頭の中で忘れがちな経費

毎月のお金の流れは、意識しなくても体が覚えていることもあります。

ただ、なかには忘れがちな経費もある。

それらは多額になることも珍しくないので、その傾向を知っておきましょう。

 

頭の中で管理

事業が落ち着いてくると、お金の流れもなんとなく体で覚えているような感覚になります。

給料日や借り入れ返済日、あるいは月末といったタイミング。

それぞれで、どれくらいのお金が入ってきて、そして出ていくか。

それらから逆算して、それぞれのタイミングでどれくらいの残高があればよいのか。

こうしたことが、体に染みつくようになっていくのです。

 

もちろん、すべての業種で…とは言いません。

業種によっては、いつも状況が変わるようなこともありますから。

とはいえ、水道光熱費や電話代などは、毎月やってきますよね。

ある程度は、どんな業種にも固定の部分はあるわけです。

 

すると、会計データなどの数字をみなくても、お金のことは頭のなかで管理できることもある。

そのときに気をつけたいのが、臨時にやってくる支払いです。

 

年払いのもの、2~3年周期でやってくるもの。

これらは往々にして、それなりにまとまった金額であることも多いです。

そして、その時だけ、お金の回りかたはいつもとは変わる。

いつもより多めにお金を用意していないと、ちょっと困ることもあるのです。

それが、頭のなかで忘れがちな経費。

 

具体的に気をつけたいものを、確認しておきましょう。

 

頭の中で忘れがちな経費

頭のなかで忘れがちなものは、「使いたくて使ったんじゃない」というものが多いです。

自分から使おうと思って使うなら、頭のなかにも残りますからね。

たとえば、節税を意識して入った保険の年払い。

これを忘れることは、1年に1回の支払いとはいえ、案外なかったりするものです。

 

使いたくて使ったんじゃない。

それは、たとえば次のようなものです。

  • 2~3年周期でやってくるもの
  • 納期の特例(源泉所得税、住民税)
  • 中間納税
  • 自動引き落としではない社会保険料
  • ときにカード

 

2~3年周期でやってくるもの

たとえば、次のようなものは目にすることも多いです。

  • 家賃の更新料
  • 業務で必要なソフトや備品の更新、入れ替え
  • 設備の義務的な点検

 

事業をやっていくうえで、どうしても必要なモノやサービスがあります。

それらは、うえに書いたように、2~3年くらいの周期で更新や入れ替えがやってきます。

なかには安価なものもありますが、数十万円くらいになるのも珍しくはない。

業務用のものって、高いですからね。

 

せいぜい年に1回なら、手帳にも書けるので忘れにくいのですが。

こうしたものは、リストを作っておくなど用心しておきましょう。

 

納期の特例(源泉所得税、住民税)

役員報酬や給与からは、所得税や住民税を天引きします。

それらは給料日の翌月10日までに、じぶんで納付書をつくり、税務署へ払うのです。

基本的に、これは毎月おこなうもの。

でも、納期の特例をつかうと、半年ごとにまとめることができます。

つまり、年に2回、払えばすむ。

 

ただ税金って、払いたい…とは感じないですよね。

だから、ついつい忘れがちになるものです。

 

納期の特例をつかうと、手続きはラクになりますが、毎回の金額はまとまったものになりがち。

お金が足りなくなってくると、この源泉所得税や住民税から滞納がはじまることも多いです。

これらについては、会計データにある貸借対照表の預かり金をチェックしておきましょう。

そして、その分のお金が浮いていることが理想です。

 

中間納税

おなじく税金ですが。

法人税や所得税、消費税などには、前年度の実績におうじて中間納税という仕組みがあります。

(予定納税という言い方もあります)

つぎの申告の前払いとして、年度の途中にいくらか払っておく。

そしてその分、つぎの申告時にはらう税金はすくなくなる…と。

 

この中間納税は、期限の1~1.5か月ほど前に、通知がとどきます。

ただ、とくに消費税はまとまった金額になることも多いです。

前年度1年分の半分、あるいは1/4の金額を想像してみましょう。

それが、中間納税になることも多いので。

 

だから、通知をみてからお金を用意しようとすると。

間に合うかどうか怪しいこともあったりするのです。

この中間納税は、確定申告が終われば、つぎの年度の金額はわりだせます。

あらかじめ予定に組みこんでおくと、良いですよ。

 

自動引き落としではない社会保険料

事業を始めたばかりのとき。

社会保険料(健康保険・厚生年金)は、じぶんで金融機関にはらいに行くこともあります。

いずれは引き落しにするとラクなのですが。

 

これも、ときに忘れてしまうことが出てきます。

ただ社会保険でやっかいなのは、督促がひかくてき早めなこと。

請求書に督促状がまじってくると、うっかり同じ月のものを2回はらってしまうことも。

すると、このあたりを整理するのも面倒になってしまいます。

 

事業を始めたばかりのときは慣れないこともおおいです。

でも、支払いを溜めてしまうと、かえって手間がかかることもあるのに用心しておきましょう。

 

ときにカード

自分で使ったものとはいえ、カードの引き落としは忘れることもあります。

使ってから引き落しまでが、長いこともありますからね。

 

ただ、その忘れた引き落しが多額だったりすると、予想外の攻撃を受けた気分になるものです。

毎月のお金のサイクルは覚えたつもりでも、カードの引き落としでダメージを受けるようなことに。

すると、次がちょっと足りない…ということにもつながります。

忘れるのが怖いときは、カードであまり大きな買い物をしないのも良いですよ。

 

まとめ

事業を続けていると、お金のサイクルは体で覚えるようになってきます。

頭のなかで、大体の事を管理できるような気持ちに。

そこで落とし穴のようにやってくるのが、忘れがちな経費。

とくに、使いたくて使ったんじゃない…というようなもの。

 

これらは多額になりがちですから、メモや予定・資金繰り表などにも工夫をしておきましょう。

忘れたがゆえのダメージもありますからね。

 

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。