紛失した過去の申告書・届出書を確認する方法

過去の申告書や届出書は、税金以外の場面でもつかうことがありますし、将来の税金に影響することもあります。

これらを無くしてしまった場合に、その内容や数字を確認する方法についてみていきましょう。

 

過去の申告書などが必要なとき

過去の申告書や届出書が必要になるときがあります。

 

たとえば、「開業届」は次のようなときに必要です。

銀行口座の開設、融資の申し込み、小規模企業共済への加入、クレジットカードの申し込み、補助金などの申請。

 

そして、「申告書」は次のようなときに。

融資の申し込み、補助金などの申請、住宅ローンの申し込み、保育園に入園するとき、所得を証明するとき、過去の事実を証明・確認するとき

過去の事実や数字がわからないと、次の申告書をつくるときに困ることもあります。

たとえば、減価償却で「あれ、未償却残高いくらだっけ…」ということも起こってしまいます。

 

また、「消費税の届出書」は税金の計算方法や納付額にダイレクトに影響します。

これは「永久保存」が必要なものです。

 

それでも、火事など不可抗力だったり、大掃除のときにうっかりだったり、無くしてしまうこともあります。

こんなときでも、過去の申告書などの内容や数字を確認する方法があります。

 

紛失した過去の申告書などを確認する方法

過去の申告書などを確認する方法は、次のとおりです。

  • 税務署へ見に行く
  • 税務署から郵送してもらう
  • e-Taxで確認する

 

税務署へ見に行く

この方法を「申告書等閲覧サービス」といいます。

そして、この方法は「無料」でできます。

 

過去の申告書などは、税務署でも保管しています。

その保管しているものを、税務署まで足を運び、見せてもらうのです。

スペースの都合などで保管してある申告書は過去10年分くらいと言われていますが、効力が有効な届出書は無期限で保管しているはずです。

(「国税庁標準文書保存期間基準」で検索して確認してみましょう)

 

そして、その場で書き写したり・カメラやスマホで写真にとることができます。(動画は不可)

コピーをもらえるわけではないのです。

ちなみに、申告書などを見ている間、そばで税務署のかたが控えています。

 

なお、申告書等閲覧サービスは、税理士が代理でおこなうこともできます。

ただし、委任状にからんで印鑑証明書が必要になるため、その分の料金がかかります。

 

当日は、マイナンバーカードなどで本人確認もおこなわれる他、「申告書等閲覧申請書」という書類にも記入をします。

事前に「申告書等閲覧サービス」で検索し、準備をととのえておきましょう。

また、当日いきなり行くのではなく、前もって電話しておいたほうがスムーズにいきます。

 

税務署から郵送してもらう

この方法を「保有個人情報開示請求」といいます。

料金は、1件あたり「300円」です(オンライン申請なら200円)。

 

「保有個人情報開示請求書」という書類を税務署へ郵送すると、過去の申告書などのコピーを送ってもらうことができます

申し込みは、郵送ではなく税務署の窓口でもできますが、わざわざ税務署まで行かなくてもよいのがこの方法のよいところです。

 

税務署に保管してあるものを送ってもらうわけなので、その範囲は「税務署へ見に行く」ときと同じです。

申し込みから手元にとどくまで1か月くらいかかりますが、2月~3月のように税務署が忙しいときはもう少しかかると思っておきましょう。

 

やはり本人確認書類が必要になります。

「保有個人情報開示請求 税務署」と検索して、申し込みをととのえましょう。

 

e-Taxで確認する

この方法を「申告書等情報取得サービス」といいます。

料金は「無料」ですが、マイナンバーカードとe-Taxをつかえる状況になっていることが必要です。

 

e-Taxで申請をすると、過去の申告書がPDFで送られてくる。

このようなサービスです。

 

ただし、申請できるのは「直近3年分の所得税の申告書・決算書等のみ」となっています。

ほかのものが申請できないのは、令和4年(2022年)からはじまった比較的あたらしいサービスであることや、法人のように複数人が関係してくるときの本人確認の問題などがあるのだろうと思います。

 

この手続きは、マイナンバーカードを読み取れるならスマホからでもできます。

 

毎年、個人の確定申告の時期には無料相談会にさんかしているのですが、令和6年(2024年)は、年配のかたでもスマホをつかってご自身で申告をされていたかたが例年よりも多かったです。

申告は紙・e-Taxのどちらでもよいと思うのですが、e-Taxが便利なのは確かです。

 

世の中から紙をなくすことはできないはずですが、今後はどうしても紙よりデータという流れになるでしょう。

少しづつデータでも保存しておくようにすると良いのかなと思います。

申告書や届出書は、紙だけではなくデータでも保管しておくと、無くすリスクも減らせますから。

 

まとめ

過去の申告書や届出書をなくしてしまっても、次の方法で確認することができます。

  • 申告書等閲覧サービス……税務署へ見に行き、自身で写してくる
  • 保有個人情報開示請求……税務署へ申請すると、コピーが送られてくる
  • 申告書等情報取得サービス……e=taxで申請すると、PDFが送られてくる

 

申告書などは紙でもデータでも保存しておくと、無くすリスクを減らせます。

すこしづつPDFなどのデータに慣れていきましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。