モノの値段を過去と将来のどっちでみるか

ビートルズがつくった曲の権利に、2,000万ドルや5,000万ドルといった値がついたことがあります。

これらが高いのか安いのかは、過去と将来のどちらを軸におくかにより変わります。

この考えかたをもとに、自分の売り値についても検討してみましょう。

 

ビートルズにみるモノの値段

音楽には、著作権や版権などの権利があります。

その権利をもっていない人がその曲を演奏したり、CDやレコードが売れたりすると、権利をもっている人にお金を支払うことになる……という仕組みになっているのです。

 

ビートルズの曲について、こうした権利を一時期マイケル・ジャクソンが持っていたことがありました。

ビートルズからしてみれば、自分たちのCDなどが売れたのに、お金はマイケル・ジャクソンのところへいくわけです。

当然おもしろいわけがない……

 

そもそもビートルズの曲にかかる権利は、彼らがデビューしたころに、彼らが仲間とつくった会社に譲渡されています。

もしかしたら、節税対策だったのかも。

その後、ビートルズの解散などの紆余曲折があり、権利はすべてとある会社に行きつきます。

 

その会社から、ポール・マッカートニ―とオノ・ヨーコが共同で、一度は権利を買い戻すという話がありました。

2,000万ドルで。

でも、この話は「高すぎる」ということで流れてしまいます。

 

それから数年あとに、その権利をマイケル・ジャクソンが購入しています。

約5,000万ドルで。

 

ビートルズ側からみたときに「2,000万ドル」が高すぎると感じるのは、当然のことです。

そもそも自分たちがつくったものだし、作曲するのに大金がかかるものでもないでしょうし。

では、マイケル・ジャクソンはなぜ「5,000万ドル」もだしたのか。

 

モノの値段を過去と将来のどっちでみるか

モノの値段をみるときには、次の2つの見方があります。

  • 過去……どれくらいのコストがかかったか
  • 将来……それを利用することにより、どれくらいのリターンが見込めるか

 

たとえばレストラン。

いっぱんにレストランでの食事では、料金の1/3くらいが材料などの原価といわれています。

そこに人件費や家賃などをくわえて、利益がでるような設定になっているのです。

 

これは、過去にどれくらいのコストがかかったかにより決まる値段です。

ビートルズ側が権利を買い戻すときの「2,000万ドル」は、このような考えかたからすると「高すぎる」と感じるのも当然のことです。

 

いっぽう、マイケル・ジャクソンが「5,000万ドル」もだしたのは、おそらく「それ以上に売れる」と見込んだからでしょう。

「5,000万ドル」だしても、たとえば「6,000万ドル」売れれば、儲かるので。

商売としてみれば、正しい考えかたです。

 

モノの値段には、このように2つの見方があることを覚えておきましょう。

というのも、「相場」だってあるからです。

 

売り値をどう決めるか

相場は、ほとんどのばあい大企業によって作られてしまいます。

彼らの「薄利多売」により。

 

でも、スモールビジネスにおいて、おなじように薄利多売をしようとするのはムリがあります。

店舗、スタッフ、商品などを大企業とおなじようには持てないので。

 

となると、べつの方法により利益を稼いでいかなければなりません。

「ここしかできない」というように特化したり、「ここにしかないもの」というような差別化だったり、あるいはシンプルに節約したり。

 

こうしたときに、かかったコストから売り値を決めようとすると、ときには利幅に躊躇してしまいます。

「こんなに利益をのせても良いのかな…」と。

 

でも、「相手にどれくらいのリターンがあるのか」とも考えてみましょう。

具体的にリターンを計算するのは難しいときもありますが、自分が「高すぎる」と思っているのに、相手は「安すぎる」と感じることもあります。

 

結局のところ、値段は相手がきめるものです。本質的には。

なので、相場に引っ張られすぎず、自分のコストだけではなく、相手のリターンも想像しながら、売り値をきめていきましょう。

そうすれば、自分の商品やサービスをみがく時間がふえる可能性もでてきます。

 

まとめ

ビートルズの曲にかかる権利をもとに、モノの値段には2つの見方があることをみてきました。

相手の悩みや困りごとを解決するのが商売なら、売り値だって相手のリターンも軸に検討してみましょう。

ちなみに、ビートルズの著作権は、法律により、徐々に作曲者のもとに戻り始めているそうです。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。