「○○は経費にならないか」という質問の答え
経費にモレがあれば、余計な税金をはらうことになってしまいます。
ある支払いが経費になる・ならないの基準を確認してから、経費の本質についてもみておきましょう。
「○○は経費にならないか」の答え
税金の計算をするとき、もし経費にモレがあれば、その税金はほんらいのものより多くなってしまいます。
余計に税金をはらうことになるわけです。
あとで領収書などがみつかれば、余計にはらった税金を取り戻せる可能性はあるものの、手間がかかるし、そもそも最初から余計に税金をはらうことは無くしたいもの。
なので「ほかに経費になるものはないか」と、ふだんの行動を振り返りながら、余計な税金をはらわないように気をつけるものです。
そんなとき、「○○は経費にならないか」という質問をいただくこともあります。
残念ながら、税金には「知らぬものが損をする」という側面があります。
そして、法律において「経費とはなにか」はハッキリ分かるようには書かれていません。
もし、経費がたんに「事業に関係するもの」なら、そこにはすべての支払いがふくまれてしまいます。
なぜなら、事業をするためには生きなければならないので、普段の生活の支払いだって「間接的には」事業に関係していると解釈することもできるからです。
寝なきゃ仕事ができないから、布団も経費……などと。
なので、経費は「事業に直接関係するもの」に限定されています。
でも、この表現も曖昧ですよね。
「○○は経費にならないか」の答え
それが経費になるか迷ったら、「売上との関係を説明できるか」かんがえてみましょう。
- それがなければ仕事ができない・仕事にならない
- 仕事をしなければ、それは必要ない
このような視点から、事業との関係を説明できるのなら、それは経費です。
これでもハッキリしないときは、次のようにかんがえてみましょう。
- 赤の他人が「事業のためにつかいました」と、ある領収書をもってきました。
- このとき、それを経費として認めますか……?
もし認めるなら、それは経費です。
正直なところ、やっぱり税金はすくないほうがよいものです。
手取りが減ってしまうし、その税金がなければ手に入るものだってありますし……
でも、こうした気持ちが、経費を見る目を惑わすことには注意が必要です。
経費を見る目
ほんらい経費は、それにより「利益」を稼ぐためのものです。
経費ゼロで事業がなりたつなら、それに越したことはないのかもしれませんが、現実にはムリなことです。
どうしても経費はかかるもの。
よりおおくの利益を稼ごうと思ったら、収入をふやすか経費をけずるしかありません。
もし収入をふやしたいなら、それに応じて仕入れなどの経費はふえてしまいます。
でも、収入ではなく「利益」が目的であることが分かっていれば、歯止めはきくものですし、きかなければなりません。
いっぽう、収入がゼロでもかかってしまう家賃などの固定費は、利益との関係がより目に見えやすいです。(数字上は)
それをけずれば、そのぶん利益がふえるので。
このように、「利益」を中心にかんがえると、「経費は減らしたい」となるのが自然です。
ところが、「税金」を中心にかんがえると、「経費は増やしたい」となることも……
これが経費を見る目を惑わします。
たとえば年度末が近づいてきたときに、自分の想像以上の利益がでていたとき。
欲しかったモノやサービスを先取りで買うこともあるでしょう。
こんなときは、「利益と税金」とどちらを中心にかんがえているか、自問が必要です。
というのも、お金をつかうかどうかは自分で決められますが、利益をふやせるかどうかは自分で決められることではないからです。
お客さま次第……だからです。
いってみれば、税金をへらすのは簡単です。経費をふやせばよいので。
でも、利益をふやすのは簡単ではありません。
事業が順調になってきたときほど、このことを忘れないようにしましょう。
経費は「利益をかせぐため」のものです。
「税金を減らすためのもの」とは思わないようにしましょう。
経費を見る目をやしなうのも、簡単なことではないので。
その目が曇ってしまうのは、もったいないです。
まとめ
「○○は経費にならないか」と気になったときに、どんな基準で経費を考えるのかを確認しました。
経費は、税金を減らすためのものではなく、利益をかせぐためのものです。
その経費を見る目をやしなうのは難しいことですが、いっぽう税金を減らすのは簡単です。
自分にとって難しいことのほうが価値がある……はずです。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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