ふるさと納税で得する仕組み・損する可能性

ふるさと納税をすると、返礼品のぶん得をします。

ただ、過熱すると、得したぶんが損となり、自分にはねかえってくる可能性もあるのです。

 

得する仕組み

ふるさと納税とは、個人のかたが、ある自治体へ「寄付」をし、その見返りに返礼品をもらうことをいいます。

 

寄付をするのに、なぜふるさと「納税」という言葉なのか……?

それは、寄付をしたぶん、個人の税金(所得税と住民税)がへることからきています。

ただ、寄付と税金をひっくるめて考えたとき、寄付をする前と後で、でていくお金はほとんど変わりません。

(厳密には、寄付をした後のほうが2,000円ふえます)

 

つまり、税金のいちぶが寄付に置きかわるようなもの。

その寄付も、ある自治体へ税金をおさめるようなものといえます。

なので、ふるさと納税というのです。

 

ふるさと納税をする前と後をくらべると、次のようになります。

 

つまり、2,000円で返礼品を買うようなものといえるのです。

その返礼品は、法律により、寄付した金額の30%以下とさだめられています。

たとえば「10,000円」の寄付をしたなら、仕入れ値で「3,000円」までのものが送られてくるのです。

 

ふるさと納税をする前と後で、でていくお金はほとんど同じです。

でも、返礼品がある。

その返礼品のぶん、得をするわけなのです。

 

ただ、次のことには注意しておきましょう。

  • 節税ではない
  • 上限がある
  • 名義に注意
  • 確定申告が必要
  • ふるさと納税の「ふるさと」とは

 

節税ではない

ふるさと納税をする前と後をくらべたとき、でていくお金はほとんど変わりません。

たしかに税金はへりますが、税金のいちぶが寄付に置きかわるだけです。

なので、トータルでみたとき、節税にはならないことを知っておきましょう。

 

上限がある

ふるさと納税をすることにより、税金はへります。

ただし、税金をへらす効果には、上限があります。

その上限とは、ざっくり住民税の20%ほどです。

この金額をこえてふるさと納税をするなら、トータルの出費はふえてしまうのです。

 

くわえて、ふるさと納税をするタイミングの問題もあります。

所得税も住民税も、1年(1月~12月)ごとに計算します。

ふるさと納税を税金の計算に組みこむには、おなじ年にふるさと納税をする必要があります。

つまり、1年の税金がいくらになるか分からない状態で、上限をかんがえなければならないのです。

 

「ふるさと納税 シミュレーション」と検索すると、いくつかのサイトがでてきます。

こうしたサイトを利用するのもアリですし、自分で手計算してみるのもよいです。

いずれにしても、「じつは上限を計算するのはむずかしい」ことを知っておきましょう。

 

名義に注意

ふるさと納税は、寄付をしたかたの税金の計算に組みこまれます。

たまたま自分のカードがなかったので、家族のカードをつかってしまった…

このようなときは、自分の税金ではなく、その家族の税金がへることになります。

ふるさと納税をするときは、名義にも注意しておきましょう。

 

確定申告が必要

ふるさと納税は、原則として、確定申告が必要です。

医療費のように。

 

例外的に、つぎの条件をともに満たすなら、確定申告が不要になるワンストップ特例を利用することもできます。

  • 年末調整をうけているなど、そもそも確定申告が必要ない
  • ふるさと納税をする自治体が5つ以内

 

ふるさと納税の「ふるさと」とは

ふるさと納税は、そもそも自分が育った自治体などに寄付をする趣旨でつくられた制度です。

大都市にひとが集まれば、地方の自治体はひとが少なくなり、税収もへってしまいます。

そんな中、自分が育った自治体が困らないように、応援することもできる。

なので「ふるさと」と冠がついているのです。

 

このことが、つぎの「損する可能性」にもつながっています。

 

損する可能性

今度は、税金をはらう側ではなく、受けとる側からみてみましょう。

  • いま住んでいる自治体
  • ふるさと納税をする先の自治体

 

いま住んでいる自治体

ふるさと納税をすることにより、いま住んでいる自治体の税収はへります。

たとえば練馬区では、「ふるさと納税により練馬区の住民税が失われています!」という記事を公表しています。

それによると、令和6年度では50億円ほどが、流出するそうです。

つまり、練馬区在住のかたが、50億円を超えるふるさと納税をしているわけです。

 

これくらいの金額があると学校が1つ作れますし、半年分くらいのゴミ処理にかかる費用に相当するとのこと。

なので、ふるさと納税をしすぎると、自分の身の回りにはねかえってくる可能性もあるわけです。

 

ふるさと納税をする前と後で、でていくお金はほとんど変わりません。

ということは、日本全体の税収(収入)も変わらないわけです。

ふるさと納税により、税金(寄付をふくむ)の受けとり先が変わっただけのことなのです。

このようなことも、気にしておきましょう。

 

ふるさと納税をする先の自治体

ふるさと納税を受けいれる自治体に問題がないかといえば、そうでもありません。

というのも、返礼品の「仕入れ」をしなければならないからです。

 

その仕入れは、寄付として受けいれる金額の30%以下までと決められています。

ただ、返礼品は地場産品にかぎられています。

基本的には、ふるさと納税をする先の自治体で事業をしているかたの収入になるのです。

全体としてみれば、その自治体がうるおうことにつながります。

 

でも、仕入れ以外にも、役所のかたの人件費や送料もかかります。

もしかしたら、ふるさと納税をあつかうサイトの手数料なども。

 

こうしたことを踏まえると、自治体が自由につかえるお金はへっていきます。

寄付した金額の、ヘタをすると半分くらいまでに。

 

ふるさと納税が過熱すると、結局はそれぞれの自治体の税収がへることになります。

となると、いつか「増税を…」なんてことにもつながってしまうかもしれません。

なので、ほどほどにしておくのがよいかな…と思っています。

 

まとめ

ふるさと納税で得する仕組み・損する可能性についてみてきました。

ときには、住んでいる自治体の予算を検索してみるのも、興味深いかもしれません。

「税金って、どんな風につかわれているのか」と。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。