会社に備える防災用品はどう経費になるか
モノは使ったときに経費になるのがルールです。
でも、防災用品は、基本的に備蓄したときに経費になります。
ただし、金額によってはそうでないものもあるので、防災用品の経理について確認しましょう。
防災用品にはどんなものがあるか
おおきな地震は、定期的におこると言われています。
それに備えるため、ふだんから防災用品などを準備しているかたもいるでしょう。
法律でも、非常食など防災用品の備蓄を推奨しています。
たとえば東京都では、帰宅困難者対策条例により、つぎのようにさだめています。
「事業者に、従業者の一斉帰宅の抑制と従業者の3日分の食料等の備蓄についての努力義務を課します」
条例では「事業者」に努力義務を課しているわけです。
地震がおこれば、電車やバスなどもストップします。
とうぜん家に帰れず、そのあいだの食事などにも困ります。
もちろん、もっとつらい状況だって起こりますが、最低限のものとして3日分の食料などは備えておくほうがよいわけです。
たとえば、次のようなものです。
食べ物 |
水、無洗米、レトルト食品、インスタントラーメン、缶詰、ジュース、お茶 お菓子、栄養補助食品、粉末飲料 |
生活用品 |
ポリ袋、ラップ、アルミホイル、テッシュ、トイレットペーパー、 タオル、ライター、布ガムテープ、ヘルメット、毛布、軍手 |
衛生用品 | 救急箱、常備薬、マスク、除菌ウェットティッシュ、はみがき用品 |
その他 |
カセットコンロ、ボンベ、携帯または簡易トイレ、懐中電灯、LEDランタン、 ヘッドライト、乾電池、手回し充電式ラジオ、スマホ充電器、リュックサック |
もし、会社が従業員のためにこれらものを用意するとなると、人数におうじ、それなりの金額になるでしょう。
そのための支払いが、どのように経費になるのか確認しておきましょう。
防災用品はどう経費になるか
モノは、つかったときに経費になるのがルールです。
でも、防災用品には、このルールがあてはまらないものも当然あります。
つかってしまえば、備えにならないわけなので。
食べ物とその他の防災用品にわけて、確認しましょう。
食べ物(非常用食品)
非常用食品は、備えたとき、つまり備蓄したときに経費になります。
科目は「消耗品費」でよいです。
備蓄することが目的なので、固定資産や繰延資産のように償却はしません。
たとえ長期間にわたって効果があるとしても。
食べ物のなかには長持ちしないものもあるので、2~3年くらいで入替をすることもあるでしょう。
このときも、同じく入替をしたときに経費になります。
なお、食べ物の消費税は、基本的に軽減税率である「8%」です。
いちぶの栄養ドリンクやお酒は「10%」であることに注意しておきましょう。
防災用品
防災用品は、おおきく「消耗品」と「器具備品」にわかれます。
この2つに厳密な定義はないのですが、「消耗品」はつかうと無くなるもの・または短期間でつかえなくなるものです。
そして、すくなくとも1年以上はつかい続けられるものが「器具備品」です。
この2つの区分にかかわらず、商品以外のモノは基本的に減価償却により経費にしていきます。
でも、単価10万円未満のもの・または使用できる期間が1年未満のものは、備蓄したときにすべて経費にすることができます。
消耗品費として。
なので、これにあたらないものを「器具備品」とざっくり捉えておきましょう。
その器具備品が、かりに10万円以上だとしても、単価30万円未満であれば、おなじく備蓄したときにすべて経費にすることができます。
青色申告をしていること、そして年間300万円までという上限はありますが。
また、単価20万円未満のものなら、3年で経費にする一括償却をつかうこともできます。
おそらく、上記にあげた防災用品のほとんどは、備蓄時にすべて経費にできると思います。
なお、消耗品については、つかっていないものを「貯蔵品」として経費から除かなければならないというルールがあります。
でも、防災用品は「災害時の備えとしてつかっている」わけなので、貯蔵品とする必要はありません。
まとめ
防災用品の経理についてみてきました。
災害はいつ起こるかわからないものなので、気になったときに準備しておきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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