所得が複数あるときの消費税の計算

消費税の申告が必要なのは、事業所得だけとはかぎりません。

消費税と所得税では「事業」の意味がちがうのです。

その意味をおさえてから、どう計算するかも確認しておきましょう。

 

消費税の申告の対象になるもの

消費税の申告が必要なのは、「事業者」とされています。

そして、この事業者も「免税」事業者と「課税」事業者に分かれる。

実際に申告が必要なのは、課税事業者だけになるのですが。

 

ただ、この「事業者」という言葉から連想されるのは。

たとえば「個人事業主」や、不動産所得における「事業と業務」のちがい。

そこから、つぎのような誤解が生まれたりも。

  • 消費税の申告が必要なのは、事業所得や事業的規模の不動産所得だけ

 

じつは「事業」という言葉の意味は、消費税と所得税とで異なるのです。

消費税における「事業」とは、つぎのことを意味します。

  • 同種の行為を反復、継続かつ独立して遂行すること

 

その事業をおこなうひとを「事業者」と呼ぶわけですが、さらにつぎの条件も。

  • 事業者が、事業として、対価を得ておこなう資産の譲渡や貸し付け・サービスの提供だけが、消費税申告の対象になる

 

だから、事業者といえども、生活でつかっているものを売ったとしても、申告の対象にはならない。

反復・継続されるものではないですから。

また、タダでモノをあげたり・もらったとしても、それに消費税はかからない。

贈与や配当金なんかがそうですね。

ほかに給与も、独立しているわけではない…と考えるので、消費税はかからない。

 

その他にも細かいものはいくつかあるのですが。

こうして選り分けていった先に残るものが、消費税の申告の対象になるのです。

細かいことをいえば。

対象になったあとでも、課税・非課税のちがいがあります。

そして非課税の情報も、必要なのです。

 

だから申告の対象になるのは、事業所得にかぎりません。

不動産所得や、副業などの雑所得でも、対象になり得るわけです。

 

このときの問題は、どうやって消費税の計算をするか…ということ。

所得税の申告では、所得ごとにそれぞれ計算をします。

でも消費税は、対象になるすべての所得(事業)を1つの申告書にまとめなければならないので。

そうでなければ、免税・課税の判断も変わることがありますから。

 

所得が複数あるときの消費税の計算

幸か不幸か、いま消費税には、つぎのとおり3つの計算方法があります。

  • 原則的な方法(個別対応)
  • 原則的な方法(一括比例配分)
  • 簡易課税または2割特例

 

この3つの方法のうち、たとえば簡易課税は、事前に手続きが必要です。

だから、いざ申告をするときに無条件で選べるわけではないのですが。

ただ、方法により納税額が変わるので、できればすべての方法で試算をしておきたいところ。

ここで損得もありますから。

 

そのときカギ、またはハードルになるのが「個別対応」による計算です。

この方法をつかうためには、売上や収入などと経費が紐づいてなければならない。

この経費は、この売上のためのもの…という風に。

もちろん、すべてではなく、なかには共通のものがあっても良いんですけれどね。

 

だから、いったんは所得の区分ごとに、それぞれ所得を計算をします。

そのあと、その区分がわかる状態で、Excel などで集計する必要がある…と。

 

これができるソフトがあるのかもしれませんが、ちょっと見た限り、無いような。

探し続けるより、手を動かしたほうが早いかな…と。

そんなわけで、わたしはExcel でまとめています。

 

もし、課税売上割合が95%以上なら、面倒な個別対応をかんがえる必要はありません。

経費などの消費税は、すべて控除できるので。

(売上が5億円を超えているなら、話は変わりますが)

 

そのほか細かいことはいくつかあるのですが。

大きめの買い物をするときは、どの方法がよいか…は事前にかんがえておきましょう。

消費税は、還付になることもあるので。

そのときに簡易課税や2割特例をつかっているなら、還付になることは無いですから。

 

もしかしたら、個人ですからそれほど規模は大きくないかもしれませんね。

でも、一度は試算をしておきましょう。

まったくの目安がないよりかは良いとおもいますから。

 

まとめ

所得税において複数の所得があるとき。

まずは消費税の対象になるものと、そうでないものを区別しなければなりません。

そのあと消費税の計算では、対象になるものをすべて盛り込んだ1つの申告書をつくります。

(ちなみにインボイス登録も、所得ごとではなく、個人単位でおこなうものです)

そのためには、所得税とはべつに、消費税のための集計をする必要があるのです。

 

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。