数字を見なくても経営できる場合・できない場合
数字を見なくてよいケースがあってもいいかも…と思い、記事にしました。
数字の役割
事業をするなら、決算書や試算表などの数字がついてまわります。
すくなくとも、税金の申告で必要ですから。
でも、その税金の申告さえやり過ごすことができるなら…
ふだんは数字を見なくても、ちゃんと経営になるのかどうか…という疑問も。
わたしは税理士ですから、基本的には数字を見たほうが良いとかんがえています。
そうすれば、次のようなことに役立ちますから。
- 利益や財産などの現状が把握できる
- お金の出入りを管理できる
- 判断するときの根拠のひとつになる
- 数字があることで見えてくる問題もある
- これからどうするかの指針のひとつになる
- 目標との関係がわかる
- ものごとが具体的・客観的になる
ただ、決算書などの数字とはべつに、手持ちの現金や口座の残高はいつでも分かります。
そして、事業の目的には、儲けること、つまりお金を稼ぐこともふくまれる。
この点さえ守れるなら、つまり「生活に困らず、お金が足りなくならないように」経営できるなら。
ふだんは数字を見なくてもよい場面があるかもしれない(かも)…と考えたりもします。
数字を見なくても経営できる場合
限定的ですが、次のようなときは数字を見なくても経営できるかと思います。
- 頭の中で数字を把握できている
- お金がたくさんある
- 不安を感じない
頭の中で数字を把握できている
もし頭の中で、利益や財産を数字を把握できるなら。
わざわざ会計ソフトに入力せずともよいかもしれません。
でてくる数字は、だいたい同じですから。
たとえば、次のようなケースでは、比較的かんたんに数字を把握できます。
- 現金決済がおおい
- ひとを雇っていない
- 設備投資がない
- 貸借対照表にのる資産・負債がすくない
- 毎月おなじ相手におなじことを繰りかえすなど、取引がシンプル
このようなときは、たとえば年払いのものや臨時的なものさえ管理できるなら、おおよその利益などは暗算でもだせるとおもいます。
もちろん、現金や口座の管理は必須ですよ。
お金がたくさんある
事業のため、経営のために数字をどう活用するか。
このことを勉強されているかたは、少数派な印象です。
というのも、そもそも教えてくれるところが少ないですから。
だから、経営者のなかには「お金に困らないように経営をしていくには」を体で覚えてきたようなかたもいます。
通帳と頭を頼りに。
そんなケースでは、ひとつの失敗が命取りになりかねないようなこともあった…とか。
その命取りを回避できるのが、資金の量です。
体で覚えていくからには、数字を見ているときよりも、失敗の回数は増えるはず。
その失敗があっても事業を続けていくためには、たくさんお金があればよい。
事業は、お金が尽きなければ続けられますから。
(失敗をしてほしいと思っているわけではないですよ)
不安を感じない
たしかに数字は大事です。
そして、そのことはいろんな場所でも言われています。
ネット情報や本、セミナー、経営者同士のつきあい…などなど。
こうした場所で「数字は大事」と聞くと、「やらなきゃ」とか「やるべき」と思ったりしないでしょうか。
もしそう思うなら、数字を見たほうがよいです。すくなくとも一度は。
あとで考えが変わることは、よくあるもの。
でも、判断のつど、あるていど割り切れている必要もあったほうがよいと思うのです。
心の健康というんでしょうか。
それも大事ですから。
できない場合
ふだんから数字を見たほうが良いのは、たとえば次のことに当てはまる場合です。
- 金額が大きめの後払い・前払い・年1回払いがある
- ひとを数人雇っている
- 設備投資をしている
- 融資や取引先の審査を受けている
- 税金などの滞納がある
- 貸借対照表に載るものがそれなりの数ある
- お客さまの数が頭の中で完璧に把握できないほど多い
- 数字の報告が必要な許認可などをうけている
- 利益や売り上げが多く、税金が高い
- 黒字にしたい
- 数字が苦手と感じている
- 取引相手との値段交渉がある
- 忙しくて経理の時間がとれない
- 資金が潤沢ではない
- 節税に興味がある
- より納得して経営判断をしたい
数字により現状の把握はできますが、その現状は変えられないもの。
いっぽう数字は、「これからどう変えていくか」の指針にもなるものです。
その指針として数字を活用するなら、「どう変えたいか」により見るべきところなど活用の仕方は、経営者それぞれ違うことになるのが道理です。
数字を見るということには、自分を知るような面もあったり…と。
そのため数字の見方や活用方法を覚えるのに、時間がかかることもあるのです。
基本的な仕組みや、お金が足りなくならないように…という軸はありますけれどね。
数字をみると決めたなら、触れる回数がおおいほど、早く覚えるはず。
数字を見なくてもよいケースもあるとは思いますので、どちらを選ぶか考えてみましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。