決算・申告をしなくてもよいならどうする?
やれと言われると、やりたくないものです。
決算・申告をしなくてもよいとなったときのことを考えてみましょう。
決算・申告のない世界
もし決算・申告をしなくてもよいと法律できまったら……?
ただ、税金がなくなるわけではありません。
税金がなくなったら、警察や消防その他いろいろ困ることがでてきて生活できなくなるので。
今でも、固定資産税(不動産)のように申告をしないのに勝手に納付書がおくられてくる税金はあります。
もし申告しなくてよくなるなら、すべての税金は国や自治体が計算することになるでしょう。
その計算の根拠は……?
とかんがえると、日本全国すべてのお金の流れをマイナンバーなどに紐づけてガチガチに管理されるかもしれません。
あるいは、「こんなもんかな」とざっくりになるかもしれないですね。
「だって、計算しようがない」という理由が国・自治体側にあるので。
今でも青色申告をしていないかたは、過去の申告があまりにまちがった内容のときは、それぞれの職種ごとの平均値的なデータにより推計で「税金これだけ払ってね」と言われることがあります。
なので、すべての税金がこのような方法になるかもしれません。
いっぽう決算がなくなると、配当がほしい株主・融資をする銀行などは困ります。
たくさん利益がでているのに配当がすこし……
融資するにも数字がわからなければできない……
このようなときは、しょうがないけど決算をするしかないですね。
また、補助金や助成金なども同じことになるでしょう。
でも、配当も融資も補助金なども関係ないとなったらどうなるか……?
決算・申告をしなくてもよいならどうする?
決算・申告をしないと困るのは、次のことです。
- いくら儲かっているのかわからない
- なんで税金がこの金額になるのかわからない
いくら儲かっているのかわからない
利益がいくらかわからなくても、手元にお金があれば困らなそう……
でも、借入金があったり未払金のように、お金がでていくことが決まっているものがあると困るかもしれません。
うっかりお金をつかってしまえば払えないので、予定表をつくるなどお金の管理はいまよりもシビアになるでしょう。
未払い・未収があるとややこしいので、日本全国どこでも現金決済になるかもしれませんね。
便利なのか不便なのか……
また、投資をするときも困るかもしれません。
投資といっても株式などではなく、ヒトやモノへの投資です。
こういう投資はリターンがまとまってくるわけではないので、効果をはかるためには数年単位の集計が必要です。
そして、経営の管理です。
規模が大きくなければ何とかなりそうな気もしますが、業種にもよるでしょうね。
商品などモノをあつかう業種なら、1年に何回も仕入れ・販売を繰り返すわけで、お金の残高だけを頼りにすると訳がわからなくなりそうです。
また、人を雇っているなら輪をかけてこんがらがってくるでしょう。
数字をつかった経営の管理がなくなれば、判断は直感・経験・体感など「なんとなくそんな気がするから」にならないでしょうか……
結局は、自主的に経理をするようになると思うのです。
なんで税金がこの金額になるのかわからない
なにもしないでも納付書がとどく固定資産税は、登記されている不動産の情報をもとにおこなわれています。
なので、公示価格や建築材料の価格など計算の根拠はあるわけです。
申告をしなくてもよくなったときの「事業の利益にかかる税金」はどうでしょうか。
とりあえず納付書が送られてきたとして、納得できるかどうか。
会社役員やサラリーマンなら自分でも年収を把握しているので、なんとなくは分かりそうです。
ですが、事業の利益は経理をしなければわかりません。
もし経理をしないのなら、まず間違いなく「なんで?」と思うはずですし、場合によっては税務署へ聞きにいくでしょう。
そのときに税務署側に説明する義務があるかどうか。
これは法律次第になりますが、ただ税金の仕組みには興味をもつはずです。
つまり、自分が納得するためになにかをすると思うのです。
それは、自分で申告書をつくるのと変わらないかも……
まとめ
もし決算・申告をしなくてもよくなったとしても、おそらく自主的にやるはずです。
自分のために。そして定期的に。
経理をしなければ利益は体感になり、経営判断も数字の根拠がないものになってしまいます。
また、申告しなければ相手の言い値で税金をはらうことにつながります。
今よりもお金の管理がシビアになるのはよいことかもしれません。
しかし「いま持っているお金」だけを頼りに将来の展望をかんがえるのはむずかしそうですよね。
経理も申告も、自分のためなのです。
※ 記事作成時点の心境に基づいています。
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