事業の流れにあわせた数字の見方
事業は、お金を集め、そのお金を投資して、利益を稼ぐ…のくり返しです。
こまかい数字ではなく、大枠で、この流れにそって数字を見る方法を確認していきましょう。
事業の流れ
事業は、たんにお金を稼ぐだけではありません。
そのお金の出所からかんがえてみると、次のことをくり返している…といえます。
- お金を集める
- 集めたお金を投資する
- 投資によりリターン(利益)を得る
お金は、リターンである利益におうじて増えます。
そうして増えたお金は、最初に集めたお金とあわせて、つぎのサイクルへ組み入れられます。
…ということを延々とくり返すのが、事業でもあるわけです。
なので、数字を見るのであれば、このサイクルにおうじて見る必要があります。
どこか1カ所だけが上手くいったとしても、ほかの箇所が上手くいっていない可能性があるので。
すると、全体としてみたときに「なぜ上手くいかないのか…」ということも。
ただ、いきなり細かい数字をみても、翻弄されるだけかもしれません。
「意味が分からない…」と。
なので、まずは骨格をおさえましょう。
手書きでよいので、試算表などの会計データから合計値だけを拾い、つぎのような図にするとイメージを掴みやすいです。
うえの図は、スペースの都合で、左右おなじ高さにしています。
でも、実際の数字にあわせて高さも変えると、より掴みやすくなるはずです。
数字の見方
つぎの3つのことについて、数字をどう見る・考えるのか…確認していきましょう。
- お金はどこから来ているのか
- 投資は上手くいっているのか
- 稼ぎかたは効率的か
お金はどこから来ているのか
お金は、自分で用意することもできますし、他人から集めることもできます。
自分で用意したものを「自己資本」といい、他人からのものは「他人資本」といいます。
自己資本とは、純資産のこと。
そこには、資本金と、現在までの利益の累積である利益剰余金がふくまれます。
これらは、自分のもの。
つまり、返さなくてよいお金である…といえます。
いっぽう、他人資本とは、負債のことです。
負債は、借入金のように、これからお金が出ていくことをあらわします。
純資産と負債、この2つを比べてみましょう。
気をつけたいのは、負債である他人資本がどれくらいあるか…ということです。
他人資本は、いずれ返さなくてはいけません。
ここを突き詰めていくと、「使ってはいけないお金がある」ことにつながります。
また、返さなくてはいけないお金があるということは、それにおうじてお金を用意しなければならない…ということ。
つまり、利益を出さなくてはいけないわけです。
なので、他人資本が多すぎる、つまり多くの利益を出さなければいけない…というのは、安全ではない…と表現することもできます。
いっぽう、他人資本がないときは、自己資本だけで経営していくことになります。
「100」しか持っていなければ、「10」の利益しか稼げない。
そんなときに他人資本があれば、「200」を使えるから、利益は「20」も稼げるかも…!
…ということも、あったりします。
他人資本により、時間の短縮になったり、より早くお金を稼ぐことができるかもしれません。
他人資本があったほうが、良いこともあるのです。
このように、自己資本(純資産)と他人資本(負債)の性質をふまえたうえで、比べてみましょう。
金額でくらべるのもよいですし、%で把握してもよいです。
たとえば、つぎの算式で計算されるレバレッジ比率というものもあります。
- 負債÷純資産=レバレッジ比率(%)
このことを知っておくことで、今後の経営にも影響があるはずです。
目指す利益の指針になったり、お金の使いかたを考える…といったあたりで。
ただ、負債も純資産も、すぐに変えられるものではありません。
負債を減らすには、それに応じたお金が必要です。
純資産を変えるには、増資や減資、または利益を積み上げていくしかありません。
定期的にチェックしながら、すこしづつ変えていくものなのです。
裏を返せば、長期的な視点が手にはいる…ともいえますね。
投資は上手くいっているのか
今度は、資産に着目してみましょう。
資産とは、負債と純資産によりあつめたお金が姿を変えたものです。
(貸借対照表の資産は、負債と純資産の合計と一致します)
現預金のまま、持っているかもしれません。
あるいは、商品だったり、車や機械などの固定資産に変わっているかもしれません。
または、事業がうまくいき、売れた証拠である売掛金などとして持っているかもしれません。
いずれにしても、資産とは、集めたお金をどのようにつかったのか…をあらわします。
つまり、どんな投資をしているのか…をあらわしているのです。
それは何のためかといえば、「売るため」です。
なので、資産と売上(収入)を比べてみましょう。
この比較からは、「どれだけ投資が上手くいっているか」が分かります。
たとえば、「100」のお金を持っていたとして、それが「200」の売上に変わっているかもしれません。
でも、もしかしたら過去には次のようなこともあったかも。
- 「50」のお金が、「150」の売上に変わった
売上でみれば、過去よりも増えています。「150」が「200」に。
でも、効率でみたら、どうでしょうか…?
こうしたことを考えるときに役に立つのが、総資本回転率です。
- 売上÷総資本(資産)=総資本回転率
売上が増えれば、やっぱり嬉しいものです。
でも、効率は悪くなっていることもあります。知らず知らずのうちに。
であれば、気がつくのは早いほうがよいでしょう。
稼ぎかたは効率的か
売上が増えれば、利益も増える…とはかぎりません。
次のようなこともあるので。
- 臨時の出費があった
- 気がついたらムダな経費をつかっていた
- 仕入れなどの値上がり
- 時間の使いかたが変わった
- 人が増えた
ほかにも色んな原因が考えられますが、売上と利益の関係は、安定していないのも常です。
なので、定期的に、利益構造も見ておかなければなりません。
売上(収入)と利益の関係から。
このときは、「%」でとらえるほうが、過去などと比較しやすいです。
- 利益÷売上=利益率(%)
金額でみたときに、利益が増えていれば嬉しいはずです。
でも、「%」でみたときにはどうなのか…?
事業の中味が、知らないうちに変わっていないか…もチェックしておきましょう。
まとめ
事業は、お金を集め、そのお金を投資し、利益を稼ぐ…の繰り返しです。
それぞれの過程について、自分なりにチェックできる方法を持っておきましょう。
どうしても、売上や利益は気になります。
でも、知らず知らずのうちに、何かが変わっていた…ということもありますから。
※ 記事作成時点の情報・法令に基づいています。
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