経理を面倒くさいと感じたら知っておきたいこと

経理の仕事はこまかく、おなじことの繰り返してつまらなく、日の目を浴びないものです。

でも、経理は事業の基本にあたるもの。

それがなければ、将来だって変わるものなのです。

 

経理はどう経営の役に立つのか

事業をしていると、日々いろんなお金の出入りがあります。

そのお金の出入りを、記録したり管理するのが経理です。

 

その経理によってまとめられた数字なども参考に、経営の判断をしていく。

間違った判断をしないためには必須のものなので、経理のことを「経営管理」ともいいます。

 

もし「経理なし=数字なし」で経営をするなら、思いつきや想像・推測・気分・勘などに頼るほかありません。

その結果まっているものは……かならずしも良いことばかりではないでしょう。

事実や現実をみないで生きているようなものですから。

 

事業の目的であるお金は、数字であらわされます。

であれば、経営には数字の要素も必要なのです。

 

その数字は、会計ソフトに日々の取引を入力することによって得られます。

帳簿、会計データ、試算表などの呼びかたがありますが、とりあえず会計データとしましょう。

 

その会計データは、つぎのように経営の役にたてていきます。

  1. いまの現実が、会計データにより分かる
  2. 現実が分かれば、正しい判断ができる
  3. その結果、行動や事業もよい方向へ変わり、利益もお金もふえる
  4. ここまでを経験すると、より確実に稼ぐために、会計データを将来の予測につかうことになる
  5. 先を見るから事前に手を打てるようになり、お金に困ることがなくなる

 

会計データをつくるときのルール(=簿記)は、慣れないと複雑にかんじます。

お金がふえたか・へったかの2択だけではないからです。

 

お金がふえなくても収入がでてくるし、お金がへらなくても経費がでる。

そのため、お金の残高と利益は一致しないのが常なのです。

ゆえに、頭の中だけで想像するのはむずかしい…

これが、現実をふまえない判断につながる原因です。

 

これを無くすには「数字をみて、判断する」というサイクルを、小まめにおこなう必要があります。

これこそが、会計ソフトに入力することの目的でありゴールでもあるのです。

でも、面倒くさい・時間がない・分からないといったハードルもあるかもしれません…

 

経理の目的は「お金を増やす・お金に困らない」こと

会計データをつくることをふくめ経理の最終的な目的は、「お金をふやすこと・お金に困らないようにすること」です。

 

知っておいてほしいのは、いざお金に困ったときには、すぐに解決するものではないということ。

 

借入れをしようと思っても、審査などがあるので「明日に…」というわけにはいきません。

慣れていなければ、書類を準備するにも時間がかかりますし。

 

仲のよい知人や取引先などがいれば、借りたり・入金を早めてもらうことはできるかもしれません。

でもこれは、信用を犠牲にしています。

「お金の管理ができていない」ことをみずから告白しているようなものなので。

 

もし車や株式などを持っていれば、売ってお金に換えることもできます。

でも、車など大きなものは時間がかかるし、株式などは損得を犠牲にするかもしれません。

 

……とこのように、お金に困るとすぐには解決できないものなのです。

経理は、転ばぬ先の杖だとおもいましょう。

 

小売り店や飲食店など現金をあつかっているとき、レジのお金は、毎日あわせるものです。

もし、レジの記録とお金がズレていれば、売上やお釣りなどがズレていることになります。

とうぜん利益だって違うものになりますし、放置すれば将来のトラブルの種にもなってしまいます。

もし1年に1回しかチェックしないのなら、どうなるでしょうか……

 

このことは、会計データについても、じつは同じです。

レジほどお金には直結しないので、会計ソフト入力は「まあ、いいか」となりがちですが…

 

でも、「今どうなっているのか」を知るためには、やっぱり小まめにやっておきましょう。

1か月も空いてしまえば、状況はおおきく変わるかもしれません。

ときには「先週おおきな契約がとれた」とか「昨日やばい失敗をした」ということもないとは限りませんし。

痛い目にあってからでは遅いのだと、意識しておきましょう。

 

大事なことは日が当たらない

いろんな分野で名人・達人といわれるかたは、基本がおそろしく出来ています。

素人には難しいことを、とても簡単にやってしまいます。

それをやったことがない人には、難しいことが伝わらないレベルで。

 

彼らが、試合に勝ったり、すごいパフォーマンスなどをするときは、とても騒がれたりします。

いっぽうで、彼らがその基本を身につけたとき、それを知るのは本人のみだったりします。

本当はスゴいことなのに。

 

経理は、事業の基本にあたるものです。

それをやっても、日の当たらないものなのです。

地味だし面倒だし時間もかかるのに、だれかに「スゴい」とは言われることのないものなのです。

 

でも大事。

基本がなければ、応用もありません。

経理とは、そういう性質のものだと知っておきましょう。

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。