顧問契約と決算申告のみのご依頼との違い
税理士の仕事は、計算することと相談にのることに大別されます。
契約を結ぶ前に、その内容・違いを知っておきましょう。
税理士に出来ること
税理士の仕事は、おおざっぱに次の2つに分かれます。
- 計算すること
- 相談にのること
この2つは同じようなもの、あるいは同時に行うようなものにも見えますが、似て非なるもの。
とくに「答え」において。
計算における「答え」は、事前にお客さまが持っていることが多いです。
その答えとは、かならずしも税金の計算結果のことではなく、計算のための材料や「こうであって欲しい」という希望なども含めたもの。
お客さま自身が、すでに持っているものすべてをいいます。
つまり、税理士が介入する余地はないもの。
税金の計算は過去にもとづきますが、その過去は変えられない…ということもありますし。
いっぽう相談において、「答え」はどこにあるか分かりません。
税理士がもっている知識やノウハウだけで解決できるのなら、それもよいです。
これは、答えも、その答えを出すべき問題もハッキリしているケース。
ときに、答えを出すべき問題がちがっていることもあります。
たとえば、節税です。
ある意味、節税というのは簡単。
ひたすら経費をふやせば、利益が減り、税金もすくなくなるので。
でもそうすると、手元に残るお金もすくなくなってしまいます。
このことを知ると、「税金をすくなくしたい」という問題は、「お金を増やしたい」に変わります。
つまり、真逆の方向へ。
ある事実を知ると、問題が変わることもあるのです。
とうぜん、答えも変わる。
また、なにが問題か分からないこともあります。
問題があれば、こまった症状がでます。
その症状は知っているけれど、なにが原因か・問題かが分からないこともあるのです。
すると、まずは問題を特定することから始まります。
その問題が分かった時点で、「どうしたいか」という答えを探すことに。
それから、問題と答えのギャップをどう埋めていくか…と。
税理士がおこなう「計算すること」と「相談にのること」には、このような違いがあるのです。
顧問と決算・申告のみの違い
税理士の料金は、顧問料と申告書などの作成料に分かれています。
顧問料とは、いつでも、いろんな相談にのるための代金。
いっぽう作成料は、いわゆる手間賃・作業料です。
とりあえずお金を払えば、すべてやってくれるわけではない…ということを知っておきましょう。
というのも、それぞれに求められる知識やノウハウなどは、異なることが多いからです。
決算・申告は、変えられない過去にもとづいておこなわれます。
そして、税金を計算するための法律は、だれにとっても同じもの。
なので、計算される税金は、誰がやっても同じになるべきです。
法律の解釈や、グレーゾーンにあたるものの扱いで、すこし変わる可能性はありますけれどね。
いっぽうの相談は、おもに将来のためにおこなわれます。
その将来を、変える・あるいは自分の望む方向へもっていくために。
すると、ことは税金だけではなく、その税金のベースとなる数字やお金、そのほか経営やプライベートに関することまで広がっていきます。
そうした情報を整理整頓して、落とし穴や盲点がないかの確認をしつつ、まずは問題をハッキリさせる。
そのためには、相談したいかたの頭の中、つまりお話をたっぷり聞かなければなりません。
その問題をどうしたいか…についても、同じく。
それから、税金やお金・数字をつかった具体的な解決策探しが始まります。
申告書などの作成料にたいし、顧問料というのは、恩恵が目には見えにくいものです。
決算書のような書類が出来上がるわけでもなく、結果もすぐにあらわれないことがあるので。
なにごとも、まずは自分自身でやってみましょう。
それで、困ったと感じたら、ちょっと頼んでみる。
できれば、本当に困る前に。
そうすれば、専門家にお金をはらう意義が分かるはずです。
まとめ
税理士への料金について、顧問料と申告書などの作成料は別物だということを知っておきましょう。
ときに「税理士はなんにもしてくれない」というお話を聞くことがあります。
それは、もしかしたら顧問契約ではないのかも。
ちょっとした誤解が大きくなる前に、「相談にものってほしい」と言えば、状況は変わるはずです。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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