経理を面倒くさいと感じたら知っておきたいこと
経理の仕事はこまかく、おなじことの繰り返してつまらなく、日の目を浴びないものです。
でも、経理は事業の基本にあたるもの。
それがなければ、将来だって変わるものなのです。
経理はどう経営の役に立つのか
事業をしていると、日々いろんなお金の出入りがあります。
そのお金の出入りを、記録したり管理するのが経理です。
その経理によってまとめられた数字なども参考に、経営の判断をしていく。
間違った判断をしないためには必須のものなので、経理のことを「経営管理」ともいいます。
もし「経理なし=数字なし」で経営をするなら、思いつきや想像・推測・気分・勘などに頼るほかありません。
その結果まっているものは……かならずしも良いことばかりではないでしょう。
事実や現実をみないで生きているようなものですから。
事業の目的であるお金は、数字であらわされます。
であれば、経営には数字の要素も必要なのです。
その数字は、会計ソフトに日々の取引を入力することによって得られます。
帳簿、会計データ、試算表などの呼びかたがありますが、とりあえず会計データとしましょう。
その会計データは、つぎのように経営の役にたてていきます。
- いまの現実が、会計データにより分かる
- 現実が分かれば、正しい判断ができる
- その結果、行動や事業もよい方向へ変わり、利益もお金もふえる
- ここまでを経験すると、より確実に稼ぐために、会計データを将来の予測につかうことになる
- 先を見るから事前に手を打てるようになり、お金に困ることがなくなる
会計データをつくるときのルール(=簿記)は、慣れないと複雑にかんじます。
お金がふえたか・へったかの2択だけではないからです。
お金がふえなくても収入がでてくるし、お金がへらなくても経費がでる。
そのため、お金の残高と利益は一致しないのが常なのです。
ゆえに、頭の中だけで想像するのはむずかしい…
これが、現実をふまえない判断につながる原因です。
これを無くすには「数字をみて、判断する」というサイクルを、小まめにおこなう必要があります。
これこそが、会計ソフトに入力することの目的でありゴールでもあるのです。
でも、面倒くさい・時間がない・分からないといったハードルもあるかもしれません…
経理の目的は「お金を増やす・お金に困らない」こと
会計データをつくることをふくめ経理の最終的な目的は、「お金をふやすこと・お金に困らないようにすること」です。
知っておいてほしいのは、いざお金に困ったときには、すぐに解決するものではないということ。
借入れをしようと思っても、審査などがあるので「明日に…」というわけにはいきません。
慣れていなければ、書類を準備するにも時間がかかりますし。
仲のよい知人や取引先などがいれば、借りたり・入金を早めてもらうことはできるかもしれません。
でもこれは、信用を犠牲にしています。
「お金の管理ができていない」ことをみずから告白しているようなものなので。
もし車や株式などを持っていれば、売ってお金に換えることもできます。
でも、車など大きなものは時間がかかるし、株式などは損得を犠牲にするかもしれません。
……とこのように、お金に困るとすぐには解決できないものなのです。
経理は、転ばぬ先の杖だとおもいましょう。
小売り店や飲食店など現金をあつかっているとき、レジのお金は、毎日あわせるものです。
もし、レジの記録とお金がズレていれば、売上やお釣りなどがズレていることになります。
とうぜん利益だって違うものになりますし、放置すれば将来のトラブルの種にもなってしまいます。
もし1年に1回しかチェックしないのなら、どうなるでしょうか……
このことは、会計データについても、じつは同じです。
レジほどお金には直結しないので、会計ソフト入力は「まあ、いいか」となりがちですが…
でも、「今どうなっているのか」を知るためには、やっぱり小まめにやっておきましょう。
1か月も空いてしまえば、状況はおおきく変わるかもしれません。
ときには「先週おおきな契約がとれた」とか「昨日やばい失敗をした」ということもないとは限りませんし。
痛い目にあってからでは遅いのだと、意識しておきましょう。
大事なことは日が当たらない
いろんな分野で名人・達人といわれるかたは、基本がおそろしく出来ています。
素人には難しいことを、とても簡単にやってしまいます。
それをやったことがない人には、難しいことが伝わらないレベルで。
彼らが、試合に勝ったり、すごいパフォーマンスなどをするときは、とても騒がれたりします。
いっぽうで、彼らがその基本を身につけたとき、それを知るのは本人のみだったりします。
本当はスゴいことなのに。
経理は、事業の基本にあたるものです。
それをやっても、日の当たらないものなのです。
地味だし面倒だし時間もかかるのに、だれかに「スゴい」とは言われることのないものなのです。
でも大事。
基本がなければ、応用もありません。
経理とは、そういう性質のものだと知っておきましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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