利益やお金以外にも目指すべきものがある

利益やお金について目標をもっているなら。

その目標におうじて、利益やお金以外のもの、たとえば売掛金などにも適正値があります。

その適正値を目指しているか、振り返っておきましょう。

 

利益やお金はだれでも気になるもの

事業をしていると、黒字なのか・赤字なのか…は気になりますよね。

と同時に、「今いくらお金があるか」も。

基本的に、黒字ならお金は増えるし、赤字なら減っていく。

だから、どんな経営者も、この2つのことは意識しているとおもうのです。

お金を稼ぐためにも事業をしているわけですから。

 

そして決算が近づいてくると、「税金はいくらかな」ということも気になりますよね。

できれば少ないほうがありがたいですし。

 

だから、利益・お金・税金。

この3つは、おおくのかたが「こうなって欲しい」と目指すべきところを持っています。

ただ今回は、それ以外にも目指すべきものがあるよ…ということをお話ししていきます。

 

利益やお金以外にも目指すべきものがある

まず、利益が増えるとどうなるか…を、損益計算書と貸借対照表において確認しましょう。

この2つは連動しています。

利益がのっている損益計算書に変化があると、かならず貸借対照表にも変化がおこる。

それが、お金にも影響してくるので。

 

まずは損益計算書です。

 

 

この損益計算書の利益がふえると、貸借対照表において純資産がふえます。

正確には、利益剰余金、または繰越利益剰余金とよんでいるものが。

 

 

ここで知っておいてほしいのは、貸借対照表の左右は、かならずおなじ金額になること。

  • 資産=負債+純資産

だから、純資産にうごきがあれば、つじつま合わせがおこります。

左右の金額をおなじにするために。

それが、つぎのどちらかです。

  • 資産がふえる
  • 負債がへる

 

資産がふえる

利益がふえれば、純資産がふえる。

そして純資産がふえれば、資産がふえることもあります。

 

 

この資産のなかで「お金だけ」がふえるのなら、ほかのものに変化はおこりません。

でも、たとえば「売掛金・在庫・固定資産」に変化がおこることもある。

それがどういう意味を持つかを確認しておきましょう。

 

このときは「お金に増減はない」と仮定すると、その意味がよりハッキリしてきます。

  • 黒字なのに、お金はふえてもいないし、へってもいない

そこで「売掛金」がふえるということは。

仕事はしたものの、まだお金を受けとっていないことを意味します。

だから、黒字なのにお金がふえない。

 

じつはこれ、けっこう危険なことだったりもします。

黒字倒産のひきがねですから。

 

通常は、仕事が終われば1~2か月ていどで入金されます。

ということは、売掛金は、前月と前々月の売上をあわせたくらいになるもの。

この視点で売掛金をみてみましょう。

 

もし、それよりも多いなら、あらためて入金までのサイクルを見直してみる。

回収がとどこおっているなら、催促をしてみる。

利益がふえるときは、売上がふえていることも多いです。

そんなときは、ご自身の希望や取引先の都合などにおうじて、目指すべき売掛金の数値もある。

 

そして、「在庫や固定資産」がふえていることもあります。

おなじく黒字なのに、お金はふえてもいないし、へってもいない…とするなら。

いったんは黒字どおりにお金がふえたとして、そのふえたお金で在庫などを買った。

こんな考えかたもできます。

 

在庫や固定資産は、将来の売上や利益のための投資です。

なので、もっている量により、将来あげるべき売上や利益もかわってくる。

言い換えると…

「将来これくらいの売上や利益がほしいから、今これくらいの在庫をもっている」。

これにおうじて、持っているべき在庫や固定資産には、目指すべき数値も存在するのです。

 

負債がへる

利益がふえれば、純資産がふえる。

そして純資産がふえれば、負債がへることもあります。

これで、貸借対照表の左右はおなじ金額になる…と。

 

 

たとえば、次のようなことがよくあります。

  • 黒字でふえたお金で、未払だったものを支払った

ですから、黒字の金額どおりにお金はふえない。

でも未払いだったものがなくなり、肩の荷がおりる…と。

 

この未払いのものは、仕入れの買掛金、給与の預かり金のように、「いつもある」ものもあります。

だから、売上がふえたり、ヒトがふえたりすれば、これらも自動的にふえるもの。

そして、車など固定資産をかったときのように「臨時のもの」もあります。

こうしたことを整理すれば、未払いのものにも適正値があることがわかります。

つまり、それは目指すべき金額でもあるのです。

 

ここまで、お金以外の資産、そして負債について、目指すべき金額があることを書いてきました。

これらは、多すぎても少なすぎても、良くなかったりします。

○○するなら、△△になるべき…という道理、あるいは事業の仕組みがあるので。

そして、それは結局のところ、お金に影響してきます。

お金のことで「あれ?」と気になったときは、お金や利益以外のものもチェックしてみましょう。

 

まとめ

事業をしているなら、利益やお金はとうぜん気になるもの。

ただ、それらに影響するものが、貸借対照表にもひそんでいます。

その貸借対照表にのっているものには、それぞれ適正値のようなものもある。

 

「これくらいの黒字にしたい」

「お金はこれくらい持っておきたい」

こう思うなら、利益やお金以外にも目指すべきものがあることを知っておきましょう。

上手くいかないときは、それらが原因かもしれないですから。

 

 

※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。