会社のお金に不安を感じたら何から始めるか
「お金は足りるかな」という不安を感じたら、資金繰り表を活用しましょう。
不安は抱え続けると、必要以上に膨らんだりします。
そうならないように、何から始めるかを確認しておきましょう。
不安はどこから来るのか
「会社のお金が足りるかな…」あるいは「足りなくならないかな…」という不安。
事業がよほど安定していなければ、ときに感じることです。
結局のところ、事業はお金がすべて…という面もありますからね。
事業の目的がお金だけという意味ではないですよ。
お金が足りなくなったら事業を続けられないという現実は、どうしても存在するので。
この不安がどこから来るのか…と考えたとき、おもに次の2つの原因があげられます。
- お金の出入りがどうなっているか、よく分からない
- 今後のお金の出入りがどうなりそうか、よく分からない
もし、うえの2つのことを把握していれば、「足りるかな…」という不安はないはずです。
代わりに、「○○円くらい足りなくなる見込み」という確度の高い現実になっているでしょうから。
そうなれば、お金の不安は「今後どうしようかな」という行動の問題に置き換わるはずです。
そう思えるようになるには何から始めるのがよいか、確認しておきましょう。
何から始めるか
お金に不安を感じたら、次のことを試してみましょう。
- 過去のお金の出入りの把握
- 会社の実質的なお金はいくらか
- 将来のお金の出入りはどうなるか
過去のお金の出入りの把握
まず、利益とお金は別物だということを知っておきましょう。
黒字だからといってお金は増えるとはかぎらず、赤字だからといってお金は減るとはかぎらない。
というのも、利益の計算は、お金の出入りではなく、モノやサービスの移動にもとづいて行われるからです。
その結果、「黒字だから安心していたのに、お金が足りなくなった」ということも起こります。
たとえば、ある仕事が終わってから入金されるまでの間。
この間は、黒字のことも多いのに、お金は入金されるまで利益には見合わない状態になっています。
このタイミングで大きめの支払いがやってくるのが、「黒字なのにお金が足りない」状態です。
なので、利益はいったん置いておき、お金の出入りだけをべつに集計しましょう。
利益、つまり決算書からお金の出入りを把握するのはむずかしいので。
そのときに活用できるのが「資金繰り表」です。
インターネットで検索すれば、多くのひな形なども手に入ります。
できれば Excel でつくるのがよいのですが、大雑把でもよいので、ぜひ作ってみましょう。
すると、いつ・どれくらいのお金が出ていき、入ってきたか。
その結果、残高がどう推移してきたか…ということが分かります。
お金が足りなくなるタイミングや傾向が見えやすくなるのです。
このことは、もちろん口座の残高の推移をみれば分かること。
ただ不思議なことに、お金というのは「今いくらあるか」に焦点がいきがちです。
過去につかってしまったお金は、戻ってきません。
将来に入ってくる予定のお金も、捕らぬ狸の皮算用のようなところがあるので、100%の信用は置けないもの。
だから、「増減」を把握しているかたは、意外に少数派なのです。
たとえば、今期の利益をみたとき、年度がはじまったときにお金がいくらあったか。
これを気にしたことがあるでしょうか。
「100」の黒字なら、お金も「100」増えるはず。
それを知るには、そのときの残高と、年度はじめの残高を比べなければ分からないもの。
お金の「増減」はちょっとした盲点。
がゆえに、カギでもあります。
だから資金繰り表をつくると、お金の見えかたが変わるのです。
会社の実質的なお金はいくらか
一人社長や家族経営の会社の場合、個人と会社とのあいだで、お金の貸し借りはよく行われます。
もし貸し借りをしないなら、個人のお金と会社のお金は、財布もカードも電子マネーも、それぞれ2つ持っていなければなりません。
くわえて、たとえば買い物をするなら、個人と会社、それぞれ別に会計をする必要もあります。
でも、こんな風にお金の管理をするのは、きっと面倒ですよね。
そもそも行動が、事業とプライベートにキッチリ分けられるものでもなかったりしますし。
だから、会社の経費を立て替える、会社の口座からだしたお金でちょっとプライベートのものを買う。
あるいは、個人または会社がピンチのときには、それぞれのお金を融通する。
こうしたことの積み重ねで、貸し借りが未精算のまま積みあがることもあるのです。
すると、会社に足りないお金はいくらか…も曖昧になりがちです。
足りないお金がいくらか曖昧だと、今後の行動にも影響してしまう。
「どれくらいお金を増やさなきゃいけないか」が分からないからです。
それをハッキリさせるために、役員との貸し借りをふまえて、会社の実質的なお金がいくらかを把握しておきましょう。
いま「300」あるけれど、役員から「100」借りているなら、実質的には「200」という風に。
今後の利益や役員報酬にもかかわってきますから。
将来のお金の出入りはどうなるか
ここまで来たら、うえで作った資金繰り表をコピーして、将来のみえている数字を入れてみましょう。
今後どうなりそうか…という資金繰り表をつくるのです。
1~2か月くらいでも大丈夫ですよ。
すると、その期間のお金の出入りがみえてきます。
いつ・いくら足りなくなりそうか…がみえてくるのです。
そうすれば、「分からない」という不安は、「今後どうしようか」という問題におきかわります。
なお、利益とお金にはズレがありますが、それはタイミングに由来するものです。
両者は、最終的には一致するのです。
なので、お金が足りない原因が赤字なのなら、利益を改善しなければなりません。
そのときには、資金繰り表だけではなく、売上や経費など利益のほうもみておく必要がでてきます。
そのほうが、行動をイメージしやすいので。
うえのほうで「利益はいったん置いておき」とは書きましたが、じつは2つ必要なのです。
こう見てくると、面倒くさいな…と思われるかもしれませんね。
ただ、手間ひとつで不安が解消できるなら、安いものではないでしょうか。
会社のお金に不安を感じたら、とくにカギになるのは資金繰り表だということを知っておきましょう。
まとめ
会社のお金に不安を感じたら、過去そして将来のお金の出入りを把握または想像することが、その不安を解消するカギになります。
そのときに活用できるのが、資金繰り表です。
おおくの不安は、事業にかぎらず、「分からない」ことが原因だったりしないでしょうか。
それを抱え続けると、不安も勝手に膨らんだりしますし、なにより手を打つのが遅くもなります。
数字やお金、そして税金も、じつは手間をかけるのがカギだったりします。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。