赤字を黒字化するときの利益予想の立て方
利益予想とは、それにしたがって行動すれば結果もついてくるはず…というもの。
偶然だよりでは怖いですからね。
その予想の立て方を確認しておきましょう。
予想は原因を探ることから
まずは、赤字になった原因を探しましょう。
やみくもに何かを変えようとしても、それがハズレなら、時間とお金を失うだけかもしれないですからね。
なるべく効果的に変えていくためにも、原因が大事なのです。
とはいっても、原因の入口はつぎの2つしかありません。
- 売上がすくない
- 経費がおおい
これだけでは大雑把すぎるので、深掘りをしていかなければ。
そのきっかけの一つになるのが、決算書などの数字です。
黒字にするには、それらの数字のどれかを、かならず変えなければならない。
じゃあ、どれを変えるのか。
その変えるべき数字に、原因があるわけです。
見るべき数字の量が多ければウンザリするかもしれませんね。
でも、一つ一つについて「なぜ、この数字になっているのか」と振り返ってみましょう。
さらに、その答えについて「なぜ?」と。
そして念押しでもういちど「なぜ?」と。
「なぜ?」を繰り返していくと、たとえば次のような原因を思いつくかもしれません。
営業のやり方や値付け、商品やサービスの内容、行動量や時間のつかいかた、人間関係、設備投資、利益率…などなど。
数字のうらには、かならず行動があります。
その行動にたどりつかなければ、黒字化しようにも方法が分からない…と思っておきましょう。
気をつけたいのは、仮に原因がわかったと思っても、それは仮説にすぎないこと。
だから、変えたとしても効果がでない可能性だってあるわけです。
また、原因は合っていたとしても、効果がでるまで時間がかかるものもあるかもしれません。
でも、それで挫けていれば黒字にはならない。
だから、原因をかんがえて変えてみる…を繰りかえす覚悟も大事です。
ということを踏まえて、その原因が解消されると、どんな数字になるのか。
その数字、利益予想をつくってみましょう。
それができれば、あとは行動するだけ…ともいえますから。
もし数字がつくれないなら、偶然だより。
ちょっと怖いですよね。
黒字は、狙ってつくるものだということも知っておきましょう。
利益予想の立て方
利益予想は、まず「いくらの黒字にするか」から始まります。
赤字ということは、お金が足りなくなっている可能性もあります。
すると、借入金や未払金などの負債が残っていることが多いです。
税金でいえば、消費税や源泉所得税を滞納しがち…というデータもありますしね。
これらを払っていくためには、お金を増やさなければなりません。
その増やすべきお金を、利益として設定するのです。
ただ、その利益は税引き後のもの。
赤字ということは欠損金の繰越控除により、法人税等はほとんどかからないケースもあります。
でも黒字になれば、それに見合った税金も払うことになる…ことは知っておきましょう。
税金を惜しめば、お金はふえないという現実を。
それから、つぎは経費をみていくのですが、経費にも2種類あります。
- 売上におうじて増減するもの……変動費
- 売上にかかわらず発生するもの……固定費
経費をこの2種類にわけ、利益の計算構造をつぎのようにイメージしてみましょう。
(売上から、商品の仕入れのような変動費だけをひいたものを「粗利」といいます)
まず予想すべきは、固定費です。
年払いのものをのぞけば、家賃のように毎月おなじ金額をはらっているはずです。
だから、予想するのも簡単なはず。
いっぽう、黒字化する際には、これらも削る必要があるかもしれません。
安易に削るのも怖い面があるので、つぎの記事も読んでみてくださいね。
(参考記事)
会社の固定費を削減するときの考え方
そして最後に、売上と変動費をセットで考えます。
この両者は、粗利率などの「%」でみると計算しやすいかもしれません。
利益と固定費がわかれば、この2つは自動的にでてくる数字といえますから。
その「%」は年により変動があることも多いので、過去2~3年分のデータを振り返ったうえで、今日の価格相場でかんがえるようにしましょう。
と、ここまでが利益予想の立て方です。
でも、最初にできあがったものが実現できるかというと、そうじゃないこともあります。
そんなときは、もういちど最初からやり直しましょう。
ご自身なりに、行動がイメージできるまで。
そして、利益予想したものを実行にうつしたとき。
現実(実績)と予想は、毎月くらべてみましょう。
きっと、差があるはずですから。
その差におうじて、いちどは予想したものも、練り直して、また来月くらべてみる。
ほしい黒字が手に入るまで、これを繰り返す必要もあるのです。
上で「黒字は狙ってつくるもの」と書きましたが、この一連の作業が「狙う」ということなのです。
まとめ
赤字を黒字化するときの利益予想の立て方についてみてきました。
なお、赤字になるとお金も減っているので、そのお金の問題もありますよね。
そんな赤字のときであっても、融資を受けることはできます。
でも、黒字化の利益予想は、その審査に最低限必要なもの。
それが出来ていなければ、「お金を返せる保証はない」と言っているのと同じですから。
それに申し込みの際には、「なぜその利益予想は実現できるのか」も自分で説明しなければなりません。
たとえば来月の自分は、なにをしているか。
そして、その結果はどうなりそうか。
利益予想を立てるさいには、こんなイメージも持ってみましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。