お金が寝るとは。どんなところにお金が寝るのか

お金が寝るとは、そのお金を有効につかえていないことを意味します。

そのぶん、事業でつかえるお金が減ることになるのですが、ゼロにするのも難しいことです。

お金が寝ることの意味。具体的にどんなところに寝ているのか。そして緩和策についてもみていきましょう。

 

お金が寝るとは

お金が寝るとは、お金が出ていきっぱなしになって、事業に有効につかえていない状態をいいます。

 

事業は、基本的につぎの2つのことの繰り返しです。

  • 経費としてお金がでていく
  • 収入としてお金がはいってくる(戻ってくる)

 

すべてのお金が、このサイクルにのっていれば「より効率的」といえます。

でも、ときには、一時的にせよサイクルから外れてしまうお金もでてきます。

たとえば、お金はでていったのに経費になっていない……

こうしたものが「寝ているお金」です。

 

もし「寝ているお金」があれば、「実質的に使えるお金」はつぎのように減ってしまいます。

 

これが、資金繰りにくるしむ原因の一つです。

「黒字なのに、みあったお金が残っていない…」というときは、どこかに寝ているお金があるものです。

 

利益は、「お金がでていき、収入として戻ってくる」というサイクルを繰り返せば繰り返すほど、増えます。

なので、寝ているお金が少ないほうがよいのですが、ゼロにすることも難しいです。

どんなところにお金が寝ているか…その緩和策についてもみていきましょう。

 

どんなところにお金が寝るのか

寝ているお金は、貸借対照表の「資産」にあらわれます。

たとえば、次のものです。

  • 在庫
  • 売掛金
  • 固定資産
  • その他(仮払金・立替金・敷金など)

 

在庫

お金が寝るとは、お金がでていったのに経費になっていない状態です。

 

商品は、売れなければ経費になりません。

売れていないものが在庫なので、売れるまでは、そこにお金が寝ていることになるのです。

 

でも、在庫がゼロになってしまえば、売り逃しの可能性もでてくるし、そもそも商売が成り立たないこともあるでしょう。

であれば、在庫を抱えすぎないことを検討しましょう。

なるべく小まめに仕入れをすることにより。

そうすれば、トータルでの仕入れは変わらないものの、お金が寝る「時間」がへるので。

 

仕入れるためには、手持ちの在庫がいくつあるかチェックしたり、発注のための手間もかかります。

こうした面倒がふえる代わりに、お金に困る可能性がへる、と考えましょう。

 

売掛金

売掛金は、「もう少し待っていればお金にかわる」というものです。

この「待っている期間」を短くすれば、次の仕入もはやくでき、次の収入もはやくなる……というわけです。

 

でも、現実的には「早く入金してくれ」といっても、それぞれの業界やシステムなどにより、なかなかそうもいきません。

また、電子マネーの普及により、これから世の中全体で売掛金はふえていく傾向にあります。

 

であれば、支払いとのバランスを考えてみましょう。

入金が1か月後なら、支払いも1か月後…といった風に。

こうすれば、「実質的に」寝ているお金もへるので。

もちろん、入金が遅くなっている取引先への催促もわすれずに。

 

固定資産

固定資産は、減価償却をとおして経費になっていきます。

購入時にまとまったお金がでていくのに、経費になるのは10年後とか20年後というのはザラにあります。

そもそも高いものも多いので、寝ているお金もそれなりものになってしまいます。

 

もし、自分のものでなくても良いのなら、レンタルやリースを検討しましょう。

リースのなかには、自分のものと同じように経理しなければならない特殊なものがあります。

でも、基本的には、レンタル料もリース料も出ていったお金がそのまま経費になります。(1カ月程度の誤差がでる可能性はありますが)

寝ているお金はゼロになるのです。

 

いっぽう、どうしても自分で購入しなければならないときは、融資を受けることを検討しましょう。

このときは、利息のぶん、余計にお金をはらうことになります。

でも、これは「お金が足りなくなったらどうしよう」という不安をすこし解消するための保険料のようなものだといえます。

もちろん、融資を返済できるだけの黒字が見込めるか、という計画もわすれずに。

 

その他(仮払金・立替金・敷金など)

上記のもの以外にも、お金が寝ることがあります。

 

仮払金は、お金がでていったのに「その内容がわからない」ときにでてくるものです。

内容を調べて、はやめに経理しておきましょう。

 

立替金は、「誰かの経費などを自分が支払った」ときのものです。

当然、その相手と決済することになるので、できるだけ早めの決済を。

 

敷金は、事業用のテナントの場合、けっこう高額になることもあります。

値切るにも限界があるかもしれないので、その金額をふまえたうえで物件を決めましょう。

そこを退居するまでは「その金額はつかえないもの」だと思って。

 

これら以外にも、なんらかの取引を始めるときの「保証金」や投資用の「金融商品」などは、お金がでていったのに経費にならないものです。

  • 将来、これらがお金にかわるのはいつなのか。
  • 残ったお金で事業をまわせるか。

このようなことを検討しておきましょう。

 

まとめ

お金が寝るという表現について、具体的にどんなところに寝るかなど確認してきました。

限られた資源を有効につかうのは、お金についても同じです。

どこにお金が寝ているかは「資産」としてあらわれるので、「利益」だけではなく「貸借対照表」もチェックするクセをつけましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。