AIに定款を作ってもらうときの注意点:事業年度

AI に作ってもらったという定款をみたところ、事業年度の定めが欠けていました。

その事業年度の決め方について考慮すべきことを確認しておきましょう。

 

事業年度とは

先日、AI に作ってもらったという定款を目にする機会がありました。

ただ、その定款には「事業年度」の定めがなかったのです。

それでも、会社を設立することはできた…とのこと。

 

事業年度とは、利益や税金を計算するときの期間の区切りのことです。

所得税など個人の税金なら、暦年(1月~12月)と決まっています。

でも法人の場合は、ご自身で決めることができるのです。

 

たとえば、よくあるのは次のような文言です。

(事業年度)

第○○条 当会社の事業年度は、毎年〇月1日から翌年△月末日までとする。

 

この事業年度が定款に盛り込まれていなければ、税金の計算もしようがないし、手続きでも困ることがでてきます。

たとえば、会社をつくったときに税務署へ出すつぎの書類。

  • 法人設立届出書
  • 青色申告の承認申請書

これらには、事業年度を記入する箇所があります。

もし、事業年度が決められていなければ、これらの書類も出しようがない…

 

会社を設立するにあたっては、かならず事業年度も決めなければなりません。

もし、事業年度を決めずに設立しても、あとで定款に追加または変えることもできますから。

その事業年度を決めるにあたり、考慮すべきことを確認しておきましょう。

 

事業年度の決め方

事業年度は自由に決められるのですが、次のことは考慮しておきましょう。

  • 決算が忙しい時期にこないか
  • 年末年始は要注意
  • 売上が少ない時期に納税がこないか
  • 最初の申告はいつか
  • 取引先の年度はどうなっているか

 

決算が忙しい時期にこないか

決算そして税金の申告は、年度が終わってから2か月以内が期限になっています。

この2か月のあいだ、本業は忙しくないか…?

まずは、このことに注意しておきましょう。

 

決算では、1年間の総ざらいをします。

年度頭まで振り返り、欠けている情報があれば、その資料を探し出し、会計データに盛り込む。

自分の記憶と違うことがあれば、やはり振り返って確認をする。

こうしたことが、必須なのです。

 

なので、決算と申告のためだけに、それなりの時間がかかることもあるのです。

そこで本業が忙しければ、決算を仕上げるのがキツくなるかも…ということに注意しましょう。

 

年末年始は要注意

税金にかんする手続きは、決算と申告だけではありません。

とくに年末年始には、次のことをおこないます。

  • 年末調整
  • 法定調書の提出……1月~12月の間の給与や報酬、家賃などを税務署へ報告する
  • 給与支払報告書の提出……役員や社員個人の住民税の計算のための資料を役所へおくる
  • 償却資産税の申告……償却資産税(=固定資産税)の対象になるものを申告する

 

大ざっぱに言うと、決算・申告とはべつに、年末年始のタイミングで、1月~12月の間の会計データを集計する必要があるのです。

ここで同じく、1月までを振り返って欠けている情報をあつめる作業もおこないます。

 

であれば、このタイミングで決算・申告をしてしまうのも一案かも…とは安易に思わないほうが良い理由もあります。

年末年始では、実質的に1週間~10日ほどは、なにもできない時間がありますから。

ということも注意しておきましょう。

 

売上が少ない時期に納税がこないか

もし、売上に季節変動などがある場合。

その入金がすくない時期と納税の時期がかぶることもあり得ます。

そんなときに困ってしまわないか。

 

ただこれは、定期的に利益など会計データをチェックしておけば防ぐこともできます。

その時々の利益などがわかれば、そこから税金もざっと計算できますから。

そして、「これくらいは納税のために残しておく」と。

ぎゃくに、入金がおおい時期に決算・申告をするとしても、この視点があるほうが良いですよ。

 

最初の申告はいつか

事業年度の決め方によっては、会社を設立してからすぐに決算・申告がやってくることもあり得ます。

 

たとえば設立日が 8月26日で、事業年度が10月1日~9月末日なら。

最初の事業年度は、8月26日~9月末です。

そこから2か月以内に決算・申告をするので、期限は11月末日。

つまり、3か月ちょっとで最初の決算・申告をしなければならないわけです。

 

ただでさえ、設立当初は手続きがおおく、さらに本業はもっと忙しいでしょう。

なので、最初の決算・申告がやってくるのは、設立日から時間をおいてからにするのがよい…という印象です。

このことにも、注意しておきましょう。

 

取引先の年度はどうなっているか

取引先におおきな企業などがいる場合、その取引先の年度末では、予算消化などの名目でふだんよりも多くの仕事が入ってくることがあります。

すると当然、ふだんよりも忙しい。

そんなときに決算・申告がかさなると、大変かもしれません。

取引先の年度末をしらべるというより、過去の履歴などを振り返っておきましょう。

 

それから世間では、やはり 4月~3月という事業年度がおおい…ということ。

学校や役所などでは、年度が 4月からはじまることが一般的です。

ちなみに、税制改正が適用される時期も、4月からが多かったりします。

なので、これに合わせて事業年度も同じにした結果、4月~3月を事業年度にしている会社もおおいのです。

 

決算・申告には、一般的に1か月~1か月半くらいかかるものです。

その時期が忙しくて大変にならないか、想像してみましょう。

 

まとめ

事業年度は、定款にかならず盛り込むもの。

その事業年度を決めるにあたり、考慮すべきことを確認してきました。

 

なお、AI は確かに便利なものですが、現時点では、欠けている情報があってももっともらしい言い方をされてしまう。

あるいは、AI は平気でウソをつくこともあります。

以前、なにかの根拠になる法律をAI に質問したところ、事実とはまったく違う答えを、「かもしれない」という雰囲気もださず、断定的に平然と出してきたこともあります。

なので、AI で調べものをするときは、あとで裏を取るなどの用心もしておきましょう。

いっぽう、自分の考えに「足りない視点はないか」とか「他の考えかたはないか」など質問をしてみると、落とし穴的なものに気づかせてくれることもあります。

AI の活用方法についても試してみましょう。

きっと、今後はどんどん便利になっていくでしょうから。

 

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。