売上や利益以外にもある数字の目標

売上や利益は、分かりやすすぎる…ということもあり、目を奪われがちです。

原因である経費をかえると、結果である売上や利益もかわる。

この2つの間には、事業の体質がかわるという過程もあります。

この体質の変化も、目標にすべきなのです。

 

売上や利益だけを目標にするときの問題

事業をしていれば、目標をもつこともあろうかとおもいます。

その代表格が、売上や利益です。

これらは、いきなりポンと出てくるものではありません。

予算・予測・計画などをくみ、手持ちのお金や経費との兼ね合いをみつつ設定するのが通常です。

 

こうして予算などをくんで出てきた数字には、おうおうにして、つぎの問題があります。

  • 予算などをくむこと自体が大変
  • 達成できそうな数字にしてしまう
  • 数字と行動がむすびつかない

 

予算などをくむこと自体が大変

予算や予測・計画・希望・最低限達成しなければならないライン。

こうしたものをベースに、将来の数字を組みたてていきますが、この作業自体が大変です。

 

すると、出来あがっただけで満足してしまうこともあります。

予算などと実績をくらべれば、とうぜん違いがでてきます。

ほんらいは、この違いが大事なのです。

「どうして…?」

「どうすれば、できる…?」

こうしたことを考え、なにかを試したり、行動をかえているうちに、より良くなっていく。

それも、予算などをつくる目的なのです。

 

でも、予算などをくむだけで終わってしまえば、ほんらいの目的は達成できません。

くわえて、「数字をちゃんとやったのに…」感が、「どうして上手くいかない」感に拍車をかけてしまいます。

 

予算などと実績をくらべるのは、変化に気づくためでもあります。

変化に対応していくのも、大事なのに。

予算などは、つくることも大事ですが、つくった後から本領を発揮していくのです。

 

達成できそうな数字にしてしまう

せっかく目標をつくるなら、達成したいもの。

すると目標は、つくるときに手が届きそうなところになりがちです。

 

目標は、達成することにも意義がありますが、その過程で変化していくことにも意義があります。

目標がひくいということは、変化のはばもすくないということ。

自らの可能性を、否定している……

とまでは言いませんが、少しもったいないかも。

 

ときに「ムリムリ、絶対ムリ…!」ということでも、強制的・義務的にやらざるを得ないことってあると思います。

そんなときは、必死に、無我夢中にやるものです。

結果、上手くいくとまでは言わないものの、なんとか形になることも多いはずです。

後から振りかえってみたとき、「あれはチャンスだったな」ということもあったと思うのです。

 

数字と行動がむすびつかない

売上や利益というのは、結果です。

その結果をうみだすものは、もろもろの経費です。

つねに、先に経費があり、売上や利益はあとからついてくる。

 

なので、売上や利益をめざすとき、じつは大事なのが経費のありようなのです。

その経費は、自分の行動でもあります。

仕入れ、外注を依頼すること、広告宣伝する、接待交際する、移動する(旅費交通費)、モノをつかう(消耗品費)、保険をかけておく…など、すべて自分の行動をあらわしています。

こうしたことの積み重ねが、売上や利益となってかえってくるわけです。

 

売上や利益がかわるということは、その原因である自らの行動がかわること。

結果だけに意識がむくと、原因を忘れることもある。

すると、数字と行動がむすびつかず、なにかピンとこないような感じになることもあるのです。

経費をかえるということも、意識してみましょう。

自分の行動と経費がむすびつけば、数字の見方もかわるので。

 

売上や利益以外にもある数字の目標

予算などは、通常、1年単位でつくります。

この1年をかけて、売上や利益などの目標を達成していくわけです。

そのためには、くり返しになりますが、経費、つまり行動もかえていくことが必要です。

 

その行動を変えるということは、日常生活で、だれでも一度はチャレンジしているとおもいます。

たとえば、早起き・ダイエット・運動・外食をひかえる・禁煙・禁酒など。

これらは、行動をかえた結果、体質がかわり、健康になることを目指すものです。

 

この「体質」は、事業においても存在します。

たとえば、次のようなもの。

  • 利益率……稼ぎやすさ
  • 成長率……どれくらい増えたか
  • 回転率……お金が早くまわっているか
  • 離職率……事業のなかの雰囲気・人間関係・団結力
  • 地域の市場占有率……知名度・売りやすさ
  • お客さま満足度……「また買いたい」につながるもの

 

売上や利益は、行動をかえた結果、ついてくるものです。

ただ、行動をかえた結果、体質がかわり、売上や利益がふえる…とワンクッションおいていることもあるわけです。

体質がかわることにも、着目すべきなのです。

 

この体質である利益率などは、決算書などにある数字から、特定のものをひろいだし、その関係をあらわすものです。

売上や利益のように、分かりやすいものではないかもしれません。

でも、最終的な結果はついてこないものの、体質はよくなっていることもあります。

ときに、結果がでるまでには時間がかかることもありますから。

 

もし、売上や利益にとらわれすぎていると、よい体質の変化を見過ごしてしまうこともあります。

事業の体質についても意識してみましょう。

体質をかんがえるときは、決算書などを深掘りせざるを得ません。

その結果、数字につよくなる…という副産物も手に入りますから。

 

まとめ

売上や利益以外にもある数字の目標についてみてきました。

数字と自分の行動がむすびつくこと。

これも数字に強くなるカギです。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。