どんぶり勘定でよいとき・ダメなとき

経理は、面倒くさいし手間がかかるものです。

面倒や手間がすきなかたは少数派。

どんぶり勘定との付きあいかたを考えてみましょう。

 

どんぶり勘定とは

どんぶり勘定とは、お金の管理がいい加減なことをいいます。

帳簿をつけず、そのとき持っているお金におうじて支払いをしたり、判断するような状態です。

 

いつも手元にあるお金によって状況を判断するので、つぎの誤解を生みがちです。

  • お金がある=儲かっている
  • お金がない=儲かっていない

 

現実には、利益とお金の流れはまったくの別物です。

たとえばカードで買い物をしたときのように、後払いの取引はたくさんあります。

ぎゃくに、家賃のように前払いのものだってあります。

また、借入れ金の返済のように、お金がでていったのに経費にならないものもあります。

 

問題は、お金の出入りにもとづいて収入・経費をカウントするわけではないことです。

お金ではなく、モノやサービスの移動にもとづいてカウントするのです。

 

そのため、先ほどとは逆に、次のようなことも起こります。

  • お金があるのに、赤字
  • お金がないのに、黒字

 

お金があるのに赤字とは……

借入れをしてまとまったお金が入ってきた。

前期の売掛金がまとめて入金された。

こんなときに起こります。

 

お金がないのに黒字とは……

商品をたくさん仕入れたのに、売れ残りがたくさんある。

車など固定資産を購入した。

こんなときに起こります。

 

どんぶり勘定をしていたら、どちらも現実とはまったく逆の判断をしてしまうかもしれません。

赤字なのに、もっとお金をつかおうとする。

黒字なのに、事業を小さくしようとする。

そう考えると、ちょっと怖くならないですか…?

 

とはいえ、経理はたしかに面倒なもの。

はぶける手間は、はぶいた方がよいとおもいます。

なので、どんぶり勘定でもよいとき・ダメなときについて考えてみましょう。

 

どんぶり勘定でよいとき・ダメなとき

まずは、どんぶり勘定でもよいときから。

 

どんぶり勘定でよいとき

どんぶり勘定でもよいのは、つぎの条件がととのっているときです。

  • すべて頭のなかで把握できる
  • 生活や事業で困らないていどに黒字になっている
  • 将来の予測ができている

 

とても難しい条件だとおもいます。

そもそも、すべて頭のなかで把握することがむずかしいですから…

 

たとえば、3カ月前に食べたものを覚えているでしょうか。

わたしなんか、1週間前のものだって怪しいです…

でも、すべて頭のなかで把握するとは、過去を記憶していることもふくみます。

税金や決算のつごうで、最低でも1年分は。

 

なので、どんぶり勘定でよいときは、とても限定されます。

今やっていることが「事業」なら、存在しないかもしれません。

そもそも上記の条件をみたすことが難しいので、ボランティアや趣味のように、失敗してもよい・お金がなくなってもよいという前提でなければ存在しないのではないかと考えています。

 

どんぶり勘定ではダメなとき

どんぶり勘定でよいときじゃないなら、それはどんぶり勘定ではダメなときです。

なので、ほとんどすべての場合はダメなときとなります……

 

いつかお金のことで困らないためには、やっぱり必要なのです。

日々の経理が。

なので、面倒くさいとどう付きあうか・手間をいかにはぶくかを焦点にしましょう。

 

面倒くさいと感じるのは、おそらく意味を見出せないからでしょう。

経理はお金をうむものではなく、お金で困らないようにするためのものです。

攻めというより守りですね。

 

そして、経営者のほとんどは攻めるのが好きです。

そもそも起業が攻めですし。

 

経理のありがたみを感じるのは、体感と現実のギャップや、思わぬ落とし穴、将来の見通しが安全だとわかったときなどです。

言いかえると、それにより自分にとって腑に落ちる判断ができたとき。

あるいは、自分の手で危険を回避できたと実感できるときです。数字にもとづいた判断により。

 

危険というのは、誰でも避けたいもの。

なので、なんとなく、あるいは自然に微調整しているものです。

「2か月先におおきな支払いがあるから、お金を残しておこう」といった風に。

 

このような背景により、経理のありがたみを実感できる機会はあまりないです。

実感できる状況にならないほうがよい、とも言えますが…

なので、ある程度は「習慣」がなんとかしてくれると思いましょう。

 

いっぽう手間をはぶくことについては、逆説的ですが「小まめ」にやるのがよいです。

手間がかかるのは「量」もありますが、「探す」ことにもかかります。

 

「3か月前の朝ごはん、なにを食べました…?」

記憶のなかから見つからないのなら、過去のレシートなどから見つけなければなりません。

もしかしたら、何食分かまとめ買いをしているかもしれません。

となると、推測によるしかありません。

「いつも朝はパンだから、多分パンだろう…」といった風に。

でも、それで税金が変わるとなったらどうしましょう。

「手帳など振り返って、もう少し記憶をたどるよ…」

どんどん手間はふえていきます。

 

経理においては、「忘れる」ということが大きな壁になることもあるのです。

ものごとがスラスラはこべば、手間は比較的かんじにくいものです。

なので「小まめ」にやるのが重要なのです。

 

そして、小まめにやればやるほど「これはやらなくても大丈夫。全部じゃなくて○○だけで問題なし」といったことに気づく機会がふえます。

それが、手間をはぶくことにつながるのです。

もちろん、手間をはぶくことについての情報や周りのかたのアドバイスなどもあるでしょう。

でも、自分で発見すると、嬉しかったりもしますよ。

 

結局のところ、すべての仕事は手作業からはじまります。

なので、いちどは手間を惜しまずに、五感もつかい、やってみましょう。

苦労は買ってでもせよ、なんて言いますから。

 

お金は大事です。

そのお金でいつか困らないように、どんぶり勘定ではダメなのだと意識しておきましょう。

 

まとめ

どんぶり勘定とは、お金の管理がいい加減なことをいいます。

すると、お金で困ることも自然にふえていきます。

お金を大事だと思うなら、どんぶり勘定とは縁を切りましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。