資産でチェックするのは「お金を生むかどうか」
資産は、事業において、お金が入ってくる仕組みをつくるものです。
それぞれがお金を生んでいるか…という視点を持ってみましょう。
資産と負債と純資産
お金が入ってくれば収入、出ていけば経費…とはかぎりません。
収入や経費のかわりに、資産や負債・そして純資産になることもあるのです。
これら資産・負債・純資産は、利益の計算には組みこまれません。
そのため、利益とお金のうごきにズレが生じるのです。
そして、これら3つのものは、いずれも貸借対照表にあらわれます。
資産・負債・純資産のちがいは、たとえば次の例えであらわすことができます。
- いま「100円」もっているけれど、友だちに「30円」借りている。このときの実質的な財産は…?
このときの資産は「100円」で、負債が「30円」、そして純資産が「70円」です。
こうしてみると、そんなに難しいことでもありません。
ただ、事業をしていると途端に複雑になってきます。
持ち物がふえてくるので。
根本的が考えかたは、次のとおりシンプルです。
- 資産……将来、お金にかわる・お金を生む可能性のあるもの
たとえば貸付金や売掛金は、将来お金にかわります。
また、商品の在庫は、売上となってお金を生む可能性があります。
さらに、車や機械など固定資産は、それを使うことにより、間接的にお金を生む原動力となります。
車がなければ仕事に行けない…と考えてみましょう。
- 負債……将来、お金や自分の持っているものを引き渡さなければならないもの
借入金は、将来、返済のためにお金がでていきます。
ある仕事の代金を前受けしたら、将来「自分が働くこと」あるいは「自分が持っている商品など」を相手に引き渡すことになります。
- 純資産……実質的な財産
うえの例えであげたように、資産と負債の差額が純資産となります。
事業をしていれば、これら3つのものと付き合っていくのは避けて通れません。
そのなかでも、資産について確認しておきましょう。
負債と純資産にくらべれば、売上や利益に近いものなので。
その資産はお金を生むかどうか
事業とは、お金が入ってくる仕組みをつくること…ともいえます。
働く…と表現することが普通かもしれませんが、その働くことの目的は、お金が入ってくることですから。
お金は、必ずしもたくさん入ってこなくても良いのです。
ただ、事業を続けていくなら、最低限、稼がなくてはいけないラインもあります。
お金が足りなくなってしまえば、事業を続けられないので。
なので、「どうやってお金が入ってくるか」は意識せざるを得ません。
その仕組みをつくっているのが、資産です。
ということは、資産の持ちかたにより、入ってくるお金は変わる可能性があるのです。
資産には、「お金を生むかどうか」という観点をもってみましょう。
ひょっとしたら、「お金を生まないもの」だってあるかもしれないので。
お金そのもの
現金や預金は、お金のままで持っていることを選んだもの…といえます。
いつかトラブルで事業が上手くいかないようなときのために、どうしてもお金の備えも必要です。
ただ、事業は、先にお金が出ていき、後から入ってくるものです。
仕入れをしたり、広告などの経費をつかうから、売上があがるように。
お金をうまく活用できていないか…チェックする余地はあります。
売掛金や貸付金
これらの中に、回収できていないものはないでしょうか…?
それは、もしかしたら経理のミスかもしれません。
あるいは、取引先と連絡がつかなくなるようなこともあります。
もしかしたら、相手が完全に忘れていたり、振り込み間違いだったりすることも…
事業を長く続けていると、放置されて、内容不明なものが膨れ上がることもあります。
でも、こうしたものは、実務では、簡単に直すことができないのです。
利益調整を疑われるので。
すると、書類などを整えて、過去の申告を直す…ということに発展することもあります。
これは面倒ですよね。
売掛金や貸付金の中味は、定期的にチェックするようにしましょう。
仮払金
仮払金とは、次のようなものです。
- 経費の前払いなどで、とりあえずお金を渡したものの、まだ精算されていないもの
- お金が出ていったが、内容がまだ分からないもの
この仮払金は、こまめに内容をチェックするようにしましょう。
完全に内容が分からない…となれば、税理士のわたしでもどうすればよいか困ることがあります。
それに、事業の役に立っていない可能性は、できるだけ少ないほうがよいですから。
商品の在庫
商品をどれくらい仕入れるか…というのは、とても悩ましい問題です。
売り切れるようにするなら、もし在庫があれば売れたのに…という機会を逃すかもしれません。
いっぽう、売れ残ってしまえば、原価割れで処分するはめになるかもしれません。
最悪、捨てる…という選択肢も。
理想は、できるだけ少ない在庫を持つことです。
お金が出ていってから、売上として戻ってくるまでの時間を短くするために。
この時間が長ければ、べつにお金を用意する必要がでてきます。
たとえば、「100」のお金を持っていたとしましょう。
- 在庫を「30」買う……残り「70」で普段の仕事をまわしていく
- 在庫を「50」買う……残り「50」で普段の仕事をまわしていく
どちらが安全なのか…
それは、手元のお金が多いほうです。
なので、お金が出ていったら、なるべく短い時間で売上として戻ってくるのがよいのです。
また、売上として入ってこない可能性をできるだけ少なくするためにも。
というわけなので、在庫のチェックは「必ず」こまめにやりましょう。
固定資産
固定資産とは、車や機械・工具・備品・建物のような長くつかうものです。
そして、これらは事業の仕組みを支えるものでもあります。
それが無ければ、事業が成り立たない…ともいえるもの。
ただ、どれくらい事業の役に立っているのかを、数字で把握するのは難しいです。
これらの役に立ち度合いは、減価償却費として経費にあらわれます。
でも、その金額は、税金の法律や企業独自の指針などで決められたもの。
ひょっとすると、机上の空論かもしれないのです。
固定資産は、高いものでもあります。
すくなくとも、その代金をカバーできるだけの利益がでているかはチェックしましょう。
1年だけではなく、それを持っている期間トータルで。
そして、その固定資産があることにより、どれくらい利益がふえるのか。
あるいは、他の経費が軽減できるのか。
こうしたことも、「買う前に」チェックしておきましょう。
大きなお金が出ていくということは、リスクでもあるのです。
その金額以上の利益がだせないかも…という。
それが本当にお金を生むのか…ということを、よくよく検討するようにしましょう。
「必要だから」という理由だけでは足りないこともある…という風に。
まとめ
資産には、お金を生むかどうかという視点が欠かせないことについて確認してきました。
資産は、お金が入ってくる仕組みを支えるもの。
このことが原因で、「自宅は持ち家じゃない方がよい」なんて意見がでてきたりもします。
お金を生まないうえ、持っているだけでお金がかかるから、資産じゃなくて負債じゃないか…と。
もちろん、お金のことだけで考える必要はありません。
でも、事業にとってお金は生命線なことも忘れないようにしましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
当事務所のサービス