お車代や謝礼をゼロ並び・キリのよい金額にする方法
個人のかたに、セミナー代、原稿料などの支払いをすると、源泉徴収が必要です。
その結果、相手への支払い額はどうしてもギザギザした数字になってしまいます。
ゼロ並びの数字、キリのよい数字にしたいんだけど……
そのための計算方法を解説します。
源泉徴収は名目ではなく内容で判断する
個人のかたにセミナーをしてもらった、原稿を書いてもらった。
こんなとき、その料金は源泉徴収をしてから支払います。
その税率は、基本的には10.21%ですので、ほとんどの場合、支払い額はキリのいい数字・ゼロ並びの数字にはなりません。
消費税もからんできますし。
たとえば、こんな感じです。
料金 55,000円(税込み) → 支払い額 49,895円(源泉徴収 5,105円)
前もって契約を結んだり、完全にビジネスとしてのものであれば、とくに違和感もないでしょう。
しかし、相手がとても目上のかただったり、税金など世情に疎い。
あるいは、お祝いごとの席に急遽きてもらった、ビジネス感を出したくない場面。
つまり、できれば手渡しで、小銭がジャラジャラしていない状態で、感謝の気持ちを伝えたい。
こんな状況のときに、お車代や謝礼として、相手にお金を渡すということもあるのではないでしょうか。
このお車代や謝礼も、相手にしてもらった内容で、源泉徴収するかどうかが決まります。
お車代なども、源泉徴収が必要なときがあるのです。
もし、源泉徴収が必要なのにしていないときは、相手ではなく、そのお車代や謝礼を支払ったかたが、後日「追加で源泉所得税を納めてね」と言われてしまう可能性があります。
「相手が申告しているからいいでしょ?」とはならないのです。
一旦、追加で税金を納めたのち、相手から回収することになってしまいます。
お車代や謝礼を渡す場面って、お祝いごとのように縁起もの、縁起をかつぐときもあると思います。
せっかくのイベントなどに、こうしたことでケチがついてしまうのも嫌ですよね。
お車代などをゼロ並びの金額にする方法
報酬などの源泉徴収は、司法書士さんへの報酬のように特殊な計算をすることもありますが、多くの場合は次のどちらかです。
- 税込み金額×10.21%
- 税抜き金額×10.21%
※ 税抜きをベースにするときは、領収書などに「税抜き○○円、消費税○○円」と記載しておきましょう。
※ もし報酬などが100万円を超えるなら、その超える部分は20.42%となります。
税込みのほうが計算はしやすいですが、税込み・税抜きそれぞれの内訳を「%」でみてみましょう。
お車代などをゼロ並びの金額にするための前提です。
- 税込みベースの場合
- 税抜きベースの場合
※ 全体を110%とするところがポイントです。(消費税率10%として)
手取りをゼロ並びにするには、源泉徴収する前の金額を、それぞれ次のように計算します。
- 税込みベース……手取り÷89.79%
- 税抜きベース……手取り÷99.79%+消費税
たとえば、お車代などとして80,000円を渡したいなら、報酬としての金額は次のようになります。
- 税込みベース……80,000円÷89.79%=89,096円
- 税抜きベース……80,000円÷99.79%+80,000円×10%=88,185円
お車代などに源泉徴収が必要なときは、次の3つの数字があることを覚えておきましょう。
- 報酬……源泉徴収する前のもの
- 源泉所得税……後日、税務署へ納めます
- 手取り……相手に支払う金額
まとめ
お車代や謝礼を、ゼロ並び・キリのいい金額にするための方法を解説しました。
個人のかたに何らかの支払いをするときは、名目にかかわらず、その内容により源泉徴収が必要なときもあります。
その支払いが、イベントごとに関連するものであれば、縁起をかついだ数字にしたい場面もあろうかと思います。
そんなときに、この計算方法を活用してみてください。
※ 記事作成時点の情報・法令等に基づいています。
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