残高だけを見ていてもお金の不安は消えない
どんな経営者も「お金が足りるかどうか」という不安があるものです。
その不安は、いまの残高だけを見ていても消えません。
もし経理をこまめにするなら、「足りるかどうか」は「足りないお金をどうするか」に変わります。
あんまり違いがないように見えますが、行動が変われば将来も変わるのです。
残高だけを見ていてもお金の不安は消えない
今いくらお金があるのかは、誰でも気になるものです。
そこから、○○円でていき、○○円はいってくるから、○○円は残るはずだ……
給料日や、支払いがまとまっている月末などの前には、こんな風に頭のなかで計算をするはずです。
でも、すこし不安が残ったりもするでしょう。
- つぎのカード引き落としはいくらだったかな
- 入金はちゃんとあるかな
- 大きな支払いが抜けてないかな
- ○○にむけて、残しておかなきゃいけないお金はいくらだったかな
- あと税金…
うっかり忘れものでもあり、支払いができなければ事業はマズいことになってしまいます。
知り合い同士なら「ちょっと待って」と言えますが、ビジネスはそうではないですから。
なので、どんな経営者も「お金が足りるかどうか」は気になるはずです。
ふだんのお金の出入りが「100万円」くらいのとき、その10倍の「1,000万円」も残高があればこうした不安はないでしょう。
でも、そこまで残高を積み上げるのも大変です。
何年かかけて、それだけの利益を稼がなきゃいけないので。
もし金融機関で借りようと思っても、事業におおきな動きがなさそうなら、借りれるのはせいぜい毎年の利益の数倍です。
返済が5年なら、5倍。
返済が7年なら、7倍。
これ以上に借りれば、向こうは「返せるかどうか」不安になるのが道理ですし。
安全のために借入れをしてもよいですが、自力でなんとかやり繰りするのが基本なのです。
人によっては、「つぎの支払いを乗り切れるかどうか」という感覚をもつかたもいるでしょう。
そんなときに、とつぜん税金の納付書が届いたり、おおきめの支払いを忘れていたことに気づけば、ビックリするし頭にも来るし、ちょっとしたパニックになることもあるかもしれません。
将来が不確かな以上、お金の不安は消えないものなのです。
その不安を消すために、できることを考えてみましょう。
現在地があやふやなら将来もあやふや
たとえば建物。
もし土台があやふやなら、その上にのっている建物だってあやふや。
ちょっとしたことで崩れることもあるでしょう。
これは事業も同じです。
そして、その土台にあたるものは現在地です。
- どんな財産をいくら持っているのか……貸借対照表
- そこまでいくら稼いだのか……損益計算書
つまり、「なぜ今これだけのお金があるのか」を理解することが、まずは必要なのです。
これは、「今いくら持っているか」である残高とは、似て非なるものです。
「なぜ」のアリ・ナシにおいて。
そのうえで、将来の見通しを織り込んでゆく。
- 土台……現在地
- 建物……将来
もし、日々の経理を「発生主義」でやるなら、その会計データには売掛金など将来のお金の出入りにかかわるものも出てきます。
1~2か月先くらいなら、お金の出入りを確実に見通すこともできるのです。
たとえば月払いの固定費のように、帳簿にのっていないものもありますよ。
そして、早い時期に会計データをつくることも必要です…
でも、すくなくとも2か月先くらいまでなら、確実な予測ができるでしょう。
(それをベースに足を延ばせば、いくらか確実性は落ちるものの、もう少し先まで見通すこともできます)
その結果、場合によっては「足りない…」ということだってあるかもしれません。
でも、「足りるかどうか」という不安ではないですよね。
「足りない」という、ほぼ確実な将来なわけで。
そこで、問題は「足りるかどうか」から「足りないお金をどうするか」に変わります。
お金が足りるかどうかという不安は、これからの行動がお金につながるかという不安に変わるのです。
「どのみち不安が残るなら、同じじゃん」と思うものでしょうか……
行動、変わりますよね。
これからの行動が変わること、これも経理の役割なのです。
発生主義で経理をするのは大変です。
でも、それだけの見返りはある。そう思っています。
まとめ
どんな経営者も「お金が足りるかどうか」という不安があるものです。
それを解消し、これからの行動を変えるのが、経理の役割です。
行動が変われば、将来も変わる。
どんな将来にしたいか、考えてみましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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