法人を設立する前にやっておいた方がよいこと
法人を設立する前後では、手続きなど義務的なことに多くの時間をさかれます。
でも、それらをすることで利益やお金がふえるわけでもない。
設立する前から、利益やお金についても考えておきましょう。
それもスタートダッシュといえますから。
設立時は忙しい
法人を設立する前後は、やらなければいけないことが多く、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
まず設立にあたり、とくに大事な次のことは、それなりの時間をとって考えたいものです。
- 会社の名前
- 本店所在地
- 資本金
- 設立日
そして、税金の申告時期にかかわる事業年度も、最初の申告がいつか…、忙しい時期にかぶらないように…などの配慮はしたいもの。
これらは後から変えることもできますが、そのときには時間やお金もかかってしまいます。
また、設立したら、届け出などの手続きも必要です。
法人を設立するということは、子どもが生まれるようなもの。
完全にゼロからのスタートなのです。
たとえば設立届をはじめとした、税務署や都道府県税事務所などでの手続き。
健康保険や厚生年金に加入するための手続き。
許認可が必要な事業なら、管轄する団体での手続き。
こうしたことを「なぜ、それが必要なのか」を理解しながら進めようとすると、その理解のためだけにそれなりの時間がかかります。
(それも必要なことなんですけれどね)
というわけで、いわゆる義務にあたることだけでも数が多く、時間はあっという間に過ぎてしまうのです。
ただ、事業や社長などの生活のことをかんがえたとき。
うえに挙げたこととは別枠で、やっておいた方がよいことがあります。
設立前にやっておいた方がよいこと
設立をする前に、次のことをやっておきましょう。
- 利益の予想
- 周りへの周知
利益の予想
法人を設立した年度の、売上や経費、そして利益はどうなりそうか。
ここで、まず知っておいて欲しいのは、次のことです。
- 会社のお金は、社長や役員のものではない
もし、会社のお金を社長などの生活のためにつかうなら。
それは、会社からお金を借りたことになります。
当然、いずれは返さなければならない…と。
だから、生活のためには、会社から役員報酬をとる必要があるのです。
この役員報酬をいくらにするかにより、健康保険や厚生年金もかわってきます。
ということを踏まえて、まずは経費の見積もりをしてみましょう。
このとき、商品の仕入れのように、売上に連動するものは後回しです。
まずは、売上がゼロでもかかってしまう事務所の家賃や水道光熱費など、いわゆる固定費とよばれるものから見積もりを。
その後に、売上と、売上に連動する経費の見積もりを。
この時点で、ざっくりと利益の予想ができているはずです。
もし黒字なら、もうすこし役員報酬をとってもよいのかも。
あるいは、もっと利益がとれるように、経費をふやし、売上予想も変えてみたり。
いっぽう赤字なら、役員報酬はすくなくしてみる。
あるいは、売上をふやせないか営業のやりかたを考えてみる。
ということをやっているうちに、次のことが見えてきます。
- どうしても必要な売上高や利益
- 現実的に目指せそうな売上高など
- できれば達したい理想の売上高など
利益を予想するのは、まずはこの3つのことの目途をつけるためだったりします。
もちろん、他にもありますけれどね。
事業というのは、お金が足りなくなったときに終わってしまうものです。
それを避けるためには、いつも先をみて、数字もみつつ、経営をしていく必要があります。
その最初の一歩を、設立する前にやってみましょう。
周りへの周知
法人を設立することは、前もって周りに伝えておくのがよいです。
というのも、設立後は、基本的にすべて会社名義で仕事をすることになるからです。
そのときに、契約などがスムーズにいくかどうか。
もし、ここで個人名義で仕事をうけたりすると。
それは、実はややこしい事だったりもします。
競業避止義務というものがありますし、税金面でも利益操作と捉えられかねない…と。
利益がすべて一人のもののときと、二人でわけたとき。
このとき、二人で分けたほうがトータルの税金が減ることもあるのです。
税率の兼ね合いがあるので。
ということを避けるためにも、基本的には、設立後はすべて会社名義で…が望ましいのです。
(仕事内容が完全に別のものなら、個人と法人で分けることもできるんですけれどね)
それから、インボイス登録のこと。
これは、取引の金額、つまり売上にも影響してきます。
登録をしているなら、消費税をのせた金額で取引するでしょう。
いっぽう登録していないなら、いくらか削られることになるかもしれない…と。
法人を設立したときは、設立日から登録することもできます。
インボイス登録をするかどうか、時期もあわせて、考えておきましょう。
ひょっとしたら、取引先に前もって聞かれるかもしれないですから。
契約金額にかかわってくることなので、当然といえば当然なんですが。
という周りの反応をみておくためにも、設立することは前もって伝えておくとよいのです。
まとめ
法人を設立する前後は、ただでさえ忙しいものです。
ただ、それらは義務的なことが多く、それで利益やお金が増えたりはしないもの。
大事なのは、それがすべてとは言いませんが、利益やお金のほうです。
そのための行動も、設立する前からやってみましょう。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。