請求書に源泉所得税が載っていないときどうするか
取引先からとどいた請求通りに源泉徴収をしないと、支払いをするかた自身が困ることになります。
というのも、源泉徴収は義務だからです。
仕組みや金額について、相手と確認をとるのが、いちばん確実です。
源泉徴収は義務
源泉徴収とは、ある支払いから所得税を天引きすることをいいます。
対象になる支払いには、役員報酬や給与、士業やスペシャリストへの報酬・料金などがあります。
この源泉徴収は、支払いをするかたの義務です。
また、源泉徴収するだけではなく、国へ納めるところまでが義務なのです。
居住者に対し国内において一定の報酬もしくは料金等の支払をする者は、その支払の際、その報酬もしくは料金等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。
(所得税法 第204条より)
もし、源泉徴収が必要な支払いについて、源泉徴収をしていないと……
支払いをするかたのところに、「所得税を納めてね」と税務署から催促がきてしまいます。
その料金を受けとるほうではなく。
また、期限に遅れれば、罰金も払うことになってしまいます。
源泉徴収するのは、自分ではなく、相手の税金です。
なので、「相手から直接とってくれ…」というのが、いっけん筋のようにもおもえます。
でも、法律では「源泉徴収は義務」とさだめられています。
なので、相手に直接…はできないのです。
それが、法律の力でもあるのです。
ときに、取引先からとどく請求書に、源泉所得税が載っていないことがあります。
そんなとき、どうするかを考えてみましょう。
請求書に源泉所得税が載っていないときどうするか
つぎの3つのことを、確認しましょう。
- 源泉徴収の対象なのか
- 金額の確認
- 相手のゴリ押し
源泉徴収の対象なのか
源泉徴収するのは、所得税です。
その所得税は、個人の税金。
なので、源泉徴収は、原則として、支払いさきが個人のときにおこなわれます。
役員報酬や給与は、かならず源泉徴収をします。
ただ、それ以外の支払いは、どんなものが対象になるのかが、とても細かくさだめられています。
国税庁が、毎年発行している「源泉徴収のあらまし」という小冊子があります。
これはインターネットでもダウンロードできます。
これで確認をするのが、モレもなく、安全です。
取引先から請求書がとどいたときは、これで確認するようにしましょう。
金額の確認
源泉所得税の記載がないときは、請求書の金額には、つぎの2通りの意味がかんがえられます。
- 源泉徴収される前の金額
- 源泉徴収された後の金額
請求額は、おおくの場合、ゼロ並びの数字になります。
いっぽう源泉徴収では、「10.21%」という割合をつかうことがおおいです。
源泉徴収をすると、下ひとケタまで、バラバラの数字になりがちなのです。
ただ、手取り、つまり源泉徴収された後がゼロ並びの数字になるように契約をすることもあります。
…というような風習もあるのです。
なので、ゼロ並びの数字をみたからといって、源泉徴収される前なのか・後なのか…は判断がつかないこともあります。
源泉徴収の対象になるかどうかを調べたうえで、源泉徴収の記載がないときは、あいてに直接確認をとるのがよいです。
- 源泉徴収のことを知らない
- 請求した金額が入金されるとおもっている
どちらも、将来のトラブルの種です。
いずれは解消しなければならないことなので、こちらから解消しにいくのがよいでしょう。
ストレスも時間もすくなくて済むはずですから。
相手のゴリ押し
「自分で確定申告するから、源泉徴収しなくていいよ」
こんな理屈も、いっけん通るようにおもえます。
最終的に、国へいく税金はおなじですから。
でも、法律の力というのは、やっかいなものでもあります。
結果はとうぜんですが、過程も法律通りでなければならないのです。
源泉徴収というのは、いわば過程。
その過程が法律にさだめられている以上、源泉徴収しなければならないのです。
税務署からのツッコミのタイミングによっては、所得税を、罰金とともに払うことになってしまうのです。
相手が「源泉徴収しなくていい」とゴリ押ししてきたら、まず「源泉徴収しないときの、こちらのリスク」を伝えましょう。
もし、それを理解してくれないなら、取引をつづけないほうが安全です。
まとめ
取引先からとどいた請求書に源泉所得税が載っていないときどうするか…についてみてきました。
源泉徴収は、支払いをするかたの義務です。
その義務を果たさないと、支払いをするかたへ罰金などがやってきてしまいます。
相手と確認をしつつ、忘れないようにしましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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