儲かっているのにお金が足りなくなるのはなぜか

儲けとお金は別物です。

このことを分かっていないと、お金が足りなくなる原因となり得ます。

儲かっているのにお金が足りなくなる理由、その対策についてみていきましょう。

 

儲かっているのにお金にお金が足りなくなる理由

儲かっているかどうかは、「収入ー経費=利益」と計算します。

この結果がプラスなら、つまり黒字なら、儲かっている状態です。

 

儲かっているなら、お金が足りなくなるはずはない……と考えがちですが、次の理由により足りなくなる場面もおとずれます。

  • 入金と出金のタイミング
  • お金が出ていったのに経費にならないものがある

 

入金と出金のタイミング

儲けを考えるときは、「収入ー経費」と「先に収入」をイメージするものです。

決算書(損益計算書)でも、いちばん上にあるのが「売上」なので、どうしても「先に収入」をイメージするのが自然に思えます。

 

でも、事業におけるお金の流れをかんがえると、「先に支払い」がくるのが当然です。

たとえば商品を仕入れ、それから売上がくることのように。

サービス業であっても、もろもろの準備のため、先に支払いがきます。

儲けではなく、お金のことを考えるときは、「先に支払い」をイメージするのが自然なのです。

 

ある時点で、次のように儲かっている状態だとしましょう。

  • 収入……200
  • 経費……150(給与と仕入れ)
  • 利益…… 50

 

こんな状態でも、次のようにお金が足りなくなることはあり得ます。

  スタート時 給与の支払い時 仕入れの支払い時 売上の入金時
入金       200
出金   △80 △70  
残高 100 20 △50 150

 

最終的には、儲かっているぶん、お金は増えます。

でも、道中では、このようにお金が足りなくなる場面がおとずれることもあるのです。

 

お金が出ていったのに経費にならないものがある

次のようなものは、お金が出ていっても経費とはカウントしません。

  • 売れていない商品(在庫)
  • 固定資産のうち、減価償却していない部分
  • 生命保険料のうち、将来の部分
  • 借入金の元本返済
  • 会社のお金を、役員が個人的につかう

 

このようなものがあるときは、儲けの計算を次のように続けてみましょう。

  • 収入ー経費ーお金が出ていったのに経費にならないもの=?

 

もし、この結果がマイナスになるなら、お金は足りなくなります。

 

ちなみに、お金が出ていったのに経費にならないものは、貸借対照表で「資産の増加」または「負債の減少」としてあらわれます。

このことは1年に1回つくる決算書ではなく、試算表のほうが確認しやすいです。

折に触れてチェックするようにしましょう。

 

では、お金が足りなくならないようにするにはどうしたら良いのか、みていきましょう。

 

どう対策するか

お金が足りなくならないようにするには、「将来の入金・出金」を予測しなければなりません。

そのためには、「資金繰り表」をつかって考えるのがやりやすいです。

 

資金繰り表は、インターネット検索でもいろいろ出てきますが、たとえば次のようなものです。

Excelなら簡単につくれるので、ご自身の興味にあわせて枠を増やしたり削ったりしましょう。

 

このサンプルでは、ある月のものを「10日ごと」に集計していますが、実際のお金のサイクルにあわせ、比較的おおきな入金・出金ごとに日付の区切りを決めるのがよいです。

また、車や設備を購入するなら、別に枠をもうけましょう。

 

さて、いきなり将来の予測をするのは大変なので、まずは過去のものをつくってみましょう。

口座の履歴や現金出納帳などをもとに。

 

それから、それを将来の数字に置きかえましょう。

 

なので、この作業は「将来の情報を持っているかた」しかできません。

ある程度のところまでだったり、過去のものをつくるのは他のかたでもできます。

でも、将来の情報は、まだ請求書や納品書などになっていなかったり、頭の中にしかないこともあります。

最終的には、「社長や役員みずからがやること」なんだと思いましょう。

 

この将来の予測は、まずは来月のものを。

何回かやれば慣れてきますので、それから少しずつ足を延ばしていきましょう。

たとえば年度が終わるまで、など。

 

それから、いちど予測をしたら、実績とくらべることも大事です。

年に1回のまとめ払いのものが抜けることもあったりしますので。

ズレを確認しておくことで、現実と頭の中が一致するようになっていきますから。

 

ここまでの流れに慣れてきたら、「もし○○をするなら……」といったことを織りこんでみるのもよいです。

とにかく数字は、自分でいじってみないと強くなりません。

そして、将来のことを見据えていれば、打つ手が変わることもあります。

 

たっぷり余剰資金があれば別ですが、将来「お金が足りなくなる」ことを避けたいなら、資金繰り表は必須のものです。

いざお金が足りなくなってから作るのではなく、標準装備でやるものだと思いましょう。

 

まとめ

儲かっているのにお金が足りなくなる理由と、その対策についてみてきました。

儲けとお金は別物。

そして、転ばぬ先の杖が資金繰り表。

このように考えましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。