数字のトリックに惑わされないためには「腹八分目」がカギ

事業の世界では、数字のトリックに惑わされることもあります。

自分のことを自分で決めるためには、惑わされないことも必要です。

そのためには、お腹いっぱいではなく、すこし余裕がある状態を目指しましょう。心も体も。

 

数字のトリックに惑わされていないか

実態はおなじなのに、数字のトリックにより惑わされることがあります。

 

たとえば……

  • 2,000㎎
  • 2g

この二つは、どちらもおなじ量です。

でも、2,000㎎のほうが、多いように感じてしまいます。

 

あるいは……

  • 98,000円(税抜) 107,800円(税込)

いまだに、ときどき見かける値段の表示です。

一瞬ですが、「10万円あれば足りる…」と勘違いしていまいます。

 

特定のだれかや方法を、非難するつもりはありません。

見せ方も大事、という考えかたも否定はできませんから。

そして、上記2つとも、事実をゆがめている訳ではありません。

でも、なにかトクであるかのように、あるいは惑わされているように感じてしまいます。

 

こうした数字のトリックの裏には、「プロスペクト理論」という行動経済学の理論があるかもしれません。

くわしい話はともかく、人は「トクよりも損に敏感」ということをベースにしている理論です。

そこから編み出されるのが、つぎのことです。

  • 損を目立たなくさせることにより、よりトクを感じさせる

 

情報をだす側を、どうにかすることはできません。

であれば、情報を受けとる側では、こうしたことに惑わされないように用心したいものです。

 

損得は平等にみることが大事

こちらがトクになることは大きく、こちらが損になることは小さく。

世の中、情報がこのように表示されていることは、よくあります。

 

人生、損得だけではないでしょうが、できれば損も得も平等にみてから判断をしたいものです。

損得を、メリット・デメリットに置きかえてもいいです。

 

どちらか片方だけしか意識していなければ、判断をしたとは言えません。

自分にとって良くないことには目をつぶり、希望だけに賭けるのとおなじですから。

もはや「選んでいる」とは言えないでしょう。

 

それでも、自分が選んだことの結果は、自分に跳ねかえってきます

そのときに「知らなかった」とか「惑わされた」とは言えないのです。

かりに自分がそう感じていたとしても。

 

もし、損得やメリット・デメリットを、ふまえた上で判断したのなら、あきらめもつきます。

それが失敗に終わったとしても、より自分の身になります。

判断しなかったときよりも。

 

だれでも、とくに起業したかたなら、自分のことは自分で決めたいと思っているはずです。

でも、情報に惑わされていれば、自分で決めたとはいえません。

なので、損も得も平等にみることが大事なのです。

そのときカギになるのは、腹八分目でいることです。

 

腹八分目でいることを意識する

お腹いっぱいではなく、「もうすこし食べられる」くらいが腹八分目です。

この腹八分目でいることを意識しましょう。

 

お腹いっぱい、つまり 100%を目指そうとすると、次のような考えになりがちです。

  • 絶対に○○しなければならない
  • かならず……!
  • 失敗できない

 

すると、体も気持ちも、固執する・凝り固まる・執着する…方向にいきがちです。

また、お腹いっぱいになると後で眠くなるということは、人体だけではなく事業においてもあるかもしれないです。

なにかが上手くいきすぎて、その後しばらく手を抜いた……というような。

 

そうではなくて、リラックスしている・自然体でいる・かたよらない…ほうが大事でしょう。

 

もちろん、100%を目指さなければいけないこともあります。

  • 絶対に、黒字にしなければならない
  • 借入れができなければ、資金ショートする
  • 期限内に申告しなければ、罰金がかかってしまう

でも、100%を目指さざるを得ないときは、その前に問題があることもあります。

今の問題は、過去からの積み重ね、でもあるのです。

 

数字のトリックに惑わされるのも、なんらかの情報をうけとるときに、心の余裕がないからなのかもしれません。

あるいは、なんらかの欲に引っ張られ過ぎているのかもしれません。

腹八分目なら、のこり二分は余裕があるはずです。

 

自分のちからを100%発揮できるのは、どんな状態でしょうか。

わたしは税理士であり、医師や心理学者あるいはそのことの研究者ではないので断言はできません。

でも、おそらくお腹いっぱいより、腹八分目です。

そこを目指しましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。