住宅ローン控除:自宅で事業をするときは要注意

フリーランスが自宅で事業をするときは、事業用につかっている割合により住宅ローン控除が受けられなくなることがあります。

どのような仕組みになっているのかを解説します。

 

家賃または減価償却費が経費になる

フリーランスが自宅で事業をするときは、賃貸なら家賃の一部、マイホームなら減価償却費の一部を経費にすることができます。

とくに減価償却費は、経費にしてもよいし・しなくてもよい、という性質のものではありません。

うっかり忘れたときは、過去の申告を直す必要があるので計上モレには注意が必要です。

(参考記事)個人事業主が減価償却を忘れたらどうなるか

 

まずは、自宅のうち居住用・事業用それぞれの部分を、間取り図などを参考に面積などで「○○%:△△%」とわりだしましょう。

その後、次のように経費が計算されます。

  • 賃貸の場合……家賃×△△%
  • マイホームの場合……減価償却費×△△%

 

なお、マイホームは取得価額をもとに減価償却費を計算しますが、取得価額には次のようなものが含まれます。

土地・建物に共通のものはすべてを建物分にすることはできませんが、領収書をなくさないように気をつけましょう。

  • 建物の本体価格
  • 購入時の仲介手数料
  • 移転登記の登録免許税
  • 移転登記の司法書士報酬
  • 不動産取得税
  • 売買契約書の印紙代
  • 固定資産税の精算金

 

経費が多くなればそのぶん税金もすくなくなるので、事業用の割合をなるべく大きくしたいと思うかもしれません。

ですが、割合によっては住宅ローン控除が受けられなくなるかもしれないのです。

 

事業用の割合によっては住宅ローン控除を受けられない

住宅ローン控除を受けるためには、居住用の割合が50%以上でなければなりません。

 

住宅ローン控除の対象になる家屋は、個人がその居住の用に供する次に掲げる家屋(その家屋の床面積の二分の一以上に相当する部分が専らその居住の用に供されるものに限る。)とする。

一 一棟の家屋で床面積が50㎡以上であるもの
二 その他一定のもの

(租税特別措置法施行令26条を意訳)

 

言い換えると、事業用の割合が50%以下でなければ住宅ローン控除は受けられないのです。

かりに50%以下だったとしても、住宅ローン控除をフルに受けることはできません。

居住用の部分のみとなってしまうのです。

 

しかし、ここで一つ特例があります。

もし居住用の割合が90%以上なら、住宅ローン控除をフルに受けられるという特例です。(租税特別措置法通達41-29)

言い換えると、事業用の割合が10%以下なら住宅ローン控除をフルに受けられるのです。

 

ここまでをまとめると、次のようになります。

事業用の割合 住宅ローン控除
10%以下 100%受けられる
10%超~50%以下 居住用の部分のみ受けられる
50%超 受けられない

 

このように、減価償却費と住宅ローン控除の兼ね合いはややこしめの関係になっています。

税金を考えて事業用のスペースを調整する必要はないと思いますが、「50%」という区切りだけは意識しておきましょう。

 

まとめ

フリーランスが自宅で事業をするときは、事業用の割合におうじて住宅ローン控除を受けられる金額は変わっていきます。

事業割合が50%を超えると住宅ローン控除は受けられない。

このことだけは覚えておきましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。