損益計算書に載っている経費はどう見るべきか
経費の数字は、かならずしも実態を 100%反映したものではありません。
どう見るべきか…について、みていきましょう。
経費の数字を見ても分からないこと
損益計算書は、「今期どれくらいの利益がだせたか」が書かれているものです。
その利益とは、売上から経費をひいたもの。
でも、行動の順でいえば、さきに経費があり、売上は後からやってきます。
その経費とは、売上を得て、今後もやっていけるだけの利益をあげることを前提とした、いろんな活動を数字であらわしたもの。
いわば、過去の自分、あるいは自社の行動です。
その行動を、数字が 100%ピッタリあらわしているかと言えば…
きっと、そうではないですよね。
たとえば、次のようなこともあるかもしれません。
- 仕入れた商品を野ざらしにしていたので、傷んでしまった
- あたらしく入ってくれたスタッフが、予想外に頑張ってくれた
- せっかく買った車も、それほど乗っていない
- 半信半疑で導入したシステムで、時間をかなり節約することができた
- 必要だとおもって始めたものがあるが、効果を実感できていない
上のようなことは、経営者なら実感としてもっている方もいるはずです。
ただ、基本的には、経費の数字を見ただけでは分からないものでもある。
その数字には、自分の期待にてらしたムダのようなもの、あるいは期待をこえる効果があったことは反映されていないのです。
いっぽう、売上にも、自分の期待にてらして、いろんな感想をもつものですよね。
ただ、売上、つまりお客さまは、いわば他人です。
(他人とよぶほど冷たい関係じゃない…という意見もあるでしょうが、それはさておき)
その他人の行動は、変えられないもの。
なにかに気づいてもらって、行動を変えるきっかけくらいは作れるかもしれませんけれどね。
ということを踏まえれば、売上そして利益を、それ単体であれこれ考えてもしょうがない…といえる面もあります。
それよりも経費、つまり自分を変えれば、売上も利益も変わるかもしれない。
そして、その経費の数字は、かならずしも自分の行動を100%反映したものでもない。
ということを知って、経費を振り返るのがよいのではないか…と。
経費の数字をどう見るべきか
損益計算書を見れば、ズラッ~と経費がならんでいます。
それらについて、つぎのようなイメージを持ってみるのはどうでしょうか。
項目 | 損益計算書の数字 | 役に立ち度 | 自分の期待に照らした数字 |
○○費 | 100,000円 | 60% | 60,000円 |
△△費 | 200,000円 | 120% | 240,000円 |
××費 | 150,000円 | 不明 | 保留 |
「役に立ち度」というのは、自分の期待に照らしてどれくらいか…をあらわす「%」です。
経費というのは、基本的に、その金額どおりの効果を想像してお金をつかうもの…とするなら。
思ったよりも効果を感じられなかったのなら、100%よりすくなくなるでしょう。
いっぽう期待以上であったなら、100%を超えてくる。
という感じで、経費をながめてみましょう。
そして、なぜ「○○%」としたのかを、考えてみる。
それは、自分の過去の行動が、なぜ良かったのか・あるいは良くなかったのか。
こう振り返ってかんがえるのと同じこと。
そして、その先に、どう変えるべきかのヒントも出てくるかもしれません。
と同時に、ある経費を増やしたり、削ったりするかどうか…も。
実際に、うえの表のように数字をいじる必要はないですよ。
面倒ですし、ものの相場のように、しょうがない、自分では変えられない部分もありますから。
それに、単体ではなく、全体として効果を発揮するものも多いですし。
とはいえ、イメージは持ってみましょう。
というのも、それが経費、つまり自分を振り返るきっかけになるからです。
売上も利益も、お客さま次第。
自分だけでは、思うように変えることができないものです。
でも、経費だけは、自分で変えることができる。
その経費の現状を、あるていど客観的に教えてくれるのが数字です。
「あなたは、○○円分の価値のある行動をしているはず」と。
それに照らせば、自分を変えるきっかけを見つけることができるかもしれません。
悲しいかな、経営者になると、ふつうは誰も何も言ってくれません。
でも、数字には、すこしヒントが隠れていることもあるのです。
まとめ
経費を見るときには、その数字がかならずしも実態を 100%あらわしているものではない…ことを知っておきましょう。
それを踏まえて、過去の自分の行動を振りかえる必要があるのです。
ムダがあったのか。
期待を超えたものだったのか…という風に。
もちろん、いっけんムダにみえるものであっても、それがよい効果を生むこともあります。
そして、期待を超えたとしても、偶然だったり長続きしないものだったりするかもしれません。
と考えだせば、ややこしいことになってしまいますね…
ということを踏まえても、経費の数字には、自分を変えるヒントが隠れています。
経費の数字を、鵜呑みにはしないようにしましょう。
それが、将来の売上や利益を変えるきっかけになりますから。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。