年末調整のプラス・マイナス。どっちがどっちか
年末調整のプラスとマイナス。
このどちらが還付でどちらが追加徴収なのかが、よく分からなくなることがあります。
結局は、電卓をたたいて確認するのが安全。
ただし、プラスとマイナスは、給与明細と源泉所得税の納付書で逆になることもあります。
すこし整理して理解しておきましょう。
還付と追加徴収
年末調整では、所得税が還付になることと、追加で徴収(=天引き)されること。
この2つのどちらかのことが起こります。
還付にも追加徴収にもならない可能性。
これも、おそらくゼロではないんでしょうけれど、まだ見たことはありません。
その所得税は、前払いで徴収されるものです。
扶養の家族などにおうじて「概算」で取られるわけで、その「精算」をするのが年末調整。
だから、多く取られていれば還付されるし、足りなければ追加で徴収される。
どちらであっても、1年の所得税はピッタリになることは知っておきましょう。
(とはいえ、戻ってくると嬉しいですけれどね)
もちろん、ほかの収入があれば話は別で、基本的には確定申告が必要になりますよ。
このとき、還付されるものを「年末調整による超過税額」といいます。
ほんらい徴収すべき所得税を「超過」していたから還付するね…の意で。
いっぽう、追加で徴収されるものを「年末調整による不足税額」といいます。
ほんらい徴収すべき所得税が「不足」していた…との意味です。
なお、これらの言葉は税務の書類上でのもの。
給与明細においては、会社やソフトごとにつかわれる言葉がちがうこともあります。
それを踏まえて、プラスとマイナス。
どっちが還付、あるいは追加徴収なのかを確認していきましょう。
プラス・マイナス。どっちがどっちか
プラスとマイナスの表記は、給与明細と源泉所得税の納付書ではちがう可能性があります。
結局は、電卓をたたいて確認するのが安全です。
給与明細では
給与明細において、ふだんの所得税は「控除」されるものの欄に記載されます。
そして年末調整については、その控除の欄に含まれる場合と、含まれない場合があります。
この違いにより、プラスとマイナスは真逆の意味をもつことに。
まず、控除の欄に含まれたとき。
- マイナスになっているなら、それは還付です
- プラスになっているなら、追加徴収
ただし、これは普段の所得税など控除の欄にあるものが、プラスの値で書かれていることが前提です。
(控除されるものが普段からマイナスで書かれているなら、うえのことは逆の結果になります)
少しややこしい話ですが…
控除とは、そもそもが収入からマイナスされるもの…の意味。
そのマイナスのものがマイナスの値になっているということは、プラスです。
それが還付…と。
いっぽう、控除の欄に含まれていないときは、うえとは逆の意味になります。
- マイナスになっているなら、追加徴収
- プラスになっているなら、還付
ただし、プラス・マイナスではなく、言葉に意味をもたせることもあり得ます。
すべてをプラスの値で表示し、その言葉により、還付か追加徴収か判断してね…と。
そんなケースもあるかもしれません。
給与計算は、仕組みさえ分かれば、だれでもできるもの…といえます。
だから、会社ごとに独自の給与明細をつくっていることもある。
日本全国一律で、マイナスなら還付、プラスなら追加徴収と決まっているわけではないのです。
だから、結局は電卓をたたいて確認するのが安全なのです。
源泉所得税の納付書では
源泉所得税の納付書は、つぎのものです。(納期の特例用)

このなかで、年末調整のときの還付・追加徴収のぶんは、つぎの赤く囲ったところに記載します。

2行あるうちの。
上の「年末調整による不足税額」には、追加で徴収したものを記載します。
そして下の「超過額」には、還付したものを。
下の欄には頭に「△」がついていますが、これはマイナスの意味です。
この納付書において、追加で徴収した所得税はプラスの値になる。
普段とおなじく。
いっぽう還付したときは、マイナスの値になる…と整理しておきましょう。
まとめ
年末調整のとき、プラスとマイナスのどっちが還付でどっちが追加徴収なのかが、よく分からなくなることがあります。
そんなときは、電卓をたたいて確認するのが安全です。
両者を取り違えると差額は2倍なので、ここは安全にいきましょう。
間違ってしまったら、あとの手直しが大変ですから。
なお、所得税とちがい、住民税は確定したものを後払いする仕組みになっています。
だから住民税の年末調整はない…ということも豆知識です。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。

