのも経営者の仕事
数字は攻めでもつかいますが、守りには欠かせないものです。
たまに防具なしという縛りでゲームをすることもあります。
でも、現実でそれをするのは止めましょう。
数字に弱いという思い込み
算数や数学のテストがよい点だったかたは、簿記や経理の飲みこみも早いようにかんじます。
苦にならない…というか。
いっぽう、テストの点がそこまで…となると、数字から遠ざかるのかもしれませんね。
なにごとも、やった成果が、目にみえる成果がないと、自然に遠ざかるものですし。
よほど強い思いや、強制力でもなければ。
すると、数字にふれる機会も、自然とすくなくなっていきます。
分からないものより、分かるものをやったほうが身になるし、楽しいですから。
ただ、ふれていなければ、慣れない。
そして、よく分からない状態のまま、時がたってしまう。
あるとき、ふと思い立ってふれてみても、分からないこともあります。
分からない原因を、放置していたままでは。
そこで「ああ、やっぱり…」と。
数字に弱いという思い込みは、こんな経緯でできあがったものではないでしょうか。
数字は直接お金を生まない
算数や数学、そして数字が苦手であっても、日常生活では困らないはずです。
ふだん出てくる数字といえば、お金をつかう場面くらいのものですから。
そのお金も、足し算・引き算ができれば、そうそう困らないもの。
お釣りをごまかそう…なんてことも、レジがある今ではないでしょうし。
もしかしたら、よりおトクなのは…と考えるときに、掛け算・割り算をつかうかもしれないですね。
「実質的に○○%なの…?」と。
これも、電卓があれば、事足ります。
つまり、4則計算ができれば、お金をつかう場面で困ることはない…と。
なにより電卓のおかげで、頭をひねるようなことも必要ないわけです。
いっぽう、お金をかせぐとき・なにかを売るときは、数字が必要じゃないこともあります。
売ることは、基本的にはつぎの要素を中心にかんがえるので。
- なにを
- いつ
- だれに
- どんな風に売るのか
ここには、数字、そして会計や経理の知識は必要ないこともあります。
それより大事なのは、商品やサービスの魅力であったり、相手がうけるメリットなどですから。
そのためには、数字よりも、むしろ言葉のほうが大事です。
魅力などが伝わらなければ、売れないわけですし。
ときには、人間関係も大事かもしれませんね。
つまり、数字は直接お金を生むわけではないのです。
となると、数字に弱いと思っていても、事業をしていけます。
わざわざ簿記を勉強したり、会計の本を読んだりしなくても、事業はできるのです。
ただ、それは順調なときのこと。
事業をしていると、「お金は足りるのか…?」という重大な問題が、ときに出てきます。
そのときに、数字、そして会計や経理のことを知らないと、残念な結果におわる可能性もあります。
というのも、お金が足りなくなれば、事業はそこで終了だからです。
でも、お金は、ある日とつぜん消えることはありません。
お金が足りなくなるには、原因があるのです。
(盗難や災害のように、どうしようもないものはありますが…)
その原因は、数字に隠れています。
それを探りだすのも、会計や経理の役割なのです。
数字は、攻め(売ること)でもつかえます。
でも、守るときには、欠かせないものなのです。
数字は転ばぬ先の杖
残念なことに、知識や習慣は、すぐに手に入るものではありません。
なにか問題がみえたときに、急いではじめても、間に合わないこともあるのです。
また、お金が足りなくなる原因というのは、ときに体質・長年つづいた事業の利益構造だったりもします。
その体質も、すぐには変えられるものではありません。
問題がみえていないときは、「なんで、わざわざ…」と思ってしまうものですから。
禁酒や禁煙が大変だった…なんて記憶はないでしょうか。
くわえて、数字を合わせることを、面倒に感じることもあるでしょう。
数字は、ピッタリ合っていなければいけない…というイメージがあるので。
たしかに税金は、1円たりとも損してはいけないものです。
でも、ふだん事業で見るときの数字は、そこまで求められるものではないですよ。
「1円」で判断が変わることは、無いとおもうのです…
数字は、攻めでもつかいますが、守りには欠かせないもの。
ただ、ふだんは脚光をあびないものなのです。
おそらく、経営者のおおくは攻めが好き・攻めに向いているかたがおおい印象です。
起業すること自体が攻めですし。
でも、ときには守りも意識しましょう。
転ばぬ先の杖をもっているか…と。
そのためには、定期的に事業の数字をみるところから始めましょう。
はじめの一歩は、小さくても良いのです。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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