個人事業主が利息を「事業主借」と仕訳する理由

個人事業主がうけとる利息を「事業主借」とするのは、事業所得ではないからです。

利息と本業の収入はそれぞれ別々に利益(=所得)計算しなくてはならないため、「事業所得から除く」の意味合いで「事業主借」をつかうのです。

 

利息を「事業主借」と仕訳する理由

個人事業主・フリーランスが受けとる利息は、次のように仕訳します。

借方 貸方
普通預金 ××× 事業主借 ×××

 

「なぜ、受取利息や雑収入じゃないんだろう……?」

それは、個人の税金である所得税・住民税では収入や経費を10種類の所得にわけ、それぞれの所得ごとに利益(=所得)を計算するからです。

それぞれ経費のありようが違うため、すべてをまとめて計算しないようになっているのです。

もし複数の所得があるときは、それぞれの所得を別々に計算したあとに合算します。

 

ちなみに、所得は次の10種類あります。

所得の種類 内容
利子所得 預金の利子、公社債の利子
配当所得 株式の配当、投資信託の収益の分配など
不動産所得 土地・建物など不動産の貸付けによる所得
事業所得 個人事業主・フリーランスの本業による所得
給与所得 役員報酬、給与、ボーナス
退職所得 退職金など
山林所得 山林や木を売却したときの所得
譲渡所得 土地・建物・株式などを売却したときの所得(商品は除く)
一時所得 競馬の払戻金、満期保険金など
雑所得 副業、公的年金、上記のいずれにも該当しないもの

 

おそらく、利息を会計ソフトに入力するときは、本業の収入や経費を入力していると思います。

そのとき行っているのは「事業所得」の計算です。

利息は「利子所得」なので、事業所得の収入に混ぜたらいけないのです。

 

なお、利息に経費は存在しないため、収入=所得となります。

また、その収入からは所得税・住民税が天引きされているので、天引きがされない海外口座などをのぞき、基本的に申告する必要はありません。

 

じつは利息以外にも事業主借と仕訳すべき収入がありますので、引き続きみていきましょう。

 

間違ってしまいがちな「事業主借」とすべき収入

利息以外で「事業主借」と仕訳する収入には、次のようなものがあります。

  • 事業用の固定資産の売却収入
  • 給与
  • 生命保険の入院給付金など

 

事業用の固定資産の売却収入

事業でつかっている車、機械、備品などを売却した収入は「譲渡所得」になります。

そのため、本業の収入には混ぜずに「事業主借」とします。

なお、正確には収入ではなく利益・損失を事業主勘定で処理するため、仕訳は次のようになります。

  • 譲渡で利益がでたとき
借方 貸方
預金など ××× 事業用の固定資産 ×××
    事業主借 ×××
  • 譲渡で損失がでたとき
借方 貸方
預金など ××× 事業用の固定資産 ×××
事業主貸 ×××    

 

ただし、次のものは例外的に事業所得となるので、雑収入などとして仕訳しましょう。

  • 取得価額が10万円未満のもの
  • 取得価額が20万円未満で、3年で経費にする一括償却をしているもの

 

給与

個人事業主として独立する前、あるいは本業と並行で給与をうけとることもあります。

この収入は「給与所得」として本業とは別に計算するため「事業主借」とします。

 

個人事業主としてうけとる収入のことを報酬とよびますが、報酬なのか給与なのかの判断は、じつはとても難しかったりします。

とくに相手にとっては次の違いがあり、相手の税金に大きく影響するからです。

率直にいうと、相手にとっては報酬としたほうが税金がすくなくなるため、過去のニュースをみても本来は給与なのに報酬としてしまう請負偽装・外注偽装といったことが行われてきた現実があります。

  消費税 社会保険
報酬 かかる かからない
給与 かからない かかる

 

そのため、年明けに相手から送られてくる書類のタイトルが次のどちらなのかにより、報酬・給与の区別をするのが無難です。

  • 報酬のときのタイトル……報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 給与のときのタイトル……給与所得の源泉徴収票

 

生命保険の入院給付金など

生命保険から入院給付金が振り込まれることもあります。

これも「事業所得」にはならないので「事業主借」とします。

入金給付金は非課税ですが、入院したときの医療費から引いて医療費控除を計算します。

その他の収入で事業所得ではないものも同じように「事業主借」としますが、税金の扱いはそれぞれ確認しましょう。

 

まとめ

個人事業主が利息を「事業主借」と仕訳する理由について解説しました。

利息以外にも「事業主借」とすべき収入はあり、それらは思わぬタイミングでやってきたりします。

経理をすこし楽にするには、事業でつかう専用口座をもっておくのもよいかもしれませんね。

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいております。