税理士には法律により出来ないことがある

事業をおこなっていると、税金だけではなく、いろんな法律上の手続きが必要になります。

そのすべてを税理士ができるわけではないので、誰かを探す場面もでてきます。

そのときは「将来のことまで考えてくれるかどうか」をポイントに、かならず会って話をしてから決めましょう。

 

税理士には法律により出来ないことがある

おおくの中小企業には、顧問として、あるいは決算・申告だけなど何らかのかたちで税理士がかかわっています。

その中小企業を経営していると、次のような手続きが必要になることもあります。

  • 健康保険や労働保険など社会保険の手続き
  • 補助金や助成金の申請
  • 不動産の名義変更
  • 業種におうじた許可や認可
  • もめごと(裁判)

 

このような手続きを前に、「税理士さんでやってくれない?」と言われることもままあります。

どれもこれも最終的にはお金がからんでくることなので、法律をよく知らないまま失敗をして、ムダにお金を失いたくはないものです。

 

でも、税理士としても「どんなことでもまかせてください」とは言えない事情もあるのです。

というのも、税理士など法律の専門家には、それぞれ「独占業務」といわれるものがあるからです。

 

独占業務とは、ある資格をもっていなければできない業務をいいます。

ある法律上の手続きは、決められた「○○士」しかできないのです。

たとえば、次のように。

  • 誰かのために税金の申告書をつくる……税理士
  • 誰かのために社会保険の手続きをする……社会保険労務士
  • 誰かのために不動産の名義変更(登記)をする……司法書士
  • 誰かのために許可や認可の申請をする……行政書士
  • 誰かのために裁判で戦う……弁護士

 

それぞれ国家資格なので「税理士なら税理士法」というように、それぞれ「○○士法」という法律が存在します。

その法律のなかで、「資格がないものが独占業務をおこなうと罰則をあたえるよ」というルールがもうけられています。

税理士も、税理士以外の○○士の独占業務をやってしまえば、その罰則をうけるのです。

 

ただし、ある法律ごとについて、いわゆる一般論を説明する「だけ」のことは独占業務にはあたりません。

ざっくりとした法律の仕組みを説明するだけなら、どんなかたでもできるのです。

 

とはいっても、「上記のような手続きで困っている」とお話をうかがうとき、ほとんどの場合は「それをしなければならない状態」です。

悠長にイチから調べている時間もなかったりします。

 

となると、誰かを見つけなければならない……と。

そのときのポイントをみていきましょう。

 

○○士をどう探すか

税理士など○○士のことを、ひとまとめにして士業といいます。

その士業にとって、仕事を取るための方法は「紹介」が王道でした。また、いまでも主流です。

 

というのも、長い間、われわれ士業は「広告を出すことができなかった」からです。

広告規制があったのです。

 

広告というと、「お金をかせぐためのもの」というイメージです。

いっぽう士業の仕事は、お金ではなく法律にのっとって正しいようにやりなさい、とそれぞれの○○士法で定められています。

「あまりお金に積極的にならないように」ということが、暗黙知として広がっている業界なのです。

 

そのため広告規制がされていましたが、今では撤廃されています。

それでも「お金ではなく法律にのっとって」ということまで無くなったわけではありません。

また、仕事を取る方法が紹介メインのかたも多いのです。

 

ただ、紹介と聞くと安心感もあります。

「○○さんが頼んでいる」

「○○さんが良いと言っていた」

いわゆる口コミですが、まったくのゼロ状態で依頼をするよりかは安心感があるものです。

また、紹介ならではの「特別感」も期待しますしね。

 

いっぽうで、「○○さんには良かったけど、自分には良くない」ということだってあり得ます。

たとえば料理なんかがそうですよね。

「ここのラーメン、○○さんはおススメしていたけど、そうでもないな……」

 

このことは、料理にかぎらず、どんなことにも当てはまります。

それが自分にとって大事な事なら、やっぱり自分の目で探さなければならないと思います。

 

もし時間があるなら

  • インターネットや口コミで多くの士業のホームページや情報を探しましょう
  • 1人だけではなく、複数のかたに会って話をしてみましょう

 

このとき、次の視点から提案をしてくれるかどうかがポイントです。

  • 将来をふまえたとき、今はどうすべきか

 

この質問にこたえるためには、過去・現在そして将来とたくさんの情報が必要です。

法律上のできごとは簡単に取り消すことができないということもありますが、なによりたくさん話を聞いてくれるということが大事です。

 

たとえ表面上が仏頂面でも、将来のことまで考えてくれる人というのは、士業にかぎらず少ないです。

いっぽう、にこやかな笑顔であっても「こなすだけ」の仕事をするかたも、これもまた士業にかぎらず存在します。

 

「将来のことまで考えてくれるかどうか」

この点をポイントに、○○士を探すようにしましょう。

 

まとめ

事業をおこなっていると、いろんな法律上の手続きが必要になります。

そのすべてを税理士ができるわけではないので、誰かを探す場面もでてきます。

そのときは「将来のことまで考えてくれるかどうか」をポイントに、会って話をしてから決めましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。