お金が出ていったら経費ではなく、まずは資産になる
経費とは、モノやサービスをつかったことをあらわすものです。
お金が出ていったら、まずは資産になると考えてみましょう。(あくまで考え方として)
そのほうが、経理が分かりやすくなるかもしれません。
「お金が出ていけば経費」はちょっと違う
お金が出ていけば、経費になる。
だから利益も減り、税金も減る。
多くのかたが、こんな見方をしているように感じます。
これは、貸し付けや固定資産のためにお金が出ていったときを除いてのこと。
これらは、お金が出ていったときには、もちろん経費になりません。
貸付けは、いずれ戻ってくるものなので、実質的にはお金が出ていったとは言い難い。
固定資産は、減価償却をとおして経費になる。
ということを踏まえたうえでも、「お金が出ていけば経費になる」は、ちょっと違うのです。
経費は、お金が出ていったからではなく、モノやサービスをつかったから。
費消という言葉のほうが良いかもしれませんね。
だから、経費になるのです。
でも、ふだん会計ソフト入力をするときは、次のようなデータ(仕訳)がほとんどです。
- ○○費 ×××円 / 現預金 ×××円
このデータがあらわすところは、次のとおり。
- 現預金が×××円減り、○○費が×××円増える。
これを見れば、やっぱり「お金が出ていくから経費じゃないか」。
そんな風に思えるかもしれません。
実はうえのデータは、手間を省くために、そうなっているのです。
お金が出ていったらまずは資産になる
お金が出ていったときには、たんにモノやサービスを受ける権利を手にいれた。
つまり、経費ではなく、資産を手にいれた。
それから、その資産のうち、つかった分だけが経費になる。
こんな風に捉えてみましょう。
これを会計データにするなら、つぎのように2段構えになります。
たとえば、文具などの消耗品だったら。
お金が出ていったときには、経費ではなく、「消耗品」という資産が増える。
- 消耗品 ×××円 / 現預金 ×××円
その消耗品をつかえば、消耗品が(価値的に)減り、「消耗品費」という経費が増える。
- 消耗品費 ×××円 / 消耗品 ×××円
考えかたとしては、これが正しいのです。
でも現実では、わざわざこんな事をすれば面倒です。
入力の手間が、2倍に増えますから。
なので、うえの「消耗品」は相殺して、つぎの会計データひとつにしているのです。
- 消耗品費 ×××円 / 現預金 ×××円
経理をしていると、減価償却は例外的な位置づけのように思えます。
(減価償却とは、パソコンや建物のように長く使うものの購入代金を、使う期間で分割して経費にしていくことをいいます)
でも実は、減価償却が基本だった。
「消耗品費/現預金」というようなデータは、例外的なものだった。
そう捉えてみましょう。
すると、お金が出ていったから経費ではなく、モノやサービスをつかったから経費。
自然と、こう思えるようになります。
前払いのときは、モノを受け取ってもいないし、サービスも受けていない。
当然つかったとはいえないので、経費にならない。
いっぽう後払いのときは、すでにモノを受けとっているし、サービスも受けている。
なので、つかったと言えるなら経費になるし、そうでないなら経費にならない。
経費になるかどうかは、お金が出ていくこととは関係がないのです。
このように思えれば、お金と経費の関係をふまえ、お金と利益も別物だと思えるのではないでしょうか。
すると、利益だけみていても、安心はできない。
「ややこしい」から、お金はお金で単独で見ておかなければ、資金ショートを起こすかもしれない。
経理は、ややこしいのです。
お金のことは、お金単独で、資金繰り表などをつくって管理しておきましょう。
まとめ
経費は、お金が出ていったことではなく、モノやサービスをつかったことをあらわすものです。
だから、利益とお金は別物になる。
お金のことと「つかった」ことは、別建てで考えるようにしましょう。
するとかえって、経理がすこし分かりやすくなりますから。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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