決算と申告の違い、段取りの組み方

決算と申告は似て非なるもの。

その違いと、段取りの組み方を確認しておきましょう。

 

決算と申告の違い

決算と申告。この2つは似て非なるものです。

 

決算とは

決算とは、事業で「いくら儲かっているか」や「お金など財産がいくらあるか」。

おもに、この2つのことを計算する作業のこと。

それが終わると作られるのが、つぎの書類です。

  • いくら儲かっているか……損益計算書(PL)
  • お金など財産がいくらあるか……貸借対照表(BS)

こうしたものをまとめて「決算書」とよんでいます。

 

この決算は、最低でも1年度に1回はおこなう必要があります。

つぎに説明しますが、税金の申告をするために必要なので。

ただ、それは本来の目的ではありません。

本来は、自分たちが数字を知るため、あるいは自分たちに投資をしているかたに知らせるため。

それにより、判断ができるようにするためなのです。

 

たとえば上場企業なら、3か月(四半期)、6か月(中間)といったタイミングでも決算をします。

1年って長いですからね。

その間、まったく数字がわからなければ判断のしようがない。

株式を買ったはいいものの、状況がわからないなら1年間も塩漬けにする…?

それも困りますよね。

 

いっぽう上場していない会社や個人には、上場企業のような縛りはありません。

義務になっているのは税金の申告くらいなので、1年に1回やっておけば問題ありません。

 

でも、自分たちだって知りたくなることはありますよね。

じつは決算は、義務になっているタイミング以外でも、好きなときにやっても良いものなのです。

だから、決算とまったく同じ…とはいわないものの、70%~80%くらいの精度で。

そんな感じで、会計ソフトに売上や経費の入力をして、決算に近いこともするのもアリなのです。

 

申告とは

申告とは、自分で自分の税金を計算し、その結果を報告することです。

その報告をするさきは、税務署だったり都道府県税事務所、市区町村役場だったりします。

税金にも種類があり、それにおうじて申告するさきがちがうのです。

 

なお、税金には申告をしないのにやってくるものもあります。

自動車税とか不動産にかかる固定資産税のように。

これらは役所で計算されて、結果のみ送られてくるもの。

自分で計算できるというのは、じつは得がたい権利…ということも知っておきましょう。

かつて権力者が、税金という名目ですきかってに財産を持っていくようなこともありました。

理不尽…とおもっても、持っていかれていたわけです。

でも、今はそうではない。

自分で計算できるというのは、大事な権利だったりもするのです。

 

もちろん税金の計算が終われば、その金額をはらうことになります。

だから、どんなかたも素直には喜べないかもしれないですけれどね。

決算でお金をはらうことはないけれど、申告でははらう。

こんな違いも知っておきましょう。

 

なお、決算と申告は似て非なるものですが、密接につながっています。

というのも、税金には利益におうじてかかるものがあるからです。

(収入-経費=利益)

 

段取りの組み方

事業をしているときの税金には、おもに次のものがあります。

<個人>

  • 所得税、住民税、事業税
  • 消費税

<法人>

  • 法人税、住民税、事業税
  • 消費税

 

これらの税金のうち、消費税以外のものは、利益にたいしてかかります。

利益の○○%が、それぞれの税金として計算されるのです。

だから、税金を計算するまえに、利益が分かってなければならない。

申告書をつくるまえに、決算を終えるわけです。

(消費税は、決算をしている途中で計算でき、申告書までつくれます)

 

ちなみに節税は、決算と申告をみすえて、期中なるべく早めに手を打っておくのが理想です。

利益が分かってからでは、打てる手はあまり無いことも知っておきましょう。

節税とは、利益を減らすようなもの。

だから、利益が確定したら、過去は変えられないので、減らしようもないのです。

 

さて、決算と申告の段取りのことですが。

税金の申告には、期限があります。

個人なら、1月~12月の状況を、翌年2月16日~3月15日のあいだに。

法人なら、年度が終わってから2か月以内に。

ともに、だいたい2か月のあいだに、まず決算をし、それから税金の申告書をつくるのです。

もちろん、提出して税金をはらうところまでを含めて。

 

決算で時間がかかること

決算で時間がかかるのは、つぎの情報を得ること。

  • お金を受けとっていないけれど、収入としてカウントするもの
  • お金を払っていないけれど、経費としてカウントするもの

 

じつは収入も経費も、お金の出入りがあったときに、利益の計算に組みこまれるわけではありません。

収入であれば、相手に商品などを渡したとき、サービスの提供が終わったとき。

お金ではなく、モノやサービスが移動し終わったときにカウントするのです。

 

経費も大筋ではおなじですが、大きな違いはつぎのこと。

  • 使った分、売れた分しか経費にならない

利益を減らそうと、年度末にたくさん買い物する…ということがあります。

ただそれは、経費にはならないかも…と用心しましょう。

 

収入も経費も、後日に入金されるものや、後払いのものがありますよね。

月末で締めて、翌月の末日に決済…ということも珍しくないですし。

だから、これらの数字を待つのに、年度が終わってから1か月くらいは時間がかかる。

 

こうしたことを避けるには、普段から自分で収入や経費を管理するのもよいです。

仕事が終わったら、すぐに請求書をつくる。

カード払いのものは、明細ではなく、買い物をしたときの領収書で把握する。

そうすれば、数字の確証をえるために1か月も待たなくて済みますから。

 

標準的には、年度が終わってから1か月と10日くらいで、決算書と申告書が完成する印象です。

お金の決済が翌年度になるものを除き、さきに決算、つまり会計ソフトの入力を終える。

そして、仮の数字として、申告書もつくっておく。

その後、すべての数字が出そろったら、決算書・申告書。

ともに微調整のようなかたちで手を入れて、完成させる。

こんな段取りがスタンダードなものだと思っておきましょう。

 

カギになるのは、決算に欠かせない会計ソフト入力をまとめてやらないこと。

まとめてやると、忘れ物を見過ごすこともあります。

なにより、時間をとるのが難しいことも。

年度が変わるときは、いろんなものが新しくなるのではないでしょうか。

決算と申告には関係ないところでも、更新のような作業があったりしますから。

 

税金の期限というより、自分のストレスを避けるためにも。

小まめに経理をしておくのがおススメですよ。

 

まとめ

決算と申告の違い、その段取りの組み方を確認してきました。

ともに、毎年やらなければならないものですが、1年に1回しかやらない…ともいえます。

つまり、感覚をわすれる…と。

決算も申告も、なんだかんだ大変ですから、会計ソフトの入力は普段からすすめておきましょう。

税金も「これくらいかな」と予想できるので、不安も減りますし。

 

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。