経理(会計ソフト入力)のよくあるミスと気づき方 10選

会計ソフトを入力するときによくあるミスとそのミスの気づき方について解説します。

会計ソフトは、入力した後が大事なのです。

 

経理のよくあるミスと気づき方 10選

会計ソフトを入力するときによくあるミスは、次のとおりです。

  1. 科目
  2. 消費税の税区分
  3. 売上の計上モレ
  4. 在庫の計上モレ
  5. 貯蔵品の計上モレ
  6. 経費の二重計上
  7. ケタ数
  8. 数字
  9. 貸借が逆
  10. 科目の残高

 

それぞれの気づき方とともにみていきましょう。

 

1.科目

たとえばガソリン代。

それまでは「車両費」でやっていたところ「旅費交通費」としてしまった。

このような間違いは、対税務署では問題ありません。

ともに経費なので、利益は変わらず、税金も変わらないからです。

 

ただ、ともに経費であっても気をつけなければいけないものもあります。

それは、「交際費」「寄付金」「役員報酬」「受取配当金」あたりです。

これらは税務上の制限があるので、それぞれの意味をおさえ、ちがう科目になっていたら直しましょう。

税金の計算をまちがってしまうかもしれないからです。

 

また、「車両費」のものを、似ている「車両運搬具」にしてしまうこともあります。

でも、車両費は「経費」ですが車両運搬具は「資産」です。

車両運搬具(資産)は、減価償却により経費にしていきます。

なので、経費と資産をまちがったときは、かならず直しましょう。

利益も税金も変わるからです。

 

ここまでは税金面からのはなしですが、経営者からみたときは別問題です。

もし「車両費がいくらかいつも気にしていた」なら、ここまでの間違いは大問題でしょう。

ほんらい経理は経営のためのものだからです。

 

この科目の間違いにどう気づくか……?

 

会計ソフトには「試算表」の画面があるはずです。

大変ですが、この試算表ですべての科目の内容をチェックしましょう。

 

そして、チェックしたものには、付箋などの機能があれば、目印をつけておきましょう。

二度手間も大変ですから。

 

2.消費税の税区分

会計ソフトには、消費税の税区分も入力します。

とりあえず貸借対照表と損益計算書をつくり、消費税はあとで計算することはできないからです。

利益と消費税は連動しているので。

 

たとえば食べ物。

宅配や持ち帰りなら8%ですが、飲食店でたべれば10%です。

また、宅配のときの配達料は10%です。

 

会計ソフトではデフォルトで税区分が設定されています。

たとえば会議費なら、「税区分をいじらなくても自動で10%になる」ように。

もし8%のものがあれば税区分を直さなくてはいけないのですが、そのままの10%になっている。

このような間違いが多いようにかんじます。

 

では、税区分の間違いにどう気づくか……?

 

会計ソフトには、税区分だけを集計する機能があるはずです。

領収書などとつき合わせながら、それをすべてチェックしましょう。

きほん10%として、それ以外に着目するとそこまで大変ではないはずです。

 

3.売上の計上モレ

売上の計上モレは、やってはいけないミスです。

税務調査ではかならず見られるところですし、売上を抜くというのは、税金の世界でいちばん重い罰金である重加算税を課せられるかもしれないからです。

 

ただ、「うっかり」もあるでしょう。

 

請求書をだしているなら、相手に請求するときに控えも保存したり、まとめの表をつくったりするのがよいです。

また、申告書をだすのをあえて遅めにするのもよいでしょう。

「入金された売上が計上されていない」

ここから気づくことができるので。

 

現金で受けとっているなら、そのつど複写式の領収書をつかうのもよいです。

ただ、現金の場合は振り込みのように後から気づくことがむずかしいです。

大きな金額は記憶にのこりやすいので、とくに小口のときに気をつけましょう。

 

4.在庫の計上モレ

あるはずの在庫が会計データ上では無いとなれば、そのぶん経費は多くなっています。

在庫は売れなければ経費にならないので。

 

