メーターがない車に乗っていないか

事業は、車でいく旅に例えることができます。

その車で走るのに欠かせないのは、ガソリンとガソリンメーター。

事業でいうなら、お金と経理です。

口座の残高は、実質的なお金ではないかもしれない…ことに気をつけましょう。

 

ガソリンメーターを見ているか

事業における決算書などは、車にとってのメーターに例えることができます。

どれくらいの売上や利益がでているか…は、スピードのようなもの。

お金がどれくらいあるか…は、ガソリンメーターのようなもの。

 

もし、車でちょっとした距離を運転するなら、時々はメーターも見るはずです。

スピードは、体感でもなんとなくわかったりします。

なのでオービスがあるなど特定の場所以外は気にしないかもしれないですね。

でも、ガソリンの残量はきっと確認するはず。

目で確認するわけにもいかないし、それが無くなれば動かなくなってしまいますから。

 

事業におけるガソリン、つまりお金は、いっけん口座の残高をみればわかる…と思いがちです。

でも、中小企業、とくに少人数で経営している同族会社では、注意が必要です。

というのも、個人のお金と会社のお金が混ざっていることも多いので。

 

経費を立て替えるのなら、会社のお金は減りません。

ここでちょっと紛れます。

そうした経費の立て替え分と、毎月の役員報酬を相殺することもあるかもしれないですね。

すると、今いくら立て替えているかも分かりにくくなり、会社のホントのお金も分かりにくくなる。

 

また、源泉所得税や特別徴収の住民税も、ときに払うのを忘れてしまうことがあるかもしれません。

忘れても、半年~1年くらいは督促されないこともありますから。

すると、ホントは減るはずのお金が減っていない。

そこで、「お金はまだある」と勘違いしてしまう。

 

この点、消費税も怖かったりします。

たとえば「110」入金されるなら、実質的な売上は「100」。

でも差額の「10」を「浮いたお金」と思ってしまうこともあったり。

 

こうしたことが積み重なり1年もたつと、「じつはお金が足りないこと」に気づかず過ごしてしまうことも。

これを車でいうなら、目的地までいちどもガソリンメーターを見ず、そこに着くまえにガス欠になってしまうようなこと。

決算のとき、しばらくぶりに決算書などを見て「えっ」と驚くようなことなのです。

 

メーターの価値

メーターは、いつでもちゃんと作動しているから価値があるものです。

そのために必要なのは、電気ですね。

バッテリーさえ異常がないなら、ちゃんと作動するもの。

キーを回すだけなので、さほど苦労を感じないものです。

 

いっぽう事業におけるメーター、つまり経理には、苦労も必要だったりするかもしれません。

しかも、その苦労のすえに出てくるのは、すこし前の数字。

車が走っているときのように、その時の数字を出そうとすれば、とんでもない苦労が必要です。

ということもあり、経理は敬遠されがちなのも分かるのです。

 

でも、それではメーターのない車で走っているようなもの。

たとえ話ではなく、現実では、そんな車は怖くて乗れないですよね。

もしホントにガス欠になってしまえば、助けを呼ぶのにもお金や時間がかかる。

さらに、目的地につけるかどうか…など、今後の予定もくるってしまいます。

多少の苦労をぜんていで、事業におけるメーターの価値を考えてみましょう。

とくに、将来をみすえたうえで、実質的なお金はいくらあるか…と。

 

より遠くまで走るには

事業をながく続けるということは、車で長いあいだ走るようなもの。

しかも、事業は車とちがい、買い替えることはできません。

買い替えるということは、事業の内容を全とっかえするようなことですから。

事業をはじめたときの車に、手を加えつつ、乗っていくわけです。

 

もちろん、部品のいくつかは、より良いものに交換するかもしれないですね。

また、場合によっては車本体の構造をいじるようなことも出てくるかもしれません。

こうしたことで、経営者の色がでてくるわけです。

 

ただ、どんなによい車になったとしても、欠かせないのはガソリン。

必要なつど、給油しなければならないのです。

そのために欠かせないのが、ガソリンメーターです。

 

事業というのは、車での旅に似ているかもしれません。

より遠くまで走りたいなら、ガソリンには常に気を配るようにしておきましょう。

メンテナンスや運転技術に興味をひかれることがあっても、ガソリンだけは欠かせないのです。