ダイエットのように事業の目標を自覚しているか
事業の目標は、ダイエットのように(比較的)簡単に設定できないときもあります。
でも「しょうがない」とか「こんなもの」といった気持ちにつぶされないように向き合っていきましょう。
ダイエットをしていたら体重計が気になる
ダイエットしようかな……ということもあると思います。
運動不足だったり、飲み会が続いたり、高カロリーのものばっかり食べたり、ということが続くと。
食べないことでダイエットするのは、かえって体に良くないそうです。
なので、たくさん歩いたり、運動したり、食べるものに気をつかったり…
すると、定期的に体重計が気になります。
やっぱり目に見えた成果が欲しいですし。
この体重を事業におきかえてみると、それは貸借対照表にあらわれます。
「重い」というのは、お金以外の財産がたくさんあること。
「軽い」は、その逆です。
事業は、お金をつかってお金をふやすのが目的です。
いったんはお金がでていき、商品などほかのものに姿をかえる。
それを売ったり活用したりすると、収入というお金でもどってくる。
これが「お金をつかってお金をふやす」仕組みです。
この「お金がでていって、もどってくる」サイクルが早いほど、利益は稼ぎやすいし、事業が健康だといえます。
「重い」と表現したお金以外の財産がたくさんある状態は、お金がでていきっ放しの状態です。
軽くするためには、お金以外の財産を売るなどして、ふたたびお金に換える必要があるのです。
いってみれば、事業におけるダイエットです。
もちろん、業種によっては、いろんな固定資産や商品などお金以外の財産をかかえざるをえない場合もあります。
スポーツ選手にたくさんの筋肉が必要なように。
なので、どんな状態が健康かは、業種により変わります。
大事なのは、「事業が健康かどうかが気になる」ことです。
目標があるから気になる
ケガしたときは「痛い」と感じるので、自分でも気がつきやすいものです。
たとえば、たくさん接待したのに受注できなかったり、商品が火事で燃えた……など。
こっそり万引きされた……なんていうのは、もしかしたらキッチリ棚卸しをしないと気づかないかもしれないですね。擦り傷のように。
いっぽう病気。
風邪をひいて動けない……というのは、ゴールデンウィークなどの大型連休で、お客さまがへり、事業の動きが減ってしまったようなものです。
健康=利益が稼げる状態という前提ですが。
事業におけるこうした健康状態は、決算書や試算表にあらわれます。
これらを見ることは、とりあえずの健康診断を受けるようなものなのです。
もちろん、数字にはあらわれないものもあります。
はたらいた時間やモチベーションなどのように。
これを人間におきかえると、日当たりのよい部屋で暮らしているか・そうでもないのか。
大きな道路や線路のそばで暮らしているか、周りは静かなのか。
太陽や騒音だって健康に影響がないとはいえないのですが、とりあえずの健康診断ではそこまで聞かれたりはしないものです。
もし、とりあえずの健康診断で異常がみつかれば、精密検査などを受けることもあるでしょう。
事業においては、会計データやお金の動きを、過去から深掘りするようなものです。
たとえ話風に書いてはいますが、そうしないと分からないことも、やっぱりあるのです。
たんにお金の増減だけをみて、つまり通帳だけをみて経営するのは、体重計や健康診断でつかう機器の「部品だけ」を見ているようなものです。
やっぱり貸借対照表と損益計算書くらいは、定期的に見ておいたほうがよいと思うのです。
お金と利益は一致しないのが常なので。
病気というのは習慣からくることもありますが、習慣というのは変えづらいものです。
体に悪いものは美味しい……ということも、時にはありますし。
また、習慣が「どんな状態が健康か」を見えにくくすることもあります。
事業における「健康」は、経営者ごと・業種ごとにかわるので、そもそも定義するのが難しかったりもします。
自分の希望・やりたいこと・なりたいもの。これらを数字に置きかえる必要もあるので。
でも、そこを目指すなら、いちどは通らなければならない道です。
そして、いちど通れば「気になる」が手に入ります。
気になるから「分かる」へつながり、数字も活用した経営になっていくのです。
ダイエットなら、「あと○○キロ減らしたい」というのは目安があるはずです。
事業も、目指すところ、たとえば収入でも利益でも預金残高でもよいので、まずはハッキリ数字で自覚するところから始めましょう。
習慣や慣れ・常識のような影響をなるべく受けずに。
まとめ
人間とおなじく事業にも健康状態があります。
ケガや病気が気になるのは当然ですが、理想の健康状態は気になっているでしょうか。
それが気になるためには、ダイエットとおなじように、自分の希望をハッキリ数字で表現してみましょう。
そうすれば、気になるから分かるという好循環を手に入れることができます。
数字も根拠に自分のことを自分で決めていくためには、どうしても必要なことなのです。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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