「自分の事業にも決め台詞を作る」のススメ
「この紋所が目に入らぬか!」にあたるものを、ご自身の事業にも作ってみませんか?
実際に使うかどうかはともかく、いろんな発見があるはずです。
水戸黄門といえば
水戸黄門をみたことがあるかたなら、だれでも分かるでしょう。
「この紋所が目に入らぬか!」
正体をふせた水戸黄門一行が、悪人をだいたい懲らしめた頃に、次のながれで出てくるセリフです。
「え~い、鎮まれ! 鎮まれ!」
「この紋所が目に入らぬか!」
「こちらにおわす御方をどなたと心得る!」
「畏れ多くも先の副将軍、水戸光圀公にあらせられるぞ!」
「一同、御老公の御前である…頭が高い! 控えおろう!」……と。
もはや、このセリフがなければ水戸黄門のドラマが成立しないといえる、決め台詞です。
このセリフが聞きたいがために、水戸黄門を見ることもあるでしょう。
この決め台詞は、ほかのドラマや漫画、アニメなどでもたくさん出てきます。
それぞれに、かならず一つはあるのかもしれませんね。
どれもこれも印象に残りやすく、数回みればかんたんに記憶してしまいます。
その決め台詞は、おそらく、意図的に作られているはずです。
さて、そんな決め台詞を、ご自身の事業においても作ってみるのはいかがでしょうか。
決め台詞をつくる効果
すこし味気ないですが、ドラマや漫画の構成は、おおむね次のとおりです。
(もしかしたら違うものもあるかもしれませんが……)
- 問題がある → それを解決
決め台詞は、この流れのなかで、「問題を解決してくれ…」という思いが最高潮に達したときにでてくるものです。
その台詞がでたら、もう問題は解決したも同然。
あとは、安心して見ていられます。いつも。
さて、「問題がある → それを解決」という流れ。
これは、事業そのものではないでしょうか。
この流れのなかで、決め台詞をつくろうと思えば、すくなくとも次のことを知っておかなければなりません。
まずは「問題」について
- だれの問題か
- どんな問題か
- その問題があると、どんな気持ちになるのか
- その問題を抱え続けると、気持ちはどう変わるのか
- もし解決できないと、どうなるのか
それから「解決」について
- いつ解決できるのか
- どんな風に解決できるのか
- 解決に必要なものはなにか
- 解決にかかる時間は
- 解決したあとに待っているものは
決め台詞をつくるには、すくなくとも上記の10項目は、掘り下げなければなりません。
そのうえで、問題が解決する直前にでてくるのが決め台詞です。
決め台詞は、きほんてきに長文ではありません。
できれば、短いほうがよいもの。
でなければ、記憶には残らないですから。
水戸黄門の「えーい、鎮まれ」から「控えおろう」までをセットでみれば長いですけどね…
ただ、決め台詞をつくろうとする過程で、事業の基本を見つめ直すことになります。
そして、短いことばで問題の解決を示唆するのが、決め台詞です。
ことばを短くするためには、本当に大事なものだけを残していくことになります。
事業のエッセンスだけが残ることになるわけです。
「自分の事業を一言であらわすなら」
もしかしたら、事業をしていくうえでの軸になるかもしれません。
実際に使うかどうかはともかく、決め台詞を考えてみるのはいかがでしょうか。
キャッチコピー・名言との違い
キャッチコピーは、売るための言葉。
自分が持っている魅力などを端的にあらわし、だれかの注意をひき、こちらにきてもらうための言葉です。
キャッチコピーによって来ていただいたお客さまに、問題の解決直前にかける言葉が決め台詞。
こんな関係にあるわけです。
また、名言といわれるものも存在します。
ドラマなどでは1回しかでてこないものの、ずっと記憶にのこる言葉。
いっぽう決め台詞は、いつも使えるものです。
名言を、意識的につくるのは、きっととても大変でしょうね…
そもそも、頭の中にあるものや感じているものを言葉にあらわすのは、難しいものです。
でも、言葉にしようとする過程で、いろんな発見があるはずです。
どんな発見があるかは、やる方によって変わりますし、やってみなければ分かりません。
無駄骨をおりたくない…という気持ちもあるでしょう。
ただ、言葉にしなければ伝わらないものもあります。
言葉だけが大事ではありませんが、せっかく言葉があるならつかっていきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。