ほんらいは経費がもっと少ないはず。

すると利益はおおくなり、税金もおおくなる。

こんな理屈で在庫のチェックをされます。

 

よくあるのは、倉庫ではなく配達用の車などにおいてある在庫です。

ほかにも誰かに預けているようなものも。

 

あつかっている商品がおおくなると、どうしても棚卸し(在庫の数をかぞえること)はむずかしくなります。

なので、在庫の計上モレに気づくこともむずかしいです。

 

ひとつ言えるのは、在庫の管理は経理だけではなく、事業全体のしごとであること。

事業の状況におうじて管理しましょう。

 

5.貯蔵品の計上モレ

なにかのときのお礼用に商品券やギフトカードを買ったけど、まだつかっていないものがある。

このつかっていないものは「貯蔵品(資産)」として、経費からのぞきます。

 

商品券やギフトカードは、ほとんどお金です。

なので「どこにあるか分からない」ことは少ないと思うのです。

 

「つかっていないものは経費にならない」という基本を覚えておきましょう。

 

6.経費の二重計上

たとえばカード払いの経費。

領収書で入力をし、カード明細からも入力する。

こんなときは二重に計上することになります。

 

あるいは、「仕訳をコピーして貼り付ける」をうっかり2回やってしまうこともあります。

 

この経費の二重計上にどう気づくか……?

 

もし現金出納帳をつけているなら、現金の残高があわないはずです。

 

いっぽう現金出納帳をつけていないときは、すこしハードルがあがります。

  • カード払いの領収書はよけておく
  • 月払いなら、1年で「12回」になっているかチェック
  • 推移表などで、科目の数字を月ごとにわけて並べてチェック

 

経費が二重になっていると、その支払いも二重になります。

現金や預金口座があわないことになるのです。

ということを覚えておきましょう。

 

7.ケタ数

10,000円を100,000円で入力してしまった。

おなじ数字をつづけて打つと、はずみで1つ多かったり足りなかったりします。

 

これも、現金や口座残高があわないことで気づくことができます。

また、多くの場合、推移表では異常値としてあらわれます。

 

8.数字

「177」が「117」になっている。

たくさんの領収書をみていると、こういうことも起こってきます。

手のはずみ、ですね。

 

これも、現金や口座残高があわないことで気づくことができます。

ただ、誤差が小さいのでたくさんのデータを振り返ってチェックするのは大変です。

経理はこまめにやるのがよいです。

 

9.貸借が逆

仕訳の左右が逆になっている。

これは過去の仕訳を取り消すときなどにおこなうこともあります。

ですが、そうでないときは明らかな異常値です。

 

これにどう気づくか……?

 

会計ソフトに入力したら、試算表でチェックしましょう。

試算表では、次のように数字が4列にならんでいます。

  • (左から)前期繰越 → 借方 → 貸方 → 当期残高

 

とくに損益計算書では、それぞれの科目が「借方」か「貸方」にかたよっています。

ポツンと両方に数字がはいっているものがないか、チェックしましょう。

 

10.科目の残高

現金がマイナスになっている。

売掛金や買掛金のなかみがあわない。

おもに貸借対照表で、このようなことが起こります。

 

科目の残高は、きわめてすくない例外をのぞき、マイナスにはなりません。

これは、試算表をみればすぐに気づきます。

 

いっぽう売掛金などのなかみは、それぞれの内容をチェックしなければわかりません。

いずれも、将来のお金の出入りに関係してきます。

合っていなければ、いつかつじつまが合わなくなるのです。

 

会計ソフトは、とりあえず入力すれば終わりではありません。

入力した後に、ここまで書いてきた目線でチェックするようにしましょう。

 

まとめ

会計ソフト入力をするときによくあるミスと気づき方について解説しました。

ミスはどうしてもおこります。

こまかくて法則性のない数字をながい時間ながめていると、目がチラチラしてきますから。

 

会計ソフトは、入力した後が大事です。

チェックのこともありますが、ほんらいはその数字をもとに将来どうなるか・どうするか・どうしたいかを考えるベースになるものだからです。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。