家族旅行が経費にならない場合・なる場合
家族旅行は、基本的には経費になりません。
でも、仕事との関連がゼロでなければ、経費にできる余地があります。
経費の基本をおさえてから、旅行代が経費になる場合についてみていきましょう。
基本:家族旅行は経費にならない
一般に家族旅行は、観光、自分たちが楽しむため、思い出づくり、帰省、家族サービスなどのために行くものです。
もし、こうした家族旅行でも経費になるなら、税金はすくなくなります。
でも、このような家族旅行は経費にはなりません。
というのも、経費とは、つぎの2つの条件を満たすものだからです。
- それがなければ、仕事ができない
- 仕事をしなければ、それは必要ない
もし、経費ではないものを経費として申告すると、つぎの結末が待っています。
- 個人……経費からはずして申告のやり直し
- 法人……旅行代を「給与」として申告のやり直し
ともに、追加の税金と罰金を払うはめになってしまいます。
経費とは、つまり仕事に必要なものです。
なので、家族旅行といえども仕事に関連があるなら、経費にできる余地はあります。
どんなものだったら経費になるのかを、みていきましょう。
家族旅行が経費になる場合
家族旅行が経費になるのは、次のようなケースです。
- 福利厚生のため
- 取材や調査、視察、営業、研修のため
- 取引先の接待のため
福利厚生のため
福利厚生とは、それをすることにより、従業員のやる気や団結心をあげることを目指しておこなわれるものです。
その結果、事業の業績もよくなっていく……と。
福利厚生には、たとえば次のようなものがあります。
- 健康保険や厚生年金などの社会保険
- 社員食堂や食事代の補助
- 健康診断
- 社宅
- お祝い金や見舞金
この福利厚生の一環で、家族旅行をおこなうこともあります。
ただし、福利厚生は、利益をあげる・ふやすことが最終的な目的です。
世界一周のように豪華なものをすれば、本末転倒になりかねません。
そこで、つぎの範囲におさまるものという条件がつけられています。
- 4泊5日以内
- 全人数の50%以上が参加
- あまり高額ではないこと
- 不参加のかたに旅行代分などの名目でお金を渡さない
福利厚生は、従業員にたいするものです。
なので、従業員がいない場合・役員しかいない場合は、福利厚生は存在しません。
また、福利厚生は「全」従業員にたいするものでもあります。
もし、仲が良いだれかだけと旅行、あるいはえこひいきなどすれば、団結心は下がるでしょう。
かえって仲が悪くなり、業績も下がるかもしれない。
なので、全従業員が参加できる状態でなければ、福利厚生にはなりません。
ここまでの条件を満たすなら、福利厚生費として家族旅行代は経費になります。
取材や調査、視察、営業、研修のため
取材や調査、視察、営業、研修のためであれば、家族旅行を経費にすることができます。
その旅行がすべて仕事のためのもので、全員が仕事をしているなら、100%が経費になります。
いっぽう、次のようなこともあるかもしれません。
- 仕事の旅行に、家族がついてきた
- 家族旅行の合間に、仕事をした
このようなときは、家族旅行のすべてを経費にすることはできません。
仕事に関係するぶんだけ・仕事をした人のぶんだけを抜きだして、経費にしましょう。
このとき大事なのは、「証拠」を残しておくことです。
仕事をしたときの書類やパンフレット、名刺、写真、仕事をした時間が分かるもの、など。
それが経費になることは、自分で証明しなければなりません。
だから、もろもろの経費の領収書などを保存するわけです。
「旅行のときに仕事をした」ことについても同じなのです。
取引先の接待のため
接待として、取引先を旅行に招待したり、一緒にいくこともあります。
ゴルフだったり観光だったり、などで。
ときには、家族ぐるみでの付き合いもあるでしょう。
そのときは、それぞれの家族も一緒に旅行へいくということもあります。
このような接待であれば、交際費として経費になります。
ただし、交際費というのは、それにより仕事を受注するなど収入や利益につなげるのが目的です。
たがいの状況や、それまでの取引、将来の見込みはどうなっているでしょうか。
旅行には、時間もお金もそれなりにかかります。
それに見合った見返りが見込めないのなら、経費とはならない可能性もあることに注意しましょう。
まとめ
家族旅行が経費にならない場合・なる場合についてみてきました。
家族旅行は、経費になる可能性はあまりありません。
旅行代はそれなりに高額になることもあり、帳簿をみたときに目を引くこともあります。
なので経費になるかの検討や、証拠をそろえるなど忘れずにやっておきましょう。
もちろん、楽しむことも忘れずに。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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