オーナー社長が退職金を意識しておくべき理由

退職金は、税金面でとても優遇されています。

  • 経費がある……退職所得控除
  • 税金は、所得の半分にかかる……1/2課税
  • ほかの所得と合算しない……分離課税
  • 社会保険がかからない

まとまったお金など準備する必要もありますが、退職金を活用しないのはもったいないかもしれません。

会社を経営するなら「自分もいつかは退職金を……」と意識しておきましょう。

 

退職金とは

退職金とは、長く会社につとめていると、辞めるときにもらえるもの。

こんなイメージでしょうか。

フリーランスは、自分から自分へ退職金をだせないので、法人成りすることのメリットのひとつがこの退職金です。

 

なお、小規模企業共済を活用すれば、フリーランスでも退職金扱いのまとまったお金を手にすることはできます。

ただ、会社を経営している場合にくらべると、金額や準備などでの自由度は劣ります。

 

退職金は、会社から役員報酬やボーナスとしてもらうよりも、税金面ではかなり優遇されています。

普通は、会社をやめるときにしかもらえないものです。

多くのかたにとって、人生で1回しかもらえないものなので。

 

退職金は税金がどう優遇されているのか

退職金にも、個人の税金である所得税・住民税がかかります。

これらの税金で、フリーランスの事業所得・サラリーマンの給与所得は、次のように計算します。

  • 収入ー経費=所得

でも、退職金は次のとおりです。

  • (収入ー経費)×1/2

 

退職金にかかる税金は、この算式からわかるものをふくめ、次の点で優遇されています。

  • 経費がある……退職所得控除
  • 税金は、所得の半分にかかる……1/2課税
  • ほかの所得と合算しない……分離課税
  • 社会保険がかからない(おまけ)

 

退職所得控除

事業所得も給与所得も、経費が存在します。

フリーランスのかたにとって経費は、かかるのが当然、当たり前のことですよね。

給与についても、収入におうじた経費が認められています。

交通費、社員やスタッフ同士のつきあい、スーツ代などがかかるので、経費がかかるといえば違和感はないでしょう。

 

でも、退職金の経費……?

経費があるから、収入がある。

経費とは、こういうものです。

退職金の経費ってイメージがわきにくいと思います。

 

でも、経費がみとめられるのです。

この経費を、退職所得控除と呼んでいます。

会社に勤めた期間により変わるのですが、20年目までは1年あたり40万円、21年目からは1年あたり70万円。

この合計が、経費としてみとめられるのです。

 

会社を経営するのが……

  • 10年なら、400万円
  • 20年なら、800万円
  • 30年なら、1,500万円 が経費になるのです。

退職金がこれらの金額までなら、所得はゼロになるわけなので、「退職金には税金がかからない範囲がある」ともいえます。

 

1/2課税

  • (収入ー経費)×1/2

退職金の所得は、このように計算します。

ですが、「所得が半分になるのね」で終わりではないのです。

というのも、所得税は所得がふえると税率があがる仕組みになっているからです。

 

所得が半分になる効果とは……?

所得○○円なら、所得税は△△円になる、という関係をみてみましょう。

  • 所得 500万円………所得税 約60万円
  • 所得 1,000万円……所得税 約180万円
  • 所得 2,000万円……所得税 約520万円

 

所得が半分=税金も半分、ではないのです。

効果はもっとあるのです。

(住民税の税率は、所得税と違い、10%で固定です)

 

なお、会社に勤めた期間が5年以下の場合には、「×1/2」をすることはできません。

算式は「収入ー経費=所得」となってしまいます。

このルールは、天下りのように短期間で会社を渡り歩き、そのつど退職金をもらうようなケースに適用されます。

それだけ、税務署側も「×1/2」の効果を大きいものとみている、ということかもしれませんね。

 

分離課税

所得税も住民税も、基本的にはすべての所得を合計してから税率をかけます。

ですが、退職金は、ほかの所得と合計しません。

もちろん、すべての所得に税金はかかるのですが、合計しない状態でそれぞれの税率を判断します。

 

所得がふえると税率もあがる。この効果は、上記のとおりです。

退職金をほかの所得と合計しないことは、税率があがるのを避ける効果があるのです。

 

社長や役員が退職金をもらう年は、退職金だけではなく、役員報酬やボーナスもあるのが一般的です。

なので、この「分離課税」の恩恵は、かならず受けることができるもの、といえます。

 

社会保険がかからない

退職金は、役員報酬やボーナスと違い、健康保険や厚生年金がかかりません。

 

こまかい話ですが、これは退職金を一括でもらったときに限ります。

退職金には、分割でもらうケース、いくらかを前払いでもらうようなケースも存在するのですが、そのようなときは社会保険がかかります。

今回はおもに退職金のメリットをお伝えしたかったので聞き流してくれて結構ですが、退職金そもそものイメージとして「会社をやめるときに一括でもらうもの」と覚えておきましょう。

 

まとめ

退職金は、税金面でとても優遇されています。

  • 経費がある……退職所得控除
  • 税金は、所得の半分にかかる……1/2課税
  • ほかの所得と合算しない……分離課税
  • 社会保険がかからない

まとまったお金など準備する必要もあるので、会社を経営するなら「自分もいつかは退職金を……」と意識しておきましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。