事業の健康診断を受けるか受けないか

健康診断は、悪いところをみつけるために行います。

でも、これは普通の場合。

プロのスポーツ選手なら、ちがう活用方法もあるはずです。

 

健康診断と経理

健康診断と経理には、似ているところがあります。

検査の結果を、決算書や試算表などとするなら、つぎのように。

  • 検査の方法……複式簿記、いろんな財務の指標など
  • 検査をするひと……税理士など

 

健康診断をうけたとき、よいところはスルーしがちで、悪いところは目につくものです。

「○○は控えましょう」などと言われますし。

 

ただ、検査の結果をくまなくみて、こまかい分析などしようとはおもわないはずです。

検査の方法も、自分で勉強する気にはならないとおもうのです。

あきらかにムリ、または膨大な時間がかかるでしょうから。

それに、「なにか調子悪いな…」というところは、ときに自覚もできるので。

 

…というようなスタンスは、経理においてもおなじです。

わざわざ、検査方法である複式簿記などを勉強する必要はないし、

検査結果である決算書などを、医師である税理士などとおなじように理解できる必要もない。

大事なのは、悪いところを治すことなので。

 

ただし、これは普通のひとの場合です。

プロのスポーツ選手など、体を資本にしているひとには、また別の次元があるとおもいます。

自分の体のことを、より深く知ろうとするとするはずなので。

 

事業の健康診断

経理を健康診断にみたてたとき、つぎのことを自問してみるのもよいかもしれません。

  • 自分は普通のひとか、それともプロのスポーツ選手か

 

事業において、悪いところは、ひかくてき簡単に目につくものです。

  • お金が足りない
  • 利益が十分にでない

おおざっぱに、この2つを起点に、その理由をさぐっていけばよいので。

 

でも、その理由さがしも、すこし複式簿記の知識あると、助けになります。

というのも、数字が1つうごくと、かならず他で1つ以上の数字がうごくからです。

たとえば、売上だけをふやそうとしても、ムリがあります。

売上がふえるなら、仕入れがふえたり、販促費がふえたりするわけです。

その塩梅で、お金や利益をふやしていくのです。

 

人間の体でも、右腕をさげると、バランスをとるために左腕があがります。

こんなとき、もし複式簿記の知識があるなら、なぜ左腕があがるのかが分かるようになるのです。

すると、自分の行動の結果が予測できるようになる。

 

また、もしプロのスポーツ選手であるなら、悪いところだけではなく、自分の良いところについても知らなくてはなりません。

それを武器として、戦っていくわけなので。

 

事業において、その良いところとは、たとえば次のようなことです。

  • 利益率がたかい
  • 固定費がすくない
  • ムダな財産をもっていない
  • お金がある
  • 商品の回転がよい など

 

こうした武器を、みがいていく必要があるのか・ないのか。

こうしたことも、考えていかなければなりません。

 

健康診断、つまり経理は、悪いところをみつけるのも目的のひとつです。

でも、すこしちがった活用方法もあるのです。

 

健康診断を受けないという選択

医者ぎらい…のかたもいるでしょう。

そして、やぶ医者…もいないとは言い切れません。

自分のことは自分がいちばん知っている可能性だって、今の医学を前にしたとしても、完全な否定はできません。

 

ただ、悪いところがみつかったとき、時すでに遅し…とならないような備えはもちましょう。

たとえば、お金を十分にもっておくなど。

 

また、治療よりも予防のほうが、時間もお金もかからないことは知っておきましょう。

赤字になるのは、黒字にするよりも簡単です。

ひたすら経費をつみあげていけばよいので。

でも、いちど状況が悪くなってから、トータルでみたときの黒字へもっていくのは、とても時間がかかります。

 

経理というのは、あれば便利な道具のようなもの。

発明されてから数百年、もしかしたらもっとという歴史の重みが証明しています。

それをつかうかどうかを決めるのは、経営者です。

でも、せっかくなら、使ってみてから判断しましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。