会社の節税対策よりも大事なこと

税金が減ると、トクした気分になるかもしれません。

でもそれは、落とし穴かもしれないですよ。

 

法人税等は売上のどれくらいなのか

会社を経営していれば、避けて通れないのが税金です。

その税金のなかでも、利益にたいしてかかる法人税・住民税・事業税(法人税等)。

これらが、売上を「100%」としたとき、どれくらいになるのか。

 

それをあらわすのが、つぎの表です。

業種法人税等税引き後の利益
建設業1.5%4.0%
製造業2.0%3.0%
情報通信業2.2%3.7%
運輸業、郵便業1.3%1.6%
卸売業0.9%1.7%
小売業0.8%1.4%
不動産業、物品賃貸業3.6%8.7%
学術研究、専門・技術サービス業2.3%6.5%
宿泊業、飲食サービス業0.8%△0.1%
生活関連サービス業、娯楽業3.7%△1.4%
サービス業(他に分類されないもの)1.5%2.9%
合計1.5%2.8%

 

(中小企業実態基本調査 R4年度決算実績 売上高及び営業費用 産業中分類別表より)

 

うえの表は、そのまま鵜呑みにしてよいもの…ではないかもしれません。

というのも、総務省がおこなっている経済センサスの情報を中小企業庁が選出したものであり、

黒字・赤字が入り乱れているかもしれません。

また、中小企業のおおくは同族会社。

なので経営者が、経費のおおくを占める役員報酬を、自身で決めることができる。

あるていど、利益を操作できるわけです。

それに、経済センサスに正直に答えているか…ということもあるかもしれないですから。

 

とはいえ、大筋をまとめてみれば、次のとおり。

  • 法人税等……売上の1.5%くらい
  • 税引き後の利益……売上の3%くらい

10,000円売ったとき、法人税が150円で、会社に残るお金は300円。

こんな感じなのです。

 

節税対策よりも大事なこと

法人税等の節税をするというのは、売上の1.5%くらいであるものを、更に少なくしようとすること。

ここに、どれくらいの意識や興味・労力をかけるか。

 

へたに経費をふやしてお金をつかってしまえば、法人税等はへるものの、税引き後の利益の利益もへってしまいます。

その税引き後の利益は、うえの表では売上の3%くらい。

これがさらに少なくなるわけです。

 

もちろん、お金をつかわない節税もありますが、それは限られているもの。

税理士がついているなら、ほとんどの場合は、既にやっているはずです。

なかには、役員報酬の設定のように難しいものもありますが。

 

事業の目的ってなんでしょうか。

それは税金を少なくすることではなく、お金を増やすことではないでしょうか。

 

たしかに、だれでも税金は払いたくないもの。

払ったとしても、直接的なリターンが無いように感じることもあります。

あるいは、良からぬ使い方をされているように感じることも。

必要なものとは分かりつつも。

 

ただ、1.5%くらいの法人税等を減らそうとするなら、3.0%くらいの税引き後の利益を増やす。

こっちを意識した方が良いように思うのです。

自由に使えるお金を増やすためにも。

そのほうが、自分のためになるでしょうから。

 

もちろん、わたしは税理士なので、節税をしない…というわけではありませんよ。

経費になるものを忘れたり、できる節税をやらないということは、あってはならないこと。

 

それでも、1.5%のものを減らそうとするより、3.0%のものを少しでも増やそうとする。

ここに意識や興味・労力、そして時間もつかう。

そのほうが、お金も増えるし、自分のためになる。

「節税」が頭をよぎったら、「お金はいくら増えるのか」と考えてみましょう。

 

まとめ

中朝企業実態基本調査によると、売上を100%としたとき、法人税等は1.5%くらいで、税引き後の利益は3.0%くらいです。

税金が減ると、なにかトクしたような気になるものです。

でも、それは落とし穴のようなものかもしれません。

お金を増やしたいのだったら、税引き後の利益を意識するようにしましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。