業務委託で所得48万円以下のとき確定申告は必要か
収入は業務委託だけという前提ですが、所得48万円以下のとき、所得税の確定申告は、基本的に不要です。
いっぽう、住民税だけは確定申告が必要なケースもあります。
カギになるのは、基礎控除です。
所得48万円以下でも確定申告が必要なケースも、確認しておきましょう。
所得税は基本的に不要
所得が48万円以下のとき、「所得税」の確定申告は、基本的には不要です。
というのも、所得から、基礎控除48万円をひくことができるからです。
その結果、所得税はゼロになるのです。
ただし、業務委託の所得には「住民税」もかかります。
その住民税の基礎控除は、43万円です。
なので、所得が43万円を超えるときは、住民税の申告が必要になります。
所得税と住民税は、計算のしかたが、とても似ています。
その流れを、ざっくりですが、ともに確認しておきましょう。
まずは、全体像を。
計算は、上図を左から右へおこなっていきます。
まず、収入から経費をひいたものが、所得です。
ここまでは、所得税も住民税も、まったくおなじです。
その所得から「所得控除」をひいたものが、課税される所得。
この所得控除のなかに、基礎控除もふくまれます。
基礎控除は、だれでもひけるもの。
(所得が2,400万円をこえてくると逓減されていきます)
憲法25条には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあります。
これを根拠として、基礎控除が存在するのです。
ただし、その金額は、所得税と住民税で異なります。
- 所得税……48万円
- 住民税……43万円
所得が、それぞれの金額までなら、課税される所得はゼロになります。
とうぜん税金もかからないので、確定申告も不要になるのです。
このとき、所得税は不要だけど、住民税は必要…というケースもあります。
所得税の申告書は、日本全国共通です。
いっぽう住民税は、自治体ごとに様式が異なることがあります。
なので、住民税だけ申告するときは、市役所や区役所などで申告書を手に入れましょう。
ちなみに、所得税の申告データは、住民税のほうにまわされます。
所得税を申告しておけば、住民税の申告は不要なのです。
住民税だけ申告が必要なときに、あえて本来は不要な所得税の申告をして、市役所などへいく手間暇などをショートカットできるか…?
「できる」と断言はできません。
法律には書いていないことなので。
ただ、税務署へもっていったのに「申告は不要だから持って帰って」とつきかえされたという話も、聞いたことはありません。
やるなら自己責任で……と言わざるをえないのです。
こうした盲点のようなことを無くすため、税金関係は統一してくれると良いのですが…
さて、所得が48万円以下でも、確定申告が必要なときがあることも、確認しておきましょう。
確定申告が必要なとき
所得が48万円以下でも確定申告が必要なのは、つぎのときです。
- 青色申告をしているとき
- 過去に赤字の年があるとき
青色申告をしているとき
業務委託は、事業所得または雑所得のどちらかにあたります。
この2つの区分は、ときに、とても難しいことがあります。
ただ、基本的にはつぎのイメージです。
- 事業……それで食べている。それで生活をしている……というもの
- 雑……副業のような位置づけ
(あくまでイメージです。この2つの違いは過去の判例に根拠があるので、より詳しく知りたいときは「事業所得 雑所得 違い」などと検索して、オリジナルの文言を確認しましょう)
もし、業務委託が事業になるなら、青色申告をすることができます。
この青色申告をしていると、「青色申告特別控除」をつかうことができます。
所得の計算をするときに、最大65万円をさしひくことができるのです。
通常は「収入ー経費」と計算するところ、「収入ー経費ー青色申告特別控除」とできるのです。
この青色申告特別控除をつかうためには、「確定申告すること」が条件になっています。
なので、これをつかった結果で所得が48万円以下になるときは、確定申告が必要なのです。
過去に赤字の年があるとき
おなじく青色申告をしているときで、業務委託が事業にあたるときのおはなしです。
ある年が赤字になったとき、その赤字は、翌年以後3年間の黒字と相殺することができます。
たとえば……
- 去年……△100万円(赤字)
- 今年……+120万円(黒字)
このとき、今年の税金は、120万円をベースに計算しないことができるのです。
120万円から、去年の赤字である100万円をひいたのこりの20万円をベースに、計算できるのです。
このことを「相殺」と表現しました。
正確には「純損失の繰り越し」といいます。
この仕組みをつかうときは、確定申告が必要です。
まとめ
業務委託で所得48万円以下のとき確定申告は必要か、についてみてきました。
基本的に、所得税は不要ですが、住民税の申告だけが必要なこともあります。
2月になるとどこも混みはじめるので、1月中に目途をつけておきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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